第67話・ドラゴニックオーブ

 丁寧に貴重なアイテムを消費する。付与魔法、ドラゴニックオーブを使用したこの魔法作成を続けていた。


「自分的にはこれくらいで良いと思うけど」


「もう少し狙えないかな?」


 細かく数字を確認するが、ノーマル、通常の作業部屋で製作するとこれくらいの性能しか作れないよと説得して、黒猫はまたドラゴニックオーブを集めてくるといって出向き、自分はこれで作業台を作成し出す。これは丁寧に性能の良い鉱石などを使用する。


 付与はやはり少しでも性能が高いと良いのが出てくる。いくつか作り、『竜属性の魔法の作業台』がいくつもできて、性能を確認する。これは丁寧にしよう。


「………」


 どうしようかな? 隠さないといけない。


「まさか星属性、竜属性の作業台ができてしまった」


 んーこの場合、【プリズムエンチャント】は複数の属性を持っているのだろうか、よく確認すると竜属性が強いが、星属性と宇宙属性を持っている。分かりづらいが宇宙と星は別々らしいな。もう少し色々試してみるか。


 正直良いの作りたいけど、失敗作や成功例だけど一番ではない作業台がかさばる。これも丁寧に破棄したいけど、売るしかないよな。性能は良いんだ性能は。単純にその上の性能があるだけだ。


 丁寧に作った結果、できたのがこちら。



『大魔法作成台』 レア度9 品質★10


 竜、宇宙、星の属性を兼ね備えた魔法台。君はまだ深淵の淵に立っただけ



「素晴らしい」


 黒猫がそういうが、一点狙いの作業台もしっかりチェック入れてる。


「様子見に来てみれば、かなりレア度が高いですね」


「これで深淵の淵って、すげえなこのゲーム」


「おそらく四属性や上位四属性も含めて完璧だと言わせる気だろうね」


 黒猫の言う通り、この作業台は特殊な魔法属性を作るうえでかなり品質の良い物を作る。ただし火属性などの基本属性や、その上位の氷属性などは良い物ができない。それすら兼ね備えた魔法の作業台があるのだろうか?


 というわけでぽいぽい持ってくるが、どんだけやり込んだんだろう。ドラゴニックオーブを持ってくる。


「買い取ったりして集めてるからね」


「金欠になるぞ」


「それでですね、ご相談があります」


 黒猫はやはりというか金欠で、だいぶお金を使用。料理クランに竜肉を持ち込んだりして集めたらしく、竜素材の周回はバレているし、売ってくれた人達も良い装備流れるのなら連絡くださいとのこと。ガーネットがため息を吐き、さらに聞くとドラゴニックオーブを優先して卸すかわりに、それで強化して作る装備を割引券くださいとのこと。仕方ないな。


「あざーす」


「黒猫、リアルで話があります」


「うげっ」


 仕方ないね。そっちはガーネットに任せて、攻撃魔法も製作しようか。


 やはりというか、かなり強力な装備や魔法を作れるようになってきた。調整のため、色々作ろうと思う。


「おー良いライン」


「自分のスキルレベルで、前線に持ってけるものが作れるね。竜属性、星属性、宇宙属性って分かれて」


「その三つはノートが独占状態」


「宇宙属性に付く、ネプチューンというスキル欄は、水魔法と水中特化になりますね」


「スペックも特殊能力欄も盛れて、みんなが喜びそうな装備が出てきてよかったよ」


「最高の一品待ちしておくか、けどこの弓は欲しいかも。でもなー」


 黒猫は一応できた物を眺めて、欲しい物を探したり、スクショしたりしている。さすがにネットに上げるのは聞いてからにしている。案の定、安定してこのスペックだと驚かれているらしい。


「杖も少し本格的に凝ってみるか」


「私はまた周回してくるぜ」


「私は店売りの準備と、クレーマー対策しておきます」


 ガーネットやクランのみんなにはホント助かる。妙なクレーム付けてくる人っているんだねという感想が出るほど、凄い考え方をした人が来るみたい。


「なんで素材集めもなにもしてない赤の他人のために、一番良い物をタダで渡さなきゃいけないんだろう?」


「それはその人の頭があれだからだね」


 黒猫にそういって、自分はいくつかドラゴニックオーブを使用して攻撃魔法を作成して、道具作りに入る。施設が作れればより良い物ができるだろう。


 こうして色々と準備をしているところ、平和に物事が進む。そう思っていたが………


「ん?」


 商業都市で警報のように鐘が鳴り響く。そしたら突発イベントとして盗賊団討伐というクエストが発生した。


「なになに?」


 盗賊プレイをしたクランが『宝石箱』のお店を襲撃、いくつかの装備を盗み逃走した。これに商業都市はお怒りになり、街中での戦闘行為を許可。盗まれた装備を取り戻せ!!


 眩暈がした。こんなことする人って本当にいるのか!


「えっと、敗北条件は盗人が商業都市から脱出されることか」


 そうこうしていると爆発音が鳴り響く。色々まずいな。ここはバレてなさそうだからいいが、宝石箱の方が気になる。あとなに盗まれた?


 それなりにアイテムを貯め込んでいたから、貴重品はいくつかある。それは協力クラン同士でのオークション形式で売ったりするらしい。ん? 報酬欄のところに追加が来た。


 通常の報酬は治安を守る商業都市が出すのだが、クランリーダーが全員捕まえた場合、活躍したパーティに好きな商品を提出するとのこと。一網打尽にするのか、それとも数が多いのか分からないが、かなりいるんじゃないかな?


 『宝石箱』が借りているお店があるのは商業都市で一番高い土地を借りて、防衛に回している。そこで襲撃され、文面から盗んだとしたら数が多いか、強力なレベルの者がいるということだ。


 とりあえず情報集めに店に出向くことにした。

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