第52話・雪上都市

 レベリングしながら、畑の世話や鍛冶をする。畑の方でだいぶ変化があったな。


 コーコー豆ことコーヒーの豆が二つの畑で変化。ミルキーな味わいを出すミルキーコーコー豆というのと、味が濃いブラックコーコー豆ができた。


 闇属性、邪属性のホームの畑は黒鳥ネラというコケッコに進化。ミルクタンクは変化なし。カカオ豆が採れたり、光属性、聖属性の畑でカカオ豆を植えたらココア豆というのが採れた。


 どれも料理人プレイヤーからしたら欲しいものばかりで、量産するために農業クランの方々と相談。クラーラを始めとしたプレイヤーが種を渡して、畑に属性を持たせて運用するようになる。


「クラーラは温室に属性持たせたのか」


「はい。知らない物への変化は目指せませんが、維持は楽なんですよ。ココアとチョコ系を育ててます」


 料理人プレイヤーはかなり頑張って、調理をしているらしい。ケーキだけで50種類くらい量を増やして、バフも良い物を見つけたりしている。お菓子作りは花があるから人気だな。


 お金はだいぶ貯まって来た。お金だけはトップ勢くらいあるんではないだろうか? できれば自身の強化に使えればいいんだが、使い道は無いな。強い装備は自身で作る方が早い。


 少し強くなった頃、ついに黒猫がボスを発見。雪山集落のため、最後の道を切り開く時が来た。


 黒猫、ガーネットが配信者として、自分のメンバーを呼び挑むことになる。ボスレシピを手に入れて、いつでも周回できるようにするためだ。


「来たよ。エリアボス『アシュラゴーレム』」


 その名の通り、複数の武器を巧みに扱う機械系のモンスターであった。人型で武器を切り替えてパターンを変えて戦うため、黒猫がすでに何度か戦い、パターンを把握して挑む。


 雷属性が弱点のため、グリモワールが活躍する。新たに作り出した【サンダーボルト】がダメージを稼ぎ、自分と黒猫は【ライトニング】で稼ぎつつ、固定ダメージの【浮遊する短剣】を使用。ガーネットだけ得意の火属性の魔法ダメージを叩き出し続けた。


「油断しないで!」


 レヴィの盾に隠れながら、魔法を使い続けていると『大暴れ』というアーツを使い、ランダムにダメージを発生させたりと確かに危ない。しんじゅの奇跡カテゴリーの『ガードフィールド』を使い、全体の防御力を上げたりする。


 投擲も雷属性の物を使用。投げられる限り遠くから投げ続けていた。


「攻撃チャンス!」


「レヴィ、インパクトバンカー!」


 攻盾術のアーツ技であるかなり攻撃力がある技を指示して、レヴィに高威力の攻撃をさせた。かなり吹き飛んだが、そろそろ倒れて欲しい。そうこうして数分戦い、ようやく倒すことができた。


「やったぞ」


 ドロップアイテムは『古代の塊』というのと、いくつかのドロップアイテム。パーティ討伐はスロットオーブ。魔法を開けておこう。ソロ討伐は後で黒猫が挑むらしい。強い雷装備用意しないとな。


 こうしてついに雪村のイベントは全てを終えて、新たな道が開かれる。


 ◇◆◇◆◇


 ついに町として名前を得る。雪上都市という名前と共に、新たな施設などが公開された。古代施設が解放されたとのこと。新たなフィールドは少し見たが、古代兵器がウロウロしていた。


 古代の塊はどうも古代兵器らしく、専用のスキルが無いと武器として使用できないらしい。というわけで生やしたぞ。


 必要スキルは【中級古代語スキル】と【中級錬金術スキル】。この二つがある状態で古代施設へと入ると、NPCに教えてもらえた。


 呪術系のショップ解放と共に【技術再現スキル】というのが生えて、古代武器を製作することが可能になる。スキルが無い状態だとなにも無いが、解放されると『古代の塊:剣』という風に分類されるらしい。


 元の武器へと直してみると、ギミックありの特殊剣ができた。


「はー色々できそう」


「気が狂いそう」


「これは、鍛冶方面の別方面の強化方法か………」


 ガーネットが神妙な顔で武器を見る。古代のスネイクソードというものであり、レアなものだが特殊効果以外はまあまあの性能。


 効果はスイッチみたいなものを使用、刀身がばらけてムチのような絡み武器へと変化する。これを使用して戦うと、筋力の高いプレイヤーは相手の行動を妨害できる行動が取れる。


 黒猫は筋力は最低限だから使用できないが、性能次第では妨害に使えそう。元となる古代の塊自体の性能が高くないとダメだが。


 黒猫はすでにトップ勢の廃人勢並みのレベルだ。知り合いの中でダントツのトップだ。装備品の性能もできる限りは高い物が良い。いまあるのは使えないものばかり。


 その中で黒猫が狙いたいのは、ハンドガンだ。魔導ハンドガンというものがあり、ギリギリの性能をしていた。正直もう少し欲しいとのこと。


「あーあと少し!あと少しダメージソース稼げたら!」


 早速雷装備を着込み、ボス戦とフィールドエネミーを退治しに出向く。自分は厳選の準備でなにができるか確認だ。


 だけどこのボスの素材だと籠手とライトアーマー系か。色々作れそうだし、とりあえず詰めようか。素材の到着を持ちながら、道具の点検を始めた。

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