第24話・イベント終了:PV
メンテが終わると共にPVが公式ホームページに投稿され、ほとんどのプレイヤーがこれを見た。
「大変だ!巨大なモンスターが現れたぞ!」
「なんだと!」
町の人らしい人達が恐れおののく、巨人のような三匹のレイドモンスターに驚きながら、戦力を集めてみるが、ほとんどが蹴散らされている。
そんな中で現れたのは開拓者達だ。
「【ファイヤジャベリン】!」
「「「【ファイヤボルト】ッ!」」」
放たれる火属性魔法が炸裂する中、さまざまな戦闘シーンが流れていく。
黒猫が器用に切り裂きながら、妖精の演奏をバックに華麗に戦うさまだったり、ガーネット達が指揮しながら協力し合い、攻撃している荒野だったり。
「邪魔すんじゃねえよ!」
「ふざけんな!こいつは俺らのもんだぞ!」
「ぐあぁぁぁぁ!?」
爆薬を使いフレンドファイヤをしまくる平原だったり。
モンスターそっちのけで戦い出すプレイヤーと、協力し合い戦うプレイヤーの落差が酷かった。すでに掲示板も荒れている。
しばらくすると町の人達もそれを見て喜ぶ者と落胆する者で分かれていた。
草原がリアル時間で二日目、多くのプレイヤーのもとに討伐がなされた。町の人はそれはもう歓喜している。
続けて荒野、こちらも倒されると、小さなモンスター達が喜んでいた。なんならブラウニーもいる。そんな光景を写し取られた中、平原は?
「ぜんぜん減ってない」
HPが荒野への途中参戦どころか、全く減っていなかった。そこに王国兵士達が死力を尽くして突撃した。
多くの犠牲を出してもうだめかと思う王国、地響きで壁が壊された辺りで、開拓者達が現れる。
こうして攻撃目標が開拓者に向けられて王国への攻撃が止まった。遅かったがそれを喜び、勇敢に戦う開拓者に敬礼する様子が写された。
戦いはレイドモンスター二体を引き付けて戦ったアッシュがトドメを刺して幕が下りる。だけどこれはひどい。
「彼奴ら独占しておいて戦わなかったのか」
それが掲示板でも流れていて、かなり荒れている。
ちなみにあの後、ザ・ワイルドの連中は獲物を取ったなと文句を言ってきたらしい。これは無視してたら王国滅亡エンドだったろと騒ぎ出してるな。
ちなみに彼らの報酬は少なかったとのこと。運営にクレームを入れているが出るだけマシだろうこれは。
そう思う者が多い中、王国の扉はソードリザードマンに塞がれている状態。少し暗雲が王国を覆っていた。
これに対してトップガチ勢クランはすぐにソードリザードマンを倒そうと話がまとまっている。反対しているのはザ・ワイルドなどの連中だけ。
トップ勢はこれを完全無視、速攻で動くとのこと。
その様子を眺めながら、ため息をつく。今後どうなるか分からないが、王国はダメージを負ったのは分かった。
掲示板の方も別スレで王国復興スレなるものを作り、すでに話し合いが行われている。話が早いな。
心配されるのは王国側はこれで開拓者に対して風当たりが強くなるのではないかという声がある。確かにこれはひどいからな。どう転ぶのかは運営次第だけど。
「できることするか」
そう思いながら背中を伸ばす。とはいえ第一回イベントはこうして幕を下ろした。結構ポイントを稼げたが、あまり喜べないな。被害が出るならもう少し頑張りたかったし、この辺りは文句が出そうだ。
しかし、レイド戦だっていうのに協力し合わなかったのは理解できないな。ああいう連中のことは、ほんと分からない。
しばらく掲示板も荒れているため、交換リストなどの報告は別スレらしい。まあ当然だよ。
「もう少し様子見てからログインするか」
そう考えながら、メモしている果物やお肉の様子を確認しておく。野菜の種や収穫時間など。
リファ達のご飯の心配をしつつ、今後はどうするか考える。水晶の洞窟を攻略するか、王国へ行き、復興を支援するか。悩むところではあるな。
とりあえず食事の方の問題は無さそうだなと思い、しばらくは投稿済みの宝石箱や協力的なクランの動画など見ながら、時間を潰す。
交換リストが公式に発表され、プレイヤーの合計ポイントの発表された。
「おお凄いな黒猫。あまり参加してなかったのに、30位以内に入ってるんだから、さすがだね」
黒猫が30位入りしていて、アッシュなどが10位内に入っていたりしてる。1位はさすがに知らない人だな。クランだとかなり上位に食い込んでるなみんな。宝石箱は1位だ。すげえええ。
自分は50位以内に入っていた。これはリファの功績だろう。やはりレイド戦での妖精は強すぎるだろうな。ナーフされてもいいけど上昇スキルだけにして欲しいな。
「ふう、とりあえずイベントお疲れ様だな」
そう思いながら交換リストを見る。なにをもらうか、楽しみに見始めた。
黒猫達が今後どうするか分からないが、手助けできるならするか。まずは強力な装備か。紋章のモチーフ増やさないといけない。
あとの問題もゲーム内で解決できると良いんだが、そう思いながら掲示板からの情報を集めて時間を過ごすのであった。
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