第49話・彼もゲーマーだった

 黒猫を入れたメンバーで第一のエリアボス。氷鬼との激突をする。黒猫曰く、ソロする前ならレヴィなどの高火力特化のメンバーが欲しいとのこと。


 火属性が弱点であり、常に吹雪を起こして、氷をぶつけてくる。吹雪対策と防御力か回避力を求められる敵だ。


 だがメンバーは黒猫が入り、配信というわけでガーネットさんがメインで活躍。自分も両手杖を持ち、魔法を専門に放つところから始めている。ガウムなどがかなり削っている。リファや【浮遊する短剣】がチマチマと固定ダメージで削るから、これでもだいぶ楽だ。タンク職や魔法職のプレイヤーが【浮遊する短剣】を厳選することだけはあるな。


 黒猫は双剣士というスキルを獲得して、両手に剣を持てるようになり、専門のアーツを駆使したりしてダメージを稼ぐ。まさにトップの敏捷プレイヤーだ。


「レヴィ!」


「はい!」


 レヴィが確実に大ダメージを稼ぐ。リファの援護バフなどを受けて、シズクからのクリティカル値を上げるため、幸運を上げている。そのためか、かなりのビルドになっていた。


 シズクは幸運値を上げる魔法の他に、クリティカルダメージを上げるスキルと、発生率を上げるスキルを覚えた。シズクのビルドはクリティカルダメージをサポートして、高めるビルドらしい。


 もちろん、その恩恵は黒猫にも持たさられて、氷鬼を吹き飛ばし、なんとか落ちることなく倒すことができた。


『エリアボス氷鬼のパーティ討伐が成功されました。これにより妖狐の里の封印が一つ解放されます。報酬としてスロットオーブが渡されます』


 パーティ討伐だけでなく、なにかの報酬でスロットオーブが渡された。アクセ開けるか。できれば召喚のアクセを装備したいからね。


「パーティ討伐はセレクトか。選べるのは【凍狼の雄叫び】に古代語の本、武器一式か」


「三人いるから三つ欲しいわね」


「【凍狼の雄叫び】は魔法っぽい、ノートならメンバー内で一番使える。私は古代の本をノートに渡して、一式はどうしよう」


「メイス系装備の戦士タイプね。『アクアマリン』が純粋ヒーラーだから装備はできる事はできるけど、これは売りに出してもいいかもね」


 そして受け取ったところ、装備一式は『氷鬼のこん棒』など特殊なスキル持ちであった。


「これ、全部装備すると凍傷ダメージ無効に氷無効が付く」


「普通の武器じゃなさそう」


「これは凄いですね」


 自分が鑑定した結果、この山で暴れていた氷鬼の魂の欠片があるらしい。黒猫が専門のドロップ落とさないか知りたいと調べた。それっぽいのを手に入れていた。


「『氷鬼の魂』っていうアイテムがある」


「これはインゴット化せずに使う、合成素材だね。金属と組み合わせることで氷鬼のスキルを付与できるみたい」


「新たな装備強化来た?」


 どうもそれっぽいぞ。ドロップアイテムの確認を終えて、早速里の一部を開放する。新たに鬼族という人達が来て、プレイヤーに新種族オーガが足された。


 ◇◆◇◆◇


 その後、黒猫はソロ討伐に出向き、何度かして討伐を繰り返す。だが『氷鬼の魂』は手に入らない。レアドロップなのだろうか?


 レシピの方を調べてみると、話にある『氷鬼の魂』が必要な魔法がある。レシピ的には???のままだが、強力な物か【凍狼の雄叫び】だろう。


 他にも似たようなレシピがある。召喚系だったらこの本は当たりの部類だろう。ただかなりレベルが要求される。古代語関係はかなり上げている自信があるが、他の人の方がいいか? 黒猫に聞いたら言語はいまのところおんなじくらいらしい。どうやって集めてるんだろう?


「よし」


 そして一つの実験をしようと思う。リファ、メリュジーヌ、錬金術としてグリモワール、サポートとしてシズクだ。


 目標は片手剣、両刃、属性は無。紋章、ルーンは攻撃力特化、特攻系を多数持たせること。


「それじゃ、行くぞ!」


 みんなで作る片手剣、ただひたすらに最高の環境と道具を使い、丁寧に丁寧に作り出す。シズクの能力は幸運値を上げる能力だ。幸運値、鍛冶師にも必要なのではと思ったんだ。


 成功率によって性能が変わる鍛冶、それに運の要素も入っているのなら、いまは最高レベルにサポートを受けている状態だ。


 それにより丁寧に丁寧に作った片手剣は………


「はわわわわわわわわッ!!」


 黒猫が驚くくらい、現環境最高の片手剣になった。


「すっげー!装備時に上がるステータスもさることながら、竜種特攻値もなかなか! 一番ずば抜けているのは現環境最高レベルの攻撃力、敏捷、斬撃力向上が高い!」


「属性が無い分、特殊効果を乗せられたよ」


「それに耐久値は片手剣類では一番高い数値出してる!間違いなくオーダーメイド品として現環境最高品質だよ!」


「しかもよく見てよ。これは魔法剣士にとって嬉しい能力持ちだよ」


「えっ!? ほっ、本当だ! 詠唱短縮(小)とMP消費軽減(小)もついてる!」


 黒猫がイエーイと喜び、自分も満足だ。この運要素の話は広めた方が良いかもしれない。自分はどうやっても片手剣、両手、短の杖、投擲武器などのもので良いのを作れない。


 専門になる両手斧やハンマーやメイス、槍も種類が増えて来た。弓矢で良いの作る人も出始めている中、全てに共有する情報は出しても良いだろうと思う。


「今度は材料が揃い次第、氷属性でのレッグを用意しようと思ってるんだ」


「氷系の?」


「アサルトウルフの上位みたいなオオカミボスが未探索エリアにいるみたい。オーガの人達が話してるんだ」


「おー確かに属性氷の上位互換っぽいね」


「だから次はそいつを倒して、周回して作ろうと思ってるんだ」


「分かった。私が見つけ出しておくね」


「うん」


 片手剣は氷鬼の周回ドロップ品をタダで卸していること、今後もタダが多いことからそのまま渡した。情報の方は鍛冶師スレが発狂するが、まあ仕方ないだろう。しばらくシズク系統のモンスターがテイム対象になるかもしれないな。

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