第17話

完全に停車するまで席をお立ちにならないでください」

 数十分乗っていると、車内アナウンスが流れた。

「そろそろ、光里山駅前に到着いたします。ご降車のさいは、お忘れ物のないよう、お願いします」

 数分すると、光里山駅前についた。

黎慈はバスを降りて、駅前を少し歩いてみることにした。

 この駅は市内で1番大きな駅で、黎慈が東京から来る時もこの駅で一度降りてから乗り換えて、冨永山町まで来た。

 県内で三駅しかない、新幹線が通る駅だ。

 しばらく駅の中を歩いていると、何やら見たことがある後ろ姿を見つけた。

 遠くから見ても身長が小さいのが分かった。

おそらく亮なので、何をしているか聞きに行こうと近付いて行った。

 近付いていくと、亮が女の子と一緒に歩いて黎慈はもう少し公園を見て回ることにした。

 弓道場、バラ園、ランニングコースなど様々な設備があり、今度落ち着いたら景

佑や衣百合を連れてこようと黎慈は思った。

 バス停に向かう途中に、ジェラート屋があったので、黎慈は寄ってみる事にした。

 中に入ると、カウンターの前にメニューが色々あり、黎慈はキャラメルジェラートを注文した。

 この場所は色々な学校からアクセスが良いらしく、店内には様々な学校の生徒がいた。

 店内をよく見ると、男性が黎慈しかいなく、少し気恥ずかしさを感じた。

しばらく待っていると、キャラメルジェラートがやってきた。

 黎慈は代金を支払い、店の外で食べた。

 まだ四月なのもあり、まだ少し寒かったが、黎慈はジェラートを口に運んだ。

キャラメルの仄かな甘さと、ジェラートの甘さがちょうどよく、すぐに食べおわってしまった。

 時間を見ると、午後二時だった。

 その後、黎慈はバスに乗り、次の場所に行くことにした。

バスに乗ると、次の停車するバス停のアナウンスが流れた。

「次は、光里山駅前〜。車内が揺れますので、

いるのに気づいた。

 黎慈は亮の邪魔をしないように、他の場所に行くことにした。

駅中を出ると、左側に大きなビルが見えた。

 人が出入りしているのが見えたので、黎慈もその人たちについていくように建物の中へ入っていった。

 中は複合施設になっているようで、8階まで色々な施設があるようだ。

 黎慈はエスカレーターで順番に階層を登って行った。

 数階登ると、どこからかピアノの音が聞こえてきた。

黎慈がもう一階層登ると、ストリートピアノを弾いている男性がいた。

 黎慈はその男性の演奏を少し聞いていくことにした。

 男性の周りには黎慈しかいなかったが、そんなことは気にせず、気持ちよさそうに弾いていた。

 演奏が終わると、男性は階段を下って行った。

 黎慈は寮に帰ることにした。

バスに乗り、寮に着いたのは午後18時半。

 ロビーでは衣百合が夕食を準備していた。

黎慈も衣百合の手伝いをするために、荷物を部屋に置いてキッチンに向かった。

 2人で夕食を作っていると、なんと寮に景佑がやってきた。

景佑はキッチンにいる2人を見ると、『ああ、なるほどねえ、、』と言い寮を出て行こうとした。

 衣百合は急いで玄関に向かい、景佑を連れ戻してきた。

 黎慈はキッチンから景佑がここにきた理由を聞いた。

「で、なんで寮に来たの?飯でも食いに来たのか?」

「お!鋭いね。まあ、そんなとこかな」

「そんなとこ?」

「景佑くん、本当は私たちに何か話があるんじゃないの?」

「まあ、それが本題だ」


 黎慈と衣百合は準備し終わった夕食を三人分持って行った。

 黎慈は夕食を食べながら、景佑に話を聞いた。

「で、話って?」

「俺、昨日1人で夢の中に行ったんだよ」

「したらさ、この町の候成山公園あたりに、赤く光る扉を見つけたんだよ」

「それが、隠された記憶。っていうことか」

 景佑は夕食を頬張りながら、喋った。

「ああ、おそあくな」

「飲み込んでから喋れ」

 景佑は一呼吸おき、飲み込んでから再度話し始めた。

「ああ、おそらくな。ただ、その扉の周りには異常なくらいの化け物がいたんだ」

 衣百合は少し考え込んだ後、2人に向けて話し始めた。

「、、、ねえ、やっぱり私も、、」

「だめだ、危険すぎる」

「、、だよね。でも、私全然2人の役に立ててない。なんか、このままじゃだめな気がするんだよね」

「羽川さん、そんなに焦る必要はないと思いますよ」

「景佑の言う通りだ。元々2人で夢について解決するつもりだったんだ。衣百合は夢についての情報を探る。それでいいじゃないか」

「じゃあ、夢について聞いた情報を話すね」

 黎慈と景佑は衣百合の情報を期待して聞いていた。

「部活で聞いた話なんだけど、どうやら二年生の複数の女子生徒が、二年主任の和寿先生の夢を見た人がいるらしいの」

「しかも、全員似たような夢らしいの。和寿先生にセクハラ紛いの行為をされるってゆう、、、」

景佑と黎慈は見合って、もしかしたらの可能性があることに気がついた。

「それじゃあ、もしかして夢の主人って?」

「もしかしたら、和寿 那喜。かもしれない、、、」

「羽川さん!この情報は大きいよ!ほらね?役に立てたでしょ?」

「確かに!」

三人はお互いに見合って、笑い合った。

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