第61話・結果の行方
宝石のコンテストはなかなか敷地の高い大会であった。商業都市の一番お高い建物に入り、服装は大丈夫かと思ったが、ドレスコードは無いようだ。
「ここはそもそも一部の許可を得た者しか来られない場所だからな。儂のように作る者は綺麗なのにずぼらな奴も多々いるぞ」
「そうなんですか」
ドッカンさんはそう言いながら、知り合いへの挨拶をしていくらしい。自分は受付を終えて品物を提出して、その後は関係者席に座ったり、周りの様子を見たりしている。
テイムモンスターはレヴィとクロティルド、レントとグリモワールだけ連れてきている。それでも問題なく進み、審査員達が宝石を鑑定していた。
「ふむふむ」
「今回は良い品が多いのう」
こうして優勝! というわけにはいかないが、ドッカンさんに言われたラインまで合格できた。むしろここからの伸びしろに期待と言われた。優勝作品は結構見た目も良く、能力も高いから、特殊能力の有無だけではないようだ。見た目だけという、そういうのもあるのかと思ったよ。
「君の作品はどちらかというば機能性のみ追及した感じであったな。それがマイナス点で、冒険者などからすれば高レベルの品物でした」
「アクセサリーはその身に宿す力だけでなく、見た物の心を動かす力も必要。この先も精進していただきたい」
「はい」
こうして【宝石糸作成スキル】のスクロールと『宝石谷の発掘権』を得ることができた。
それからは作品の紹介をし合い、作者達と話し合いができた。優勝者は【妖精の腕輪】を持ち、パートナーとして品物を作る人であった。すげえな。
「君も妖精を連れているのなら、すぐに追いつくな。私達も頑張らないと」
「妖精の手を借りてよかったのか」
そういうと、んーと困った顔をされた。そしてこっそりとエルフの優勝者さんは話してくれた。
「おそらく、ドッカンさんのことだからそれを使っていたらマイナス点を入れてましたよ。あの人はまず自力でという人なので」
その時にわざとらしく笑うドッカンさん。あぶねえ、変な地雷があったぞ。まあ全力を出すときはリファ達の力を借りることにしよう。
妖精と共に作品を作る者はそういって、自分は自分が求められるものを作るために頑張ることにした。
さてと、こうして手に入れたスキルを使い、宝石を糸、布に換えることができるようになったため、品質や見た目の良いアクセサリーを作ることができた。作ったのは手袋であり、一つは『赤妖精の手袋』。ルビーを基本に、赤い色の糸を組み合わせて、丁寧に作ったオペラグローブだ。
「はわわわわー!!」
黒猫よりダイヤがくいついた。かなり綺麗なものであり、手袋に少量付けられた宝石が可愛らしいとのこと。狙ったとはいえかなり好印象を受けたようだ。
ドッカンさんからも早速良い物を作ったなと褒められた一品だからね。火属性の魔法使いであるガーネットに付けて欲しいものだ。
「どうすれば【宝石糸作成スキル】が手に入りますか!?」
大会のことを教えてあげると、それっぽい条件を踏んだ人は居らず、試しにドッカンさんに紹介したい服飾職人がいると言ってみると、良いだろうと言って紹介できた。黒猫達は申し訳なさそうにして、それと共にこの情報は内緒にした方が良いらしい。
「この手のイベントは連帯責任。ダイヤがやらかせばノートの好感度も下がる」
「ダイヤは服飾職人なら高レベルだから安心できるが、宝石職人としてはレベルが低い。そもそも発掘ができないからね。どう転ぶか分からない以上、手当たり次第に紹介できないからな」
黒猫とガーネットに言われて頷いておいた。ダイヤの方も自分のように紹介される前に、試練として自分で発掘した★5の宝石、それを用いたアクセサリーまたは洋服を用意するという難問に入った。
まずは発掘からのスタートだが忙しい身、ドレスのモチーフを用意しつつ、宝石を発掘できるところを通うようだ。
それまでは宝石糸や布を使いたかったら、所有者から買うしかないと言われたため、自分が用意することになる。ちなみに試練の内容に使用したらダメと言われている。
「まずは自力で作れるようになるまでは扱わないことにします。ノートさんはレベル上げててください!」
ダイヤに言われて、自分はオペラグローブやスカーフなどの品物を作ることにしている。ドレスは無理だ、そっちのレベルが低い。
お互い足りないスキルを上げていくことにして、品物を作ることにした。黒猫のは頑張って作ることにしたよ。
「竜と妖精の宝石を糸にして作ってるから待っててくれ」
「おーお金貯めないと」
素材でも良いので、素材集めに出かけることになるな。自分は新たに行けるようになった『宝石の谷』というダンジョンに通うようにした。この先は無いが貴重な宝石が手に入るそうだ。
それと金属も出てくるらしいので、新素材と思われる。パーティ入りの人数、資格のない人を連れていけるので、最悪黒猫を連れて行くつもりだ。っていうかここのボス素材から良いのが作れそう。
というわけで護衛として黒猫と共に潜り、探索を開始するのであった。良いのが手に入れば良いが………
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