第73話・セブンス

 食料部屋、作物を自動で育てているこのフロアには生命反応が多く居る。というわけでスピカの一族はここにいると思い、行動するプレイヤーが多い。星属性や宇宙属性は彼女が始まりだと考える人がいるから、宝石箱を初めとしたクランが率先として道を切り開く。


 ボスはガーディアンタイプのモンスターであり、古代関係の素材のため、多くのプレイヤーに狩られたところ。なぜか自分が前に出されて、フロアに入る。果樹や野菜、食べ物の宝庫と言った空間が広がり、スピカと同じ種族が飛んでいた。


「こんにちは」


「ちわ!」


「ちわわ!」


「君達はここに住んでるの?」


「ちわ!」


 会話が成り立たない。スピカは洋服を着せているから分かりやすく、すぐに混ざったりしている。一族の者と出会っているが、感動の再会っぽいことは起きないな。


 そんな様子を眺めていると、スピカがこちらを呼ぶ。そちらに行くと、パソコンがあり、古代語で動かせるようだ。これで一番レベルの高い自分が解読。資料のようなファイルには………


「最高星金属ゾディアックの作り方か」


 生産職で金属系装備を担当する者達は悲鳴を上げ、まだ装備の質が上がると知り悲鳴を上げるマニアがいたり。まあ色々な反応と共にこの船の設備を使った成功製品である刃が作れるらしい。


「これはどうするか」


「早い者にするなら所持者はノートに依存するべきだな」


「っていうかこれ読める人いまいる?」


「いない!」


 血の涙を流すプレイヤー達。まあ当然だ。たぶんこの船の指揮官権利、各施設のマスター権、そして最高の刃物を作る権利。これがこのイベントの報酬だろう。


 プレイヤー達は各自交渉しながら報酬を全てにいきわたるように話し合いが行われ、その中でこの装備らしい武器製作に関しては、自分が他の権利を放棄して手に入れた。つまり。


「私の物だ」


 黒猫が勝ち誇った顔で天に拳をかざす。まあ作って渡すとしたら黒猫しかいないからね。


 作れるかといえば作れる。問題は品物の質をどこまで上げられるかによる。基本スペックだけ見たが、欲しいとのこと。


「基本スペックで満足してもらうけど、まあ頑張ろう」


「あざーす」


 黒猫は素材集め、自分達は施設修復に入り、自分は『セブンス』という素材を作るため、準備を始めた。


 基本はやはり、基礎魔法系統のスキル上げ、暗黒と神聖も上げないといけないので大変だ。


 他のボスの素材やレシピも欲しいし、効率よく動くことにしているが、まずは動力庫である熱帯地帯。マグマ流れてるけど、これは通常モードらしい。そこで火属性のモンスター達を倒して『火の刃』を作らないといけない。


 まずはこれを良い物を作る。作る途中で分かったが『フレアフランベルジュ』という武器を作れる。これには諦めていたプレイヤー達は歓喜した。


「どうか練習で作った余り物を流してください!」


「余り物、最優先で黒猫の『セブンス』を作るの優先で良いなら」


「手伝います!」


 こうしてプレイヤーは一部協力し合って行動を開始。


 さて、ここで協力しないプレイヤー達は、残念ながら害悪プレイヤーだったりする。ソロプレイヤーや全く知らない人でも良い装備流してくれる可能性が高くなるならと、持っている素材を一部提供したりしている。


 まったく協力しないのは、一人で楽しんでいて、あまり人と連携しない人くらいか問題ない人は、彼らは彼らで楽しんでいるし、完全にソロプレイというわけではない。施設を作る際も協力したりするからね。


 本当に害悪な人は、どこかへ追いやられた。数の暴力というものだ。


 まあ主張がおかしい。なぜ彼らは作る事さえできない装備を、材料も集めず自分が作らなきゃいけない? せめて自分のようにレシピが読めるところまできて、『セブンス』は俺の物だと言えというのがプレイヤー全員の総意であった。


 結果、そういう人は装備の修復すら拒否され、寝床も追いやられてどこかに行った。テントしていたり、一部フィールドを自分の領土と言っているのが発見されるが、死に戻りしまくってイベント自体から出て行ったりしている。


 黒猫は時々チャレンジするプレイヤーに読めないことを祈りながら素材を集め、諦めてセブンスのおこぼれである装備を作ってもらう方に行くか、今後の為に【古代語】のスキル上げをしておくくらいにしているのがプレイヤー達であった。


 とりあえず自分は作れる物を丁寧にしっかり作ることに集中すればいいという環境を作ってもらい、頑張って作ることにしている。できるだけログインして上げるか、イベントだしね。


 こうしてイベントは着々と進みながら、船は少しずつ性能を取り戻し始めていた。

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