第6章:宝石
第60話・宝石コンテスト
砂漠の先なので、気を付けてメンバー構成をしてボス戦へと挑む。サンドワームというモンスターで、でかい芋虫だ。かなり人気が低いボス。強さというより、地面に潜られると引っ張り出すのに時間がかかるし、見た目も気持ち悪いというボスモンスターで、こいつを倒すと石の谷と言われる場所に行ける。
ふもとに町があり、軽く運用されている。だが珍しい物はなく、砂漠地帯で商業都市に戻る時間が無いときにしか利用されない町だ。まずはそこを目指す。
「ふう、軽くトッププレイヤーくらいにお金を吐き出したな」
いずれそこまで稼げなくなると思うと、少し節制した方が良いか、それともいまのうちと言わんばかりに使うか微妙だな。そう思いながら石の谷へと入る。
門番の方に紹介状を見せて、どこにいるか聞き、一直線にその家へと向かう。
「ほうほう、彼奴が紹介した宝石職人か」
「失礼ですが、あなたは?」
「儂は『ドッカン』。しがない宝石職人じゃよ。お前さんの一番と思うアクセサリーを見せてくれるか?」
ドワーフの男性、目に手元を見るためのレンズを付けていたりとまさに職人という感じの人だ。その人に宝石珊瑚のアクセサリーを見せて、ほうほうとみている。
「独学でこれか!確かに勿体ない! しっかりと基礎を教えれば光る素質じゃ!」
「教えを乞うことはできますか?」
「いいじゃろう! 儂の弟子にしてやろう」
ドッカンの弟子という称号を獲得後、まずは宝石コンテストで上位に入るように指導してくれるらしい。
「上位入賞者には特典があってのう。この町の宝石発掘権が手に入ったり、王族とのコネクションを結べたりできる!」
「!? この町って宝石が取れるんですか?」
「かなり敷地は高いがな。まずはコンテスト、この日付の大会にエントリーするんだな。その間、儂が宝石スキルを鍛えるレッスンをしてやろう。ただし弟子だからな、厳しくいくぞ」
「テイムモンスターに負担らならない範囲なら任せてください」
「そうかそうか、良い主に出会えたな。なに、掃除と食事の用意くらいしか雑用は頼まん。他は全て宝石装飾に関する手伝いじゃからな!」
こうしてしばらくドッカンさんのもとで修業に入る。しばらくアクセ作りとかはお休みかもしれない。連絡をしたところ、宝石発掘権が気になる黒猫と『宝石箱』のメンバー。とりあえずコンテストのことを教えておき、いったん修行に集中することにした。
◇◆◇◆◇
砂漠の町で黒猫と一息つく。黒猫が話を聞いてみたいらしいので説明した。かなり宝石関係のスキル獲得ができたことを教える。
「ふへえ、宝石の良し悪しが分かる判別のスキルに、魔力が込めっているか見るスキル。それと宝石に魔力を込めつつ研磨して仕上げるスキル………どれもかなりレアなスキルっぽい」
「一応コンテスト用の、見た目、性能、魔力と並ぶ宝石を自力で作ったんだけど、これはどうかな?」
「ふぉぉぉぉぉ!」
オニキスをメインとしたブレスレットタイプのアクセサリーだ。正直、竜や妖精シリーズを使わずに作ったものとして効果はかなり高く、珍しい効果を持たせている。宝石の名前が付いたレアスキル、オニキスの魔力というのも強い数値を出していた。
「防御関係のステータスアップに、呪い完全無効ってなんだろう!」
「それね、まずは呪術がプラスもマイナスも付かなくなった」
「おー!」
呪術は基本、モンスター側が使う魔法である。開発と発見はされつつあるが、デバフはいまのところ、モンスターが使う方が強い。その効果を完全無効にするアクセはかなり強い。タンク職が喜ぶ一品だと太鼓判を押され、とりあえずまずはこれで様子見をする。
正直一発合格を受けたいところだが、どんなものか分からない大会だから、前情報はなにもない。まずは失敗なりなんだりしてみよとドッカンさんも言っていたからね。どんな審査方法かもわからない。
そんなコンテストを参加するのだから、とりあえずこれでというので挑むことにした。さすがにスピカを始めとした子達の力を借りるわけにはいかないから、今回は自力で挑もう。
「時間がかかると思うけど、しばらくはこっちのアタックをしてみるよ」
「手が欲しかったら言ってね。正直ボス周回は心に来る………ぐふっ」
「あーはいはい」
黒猫でもここまでくると、周回は辛いところがあるらしい。簡単だと無の境地で、難しいと毎回毎回ギリギリに精神的に疲れるとのこと。それでも装備をよくしたり、強くなったり、スキルを鍛えたりと楽しいらしい。
とりあえずリファが作った甘い物を食べさせる。なかなか甘い物は充実してきた星光の世界。女子プレイヤーが増えて来たという噂と、肉が食べたいが我慢しているプレイヤーとか来ているらしい。
「そういえば、味覚が無い人も味覚を取り戻したり、アレルギーの人が来たりするらしいな」
「うん。そういうのはVRならではだね。私もケーキ食べ放題は嬉しい!」
チョコケーキをパクパク食べている黒猫。リファにお礼を言ってリファが喜ぶ。リファ特性妖精のチョコレートケーキだからね。幸運値が少し上がります。こうしてまずはゆっくりと、コンテストに挑むのであった。
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