第74話・刃製作

 燃料庫、マグマエネルギーやら色々あるフロア。そこで『火の刃』を作る。まず用意するのは錬金などで作られた、高スペックの『ゾディアックインゴット』。これをここにいるボスモンスターの素材を使い作り出す。


 ガンガン作る中、黒猫を初めとしたプレイヤーがガンガン倒し続ける。狩りつくすんじゃないかと言わんばかりに狩りつくす。


 ついでに施設や設備を修復すると、だいぶよくなった。隠しフィールドとかあったから、その素材とかも組み合わせて、第一の刃を作る。


 優先して作った最高の品以外は武器に換えて、素材提供してくれたプレイヤーに渡すことにした。火属性は得意だからね、たくさん渡せた。


 氷結地帯、冷凍庫フロア。氷のモンスターがいる中で『水の刃』を作る。ここはシズクの出番だ。運を上げて性能の良いのを作り出す。ガンガンボスモンスターを撃破しつつ、隠しフロアなどを探したりして開拓を開始。


「さむっ!」


「だが良い武器が手に入る」


「やってやるぜ!」


「俺は氷属性の短剣が欲しいんだ」


「槍が、短槍が欲しいんだ……!」


 やる気のあるプレイヤーが多くて助かる。こうして二つの刃を作ることに成功する。残りは風、土、光、闇、無だ。


 並行して素材が集まりだしているため、作るのには問題なさそう。問題になるとしたらスペックだ。


 そもそもスペック関係なく、良い物が出てくる可能性があるが、やはり一番良い物で使用したい。


 というわけで黒猫判断で良しとなったものを使う気だが、かなりラインは高い。もう少し、もう少しと黒猫が言うのだ。


「これらのスキルが全て上乗せされれば良いな~」


 そう黒猫が言いながら、あれこれ言う。まあ作るだけなので自分は良い。周りの人達も余り物が多く出て、それを武器に換えてもらえるので文句はない。いまのところ刃を作るのは自分だけのようだ。


「古代語がここでくるとは」


「くそっ!中級じゃないと読めない!」


「あと少しなのに、あげてればよかった!」


「けど魔法スキルと並行して育てるとなると難しいぞ」


「時間がねえ」


「時間が欲しいのは罪なのか?」


 さすがにいまのログイン時の時間の加速に文句言うのはどうかと思う。


 こういうプレイヤーが増え始める中、なかなか楽しくイベントをこなしている。いまのところ船の修復も進んでいて、重要なアイテムは大手のクランが確保している。


「最終的な問題は、やっぱり誰が船長するか」


「大手クランの誰かだろうけど角立つよな」


「なんとかならねえかなー」


 探索を続ける中、『風の刃』はロケットなどの飛行ユニットがある部屋で作る。ここもなかなかの高レベルの品物を作っては武器に換えている。ここのは矢にすると良いな。ロマン砲にして製作している。結構喜ばれるんだよね。


 なんかしばらくしたらスピカの一族も手助けしてくれる。相変わらず会話はできないが、美味しいものを食べさせて作業を続ける。


 大型のボスモンスターが現れたらしいが、黒猫達が出向く中、自分は作業に集中した。これも一つの正解だと信じて。


 高スペックの物をいくつも作り、むしろどれを使用するか悩ませることに成功した。やったね。


「こっちの方が素のスペックは高いけど、能力値を取るかスキルを取るか。ああ脳汁が溢れる~」


「楽しそうだね黒猫」


「うん!ノートも楽しい?」


「もちろん!」


「えへへ」


 お互いにそう言いあいながら、スピカ達にご飯を与え終えて作業を再開する。


 今度は『土の刃』を作る。これもまた得意になりつつある。なんとか良い性能を作り出そう。


 そう決めて自分はスキルとスペックを鍛え上げ続けた。しかし普通の武器として使用すると考えると、刃って低性能してるよな………


 ◇◆◇◆◇


「やばくない?」


「やばいねえ」


 運営スタッフ緊急会議室、今現在作り出されている刃を見ながら、全員がどうするか頭を痛めた。


「ノート氏がチートやら違法ソフトを使用した形跡はありません。このスペックとスキル数は自力で着けていますね。AIに計算させましたが自力での作成はできると出ています」


「いや~武器加工する前の刃って、そんな良いスペックや能力付かないようにしてたのに、少し甘く見てたな」


「どうします? これはBプランにした方が良いですよ」


「んーそれならBプランの候補スキルとスペックを少し上げようか。まさかAプランが台無しになるなんて」


 セブンスのAプラン。一度きりにして最高のオンリーワンを渡すという内容だが、相手はかなりやり込んでいる。実は別プラン、後でセブンス工房の修復ができるため、もう一回チャレンジできるのだが、これをどうするか。


 カテゴリーは片手剣、両手剣のどちらかであり、各刃のスペックと能力を合わせた性能にしたかったが、ノートの作る刃でそれをやると壊れ武器が誕生してしまう。


「まあ可能性はあったよ?ノート君は感覚的にやってるけど、スキル付与得意になってるからね。運要素を上げる魔法でスペックも無理やり上げてるし、まさかここまでとは」


「Bプランはその後も作れるようにして、突き詰める要素にするですが、よろしいでしょうか?」


「しかないだろう。これでランダムでのスキル付与などで不満が出たら困る。まあイベント中は一度きりにしてもらうが」


「できればこれにプラスアルファしたいですね。これはランダムで素材にした刃の元スキルを合計七つランダムに付与します?」


「それだと誤差になるくらいかな? まあ詠唱短縮しすぎて、高ランク魔法を即座に撃てるようになっちゃうかもしれないけど」


「もともとこのイベントで手に入る。大規模施設とダンジョン。並びにゲーム世界で最初の、最強装備実装がメインですし、少しくらい盛っても良いのでは? 渡されるプレイヤーも分かってますし」


「それも問題なんだよな。この子も違法ソフトしてないプレイヤースキルが高い黒猫。この子が詠唱短縮ガン詰みの魔法攻撃特化のセブンスなんか手に入れたら、魔法使いとしても機能するぞ」


「あーやっぱり詠唱短縮などのスキルにライン付けますか?」


「のがいいな。それでいて彼らの努力が報われるラインの能力付与か。少し長く会議しよう。最終ラスボスの出現はもう少しあるし」


「ゲーム世界は早いですから、速めに対処しましょう」


 こうして彼らの会議が続いていった。ゲーム内では楽しく新たな刃を作るノート達を写しながら………

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