第56話・牧場主

 雪山遺跡エリアの先は地底湖エリア。その先に町があるらしく、突破するためにエリアボスが探索されている間、こちらは色々集めたりしながら進めていた。


 まずは資金、これで魔晶石を買い取り、強化へと使うため。お金を稼ぐために古代の塊を復元、再現して装備や施設へと変化させる。


「はいそれではいいですね」


「よろしくお願いします!」


 今回の古代の塊は『古代の塊:槌』。メイス系になる。求められているのは【体勢崩し】となる。


 ただし【体勢崩し】は貴重な能力だ。こういったものは基本はまあまあ、ボスの体勢を長く崩すほどではないのが多いからね。お金をかけても手に入らないのが普通だと了承をもらって作る。


 今回はどうやら彼らの運があったようだ。お目当てのスキルが付いた武器が手に入った。


「おおっ、これでアシュラ相手に周回ができるぞ!」


「素のスペックと他の能力も高いな。30回繰り返したかいがある」


「なんとか元は取れたな」


 いまいる場所は雪山の里、クラン『宝石箱』の店である。そこで古代の塊を復元と再現を繰り返して、修復している。お金の代わりに魔晶石での支払いもあり、おかげで投擲に使う武器強化は問題ないな。


 投擲武器の方もかなり売れている。商人などのお金を貯め込めるクランやプレイヤーがメイン武器として買い込んでいるところだ。品薄になりかけているため、魔晶石の価値が少し上がってしまったくらいだ。


 魔晶石が金策になるため、地底湖や雪山遺跡などで集めるプレイヤーも増え始めていた。自分はため込んで、武器を強化して戦えるようにしている。


 とりあえずクリティカルダメージによる火力マシマシロマン武器『致命のナイフ』というのを作った。強化もできるところにクリティカルダメージ発生時、大ダメージを叩き出せるスキル構成をしている。スキル発生率も高めているぞ。


 結構なロマン兵器だが、鑑定のスキルが上がり、クリティカルゾーンと言われる、クリティカルが発生しやすい場所を知ることができるアーツがある。それを習得したところなので、スキル上げをしつつ、これで戦うつもりだ。


 他にお金になるのは【浮遊する短剣】だ。固定ダメージでダメージ量は低いが、どんな敵でも固定のダメージを出す為、重宝されている。自動的に敵に襲い掛かるため、後衛職が使用するのが多い。


 これに【小悪魔の鎖】なども使用される。悪魔を召喚してファイヤボルトを放つようなので、人気はあるようだ。悪魔を使うが咎められることもない。サーヴァント系の召喚魔法も人気である。


 こうしてお金確保のルートを確保しつつ、他のところも活動している。農業の方はレモンを手に入れたり、お茶の葉を手に入れた。


 お茶の葉は属性畑によって種類が変わるため、人気が出ている。自分のところでも光、闇、聖、邪属性のお茶の葉が作れて売れているところ。それと豆だね。闇属性の畑で小豆に似た豆が手に入り、調理したところ餡子になった。これには黒猫達女子が食いつく。


 餡子による食べ物作りが始まって、かなり売れ筋の品物になった。フリマでは必ず売れて、お店では品薄状態だ。もっと作らないといけない。


 従魔の方も、少しだけ増えた。山頂付近はやはり吹雪により進めないため、イベントが無いとダメと判断される。それでもウロウロしていたら雷を纏う羊との友誼を結べた。


 それが属性を変えて、いまのところウチでたくさんいる。毛は非常に高価であり、ダイヤが買い取ったりしながら製作している。革装備もいまのところ利用者はたくさんいる。敏捷値を下げず、金属音を起こさない鎧は需要があるようだ。


 黒猫もライトアーマーを着込み、サーコートのように布製品を纏うため、盗賊風の衣装で活動している。いまのところ地底湖でツルハシを使いながらお金を集めている。黒猫が持ち込む古代の塊もある。それらを修復していると、変わった投擲装備も出て来た。


 錨のような形の、腕に巻き付けるタイプである装備品『チューンバインド』。魔力で相手を拘束する鎖であり、属性を持つ。投擲して使用して、使い勝手が良い。


 買い取って使わせてもらっているが、色々できる。手の届かないところのアイテム確保したり、飛んでいるモンスターを引きずり落としたりしている。


 黒猫は装備品が多い為使用していないが、もう一つ出てきたら使う予定らしいため、古代の塊探しはやめていない。普通に売るのも良いからね。


 餡子作りのため、色々動いていると、ウチの子達もいろいろしている。


 グリモワールは錬金で『魔力の結晶』というのを作り出した。これはグリモワールしか作れない錬金素材だ。スキル付けに使用している。


 竜のアイテムを作るメリュジーヌ。妖精シリーズで餡子を作るリファ。それに習い、スピカも『星空の餡子』というのを作り出す。


 クロティルドは暗黒呪術で色々作るため、性能の良いのを作る。


「(ピースするクロティルド)」


 切り込むほど相手の敏捷を奪う鎌を手に入れて嬉しいらしい。レベリングを物作りでしているから、進化ももうすぐだろう。こうして少しずつテイマーとして、牧場主になろうとしていた。

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