第62話・宝石の谷
砂漠ルートの一部、宝石の谷の方角に行くと検問があり、そこで初めて自分の許可証が役に立つ。黒猫は自分の名義で登録され、入ることが可能になった。
「宝石箱のみんなは別ルートだね」
「うん」
一つの許可証で登録できる人数も制限あるし、向こうも向こうでヒントだけもらい、自力で行くというだろう。黒猫は正直、自分だけだと探索は詰むからね。安全策を選んでいくよ。
ガウム、レヴィ、シズク、クロティルド、そして黒猫とでフルメンバー。谷に入るとまずは強力なトカゲモンスター、ゴールドリザードが現れ、それを退治する。
「硬い」
「レヴィの一撃か、クロティルドでデバフった後じゃないと自分はなかなかダメージ出ないや」
「私は数をこなせば問題なし」
「頼もしいよ黒猫」
この程度なら問題なく、採取するとそこそこの金属と宝石の原石が手に入るため、奥へと向かってみる。コウモリ型のモンスターやアイアンスライムという特殊モンスターが現れたりしながら、奥へと進む。
「ボスはどうする?」
「見るだけ見ちゃお。時々手ごわいの出るから、通れない可能性がある」
プリズムガーゴイルというモンスターのことだ。悪魔の形をした石像のモンスターであり、かぎ爪攻撃や魔法攻撃が得意。魔法耐性が高く、ガウムの火が効きにくい。
物理に強いモンスターでアースオブゴーレムというのも出てきたため、バランスが大事だろう。アースオブゴーレムはガウムが頑張って倒してくれているし、クリティカルゾーンを見つけて投げナイフによる、クリティカルダメージを叩き出す。お金がかなり飛ぶが成果は出ている。
「この品質と★の原石か、糸にするとかなりいいかも」
「おー奥の方が良いの出るか」
こうして奥へと進みながら、ボス部屋。さらなる宝石の谷の奥地へと進む道を進んでいき、それを見つけた。
「………」
「マジか」
それは黒猫にとって輝く一品。プレイヤーにとってまさに期待していた存在。巨大なそれは翼を広げ、大地を踏みしめてこちらに牙を剥ける。
名前を『アームドプリズムドラゴニック』。ドラゴン型のモンスターだった。
「「【浮遊する短剣】!!」」
速攻で全力を、リソースを吐き出すことを決めた我々はガンガン行けモードに入る。このモンスターは現在の最前線に近い第一階層のさらに奥を守るボスモンスターだ。かなり手ごわく、黒猫も本気のため、バフをかけまくり、クロティルドはデバフをかけようとして弾かれた。
「デバフ耐性たっか!」
レヴィと黒猫が接近して、シズクのクリティカル発生率アップ、クリティカルダメージ増量、クリティカルゾーンの視覚化を使い、自分は弓矢を放つ。
攻撃しながら躱すという器用なことをする黒猫だが、かなり必死に攻撃を躱す。ブレスはレーザーのように放たれ、魔法陣を展開して光の剣を降らす能力。
巨体なのに動きも早く、ガトリングのように火球をぶつけられてもへでもないようだ。魔法耐性が高いうえに、こいつ物理も硬い。
レヴィのように完全特化の攻撃でやっと体勢を崩したり、ノックバックが発生したりする。手数でかなり黒猫が攻めるが、かなり低い。その中でダメージを安定して出しているのは【浮遊する短剣】だ。
「フーッ!」
かなり集中している黒猫。手数だけでダメージ量を重ねているようで、無理やり突破するつもりだろう。こちらはクリティカルダメージで稼いでいるが、ヘイトが貯まる。
「やばっ!」
レーザーに加え、光の刃が乱舞する。距離があって避けれたが、まずい、対処できないかも。
自分が落ちたら確実にパーティは全滅する。黒猫が速度を上げた。レヴィがダメージを受けつつ、一撃一撃を確実に当てている。ガウムはかなり強力な魔法を放ちながら接近戦して、レヴィを庇っている。ナイス。
となると自分か。自分の身を守る術は魔法のみ。魔法でバフを盛って、必死によけた。その間、黒猫はガンガン攻めた。
ドラゴンのヘイトを集め、ギリギリで攻撃を躱して懐に入り、双剣で叩いて叩いて叩き続けた。
「ドラゴン素材最強装備!ドラゴン素材最強装備!ドラゴン素材最強装備!………」
あっ、余裕かもしれない。黒猫にはあれが素材にしか見えないみたい。
ヘイト管理を見つつ、弓矢の攻撃を控えながら、シズクとクロティルドはレヴィのサポート。ガウムもガンガン攻めて、レヴィが重い一撃を叩き込む。
黒猫はラッシュに次ぐラッシュ。悲鳴を上げそうなほど自分が処理する出来事を整理して、徹底してダメージを稼ぐことしか考えていない。
こうしてリソースというリソースを吐き出して、ドラゴンの首を取ったのは、黒猫ではなくガウムであった。
「よっしゃッ!」
ラストアタックは気にせず、ガッツポーズを取る黒猫。矢が、魔晶石つぎ込みまくった矢が底をついた。大赤字だなこれ。
第二形態とかはなく、モーションを変えたくらいのボスドラゴン。とりあえずこの画像はガーネット達と共有するか。これは少し考えないとな。
っていうかドロップ品はどうだろうか?
「すっげー初回討伐特典!」
まずスロットオーブはプレイヤー全員に一個、それにセレクトでアクセサリー一個、レアドロップ品ランダムだ。
「アクセかレアドロップ品!アクセで!」
黒猫はいま反射的にしか動けないようだ。アクセを選んだ。自分は、素材にした。この状態の黒猫を見ていれば、足りなければ足りないだけ、このドラゴンを狩る気でいるだろうが、どんなもの落とすか知りたいだろう。
とりあえずいったん転移できるように先に進み、転移可能にしてから引き返して、一通り休む。クロティルドとレヴィが進化可能になったからね。
ドロップ品も確認しないといけない。スロットオーブはアクセ。とりあえずお疲れさまでした。
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