第48話・聖女と出会い
ホームの畑はなんか黒っぽい。黒猫がくれた苗木、そして交換の苗木を植えたところ、どちらも黒っぽい。リファが気にせず育てている。いまのところトレントになる様子もない。
そんな様子を見ながら、自分は聖女騎士団がいる教会へと出向くことになる。一応、ガーネットさんが配信のネタにと動向を頼み、黒猫と共にやってきた。
「聖女騎士開拓者団、団長の『エル』です。来ていただきありがとうございます」
「ノートです」
騎士ロールがしたい人、聖女であるお姫様の騎士団に入りたい人が集まる、聖女騎士、開拓者団の団長。騎士団長であるNPCと肩を並べて権限を持つらしい。開拓者団はクランのように集めて、開拓、復興系クエストをこなしているのが多いそうだ。
エルさんは大人の女性であり、可愛いものが好きらしい。テイム系である『動物愛護会』とも知り合いが多い。ガーネットのファンでもあり、こうして喜んで案内してくれた。
教会の奥、神の像が並ぶ中で祈りを注げている金色の髪を持つ少女がいる。聖職者の服装を着込み、女性として可愛らしく、美しい様子の高校生くらいか。あんな美少女がいればそりゃ舞い上がるな。
「姫様、件のテイマー様を連れてきました。テイムモンスター様も連れてきてくれましたよ」
「ありがとうエル」
優しく微笑む様で花の香を漂わせる。名前は………
「私の名前は『コスモス』。星雲教会聖女として、一国家の姫君としてご挨拶を」
カーテシーをされて頭を下げる。しんじゅがぽよんぽよんと跳ねる様子を見て、優しく微笑んだ。
「この子が聖水を作り出すテイムモンスターですか。スライム系の神聖種ですね」
「はい。この子が奇跡製作と聖水を作ってくれてます」
「申し訳ありませんが、聖水の質を見せてもらっても?」
渡した聖水を見て、少しびっくりしている。かなり上質の中級聖水だからね。作るのには苦労している。
「さすがですね。ノート様、でしたね。この子を従え、上質の聖水を作るあなたにお願いがあります」
NPCの騎士が箱に仕舞われた本を取り出し、それを渡してくる。
「この本には『浄化聖水噴水』を一から作るためレシピ、それと上級聖水の作り方が書かれています。解読はできますか?」
「少々お待ちを」
ギリギリ読めるな。この場でレシピが解放された。
「『浄化聖水噴水』は毒水を飲み水に、邪を払う聖属性の水に変える装置です。上級聖水も現在の開拓者様だと難しいですが、素材を王国が提供するので一定数の数、教会へ卸してはくれませんか?」
クエストが発生した。内容は『星の聖女コスモスの頼み事1』。浄化聖水噴水を三つ、上級聖水を50個納品らしい。
「分かりました」
施設の素材はアッシュさん達、攻略勢が集めてくれるだろう。期限は無しなのを確認して、報酬として上級聖水などの製作許可、販売許可をもらえるらしい。
「聖水はともかく、浄化聖水は邪属性や闇属性の土地に悪影響を及ぼすので、できればその辺りを気を付けて販売してください」
「失礼、闇や邪属性を払うのはいいことでは?」
それに静かに首を振る。
「いいえ。聖は邪、邪は聖。聖者の行いも、行き過ぎれば邪道に落ちます。その逆もしかり。バランスを一方的に傾けることをし続ければ、手ひどいしっぺ返しを受けますよ」
そんな話、そういえば図書館で見た神話でもあったな。確か、バランスが一方的に崩れて、世界が崩壊しかけたとかいう内容だったはず。そのことを言っているのか。
また邪属性の装備も人気だからな。邪属性と聖属性は分けて作るか。ならホームのある所を邪属性の鍛冶場にするか。
そんなことを考えていると、聖女様はしんじゅのことを撫でている。すると、神の像が光り輝き、聖女様としんじゅを包み込む。
「これは」
しんじゅには変化が無いが、コスモス様は少し変化が起きた。青白い光を纏い、加護を授かりましたという話をしてくれた。うちのしんじゅも授かったようだ。マジか、進化に影響あるかな?
テイマーについて色々話を聞かれながら、無事に話は終了。しんじゅのレベル上げもやる気が出るね。
「色々あるんだな属性の扱い」
「鍛冶に関しても気を付けないとね」
「鍛冶だけでなく、料理や作物にも関係がありそうだね。配信でしていてよかった」
そんな話をしながら、しばらく邪属性と闇属性について調べることにした。黒猫は雪山で先に進むためのボス探し、自分は装備研究に回ろうと思う。
その前に頼まれた物の製作を始めよう。まずは『浄化聖水噴水』を三つ作ることか。しんじゅがいればいいのかな? ここでレベルを上げないといけなくなるのはキツイな。できれば装備を作りながらがいいからね。
そろそろギルドのランクも上がりそうだし、その辺りも頑張らないと。農業系は早くあげておきたい。やることは多い、まずは農業ギルドのランクを上げようと思う。その次に魔法ギルドだな。闇属性を調べておきたいからね。武器作りもやらないと。頑張って一つずつ片づけて行こうか。
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