第15話

扉の中に入り、視界が明るくなると、昨日現実に帰還をした場所だった。

2人は夢の核を目指すことを目にし、歩き始めた。

 少し周りを歩くと、景佑が何かを見つけたようで、黎慈を呼んだ。

景佑が指を刺す先には、明らかにこの世界にあるような建物とは異なるものがあった。

 その建物は遠くから見ても大きさがわかるほど大きく、まるでRPGに出てくる魔王城のような風貌だった。

2人はそこが夢の核だと感じ、その場所を目指した。

 道中、化け物が2人を襲う中、ブラムを使い難なく進んでいった。

夢の核に進んでいると、まるで城壁のような建物があった。

 果てしなく続く城壁に圧倒的な存在感を覚えながら、2人は城壁に門や扉がないか探索し始めた。

 数十分後、黎慈は人型の巨大な何かが城壁に立っているのを見つけ、景佑を呼んで、そこに行くことにした。

 近づいていくと、そいつの後ろに中に入るための門があるのに2人は気づいた。

2人は忍足でそいつに近づいていった。

 そいつとの距離が数十メートルほどになると、そいつが喋り始めた。

「我はこの夢の主人を守るもの。ドリームキーパである。夢の主人に会いたくば、この私を倒すか、この夢の中にある、夢の主人がどうして夢の主人になったのか。その理由が夢の主人の記憶として隠されている。それを見つけ、また我のところに来るか。どちらか選びたまえ。自ら破滅に赴く愚者たちよ」

 2人は意見をまとめるために、一度ドリームキーパのもとを離れ、安全な路地裏

にやってきた。

「あいつ、意味わかんないこと言ってたけど、どうするよ。黎慈」

「今の俺らじゃあ、いつのことを倒せる力量はないと思う。おとなしく、夢の主人

についての記憶とやらを探してみるしかないんじゃないか?」

「一回、あいつと戦ってみないか?今までの敵はなんか物足りなかったんだ。今の

俺らなら、行けると思うんだよな」

「だめだ。そこまでの危険を冒してすることじゃない。現実世界への影響もあるか

もしれないんだ」

「、、、わかった。それで行こう」

 こうして、2人は街の探索を始めた。

黎慈は、ドリームキーパの最後の発言に疑問を持っていた。

(自ら破滅に赴く愚者たち、、、どこかで聞いたような?)

 黎慈はその発言について思い出そうとすると、その記憶に白い靄が掛かったよう

だった。

 少し険悪な雰囲気で2人は足を進めた。

 数分歩き、色々探したが埒が開かないため、一度夢から醒め、衣百合を交え現実

で話し合うことにした。

 安全な路地裏に入り、拳を天に掲げ、自分の胸に当てた。


鳥の囀りが聞こえる。

 黎慈は目を開け、時間を確認した。

時刻は午前7時。

 ちょうどいい時間だ。

 黎慈はロビーに行き、衣百合が用意してくれた朝食を食べ、身支度をして学校に向かった。

 学校に着くと、教室にはすでに景佑がいた。

黎慈は、景佑と衣百合を呼び、空き教室へ向かった。

 そして、夢の中で起きた出来事をまとめ始めた。

「昨日、2人とも夢の中へ行ったんでしょ?そこで起きたこと、教えてくれない?」

「ああ、そのために2人を呼んだんだ」

 黎慈はそう言うと、衣百合に昨日の夢の内容を話し始めた。

「夢の中の記憶?てことは、誰かがあの夢を意図的に作り出したってこと?」

「すまん、その説明を忘れていたな。そもそもあの世界は、、、」

 黎慈は少女が言っていたことを説明し始めた。

「化け物に夢の探究者。夢の主人、ブラム。にわかには信じがたいことだけど、2人は実際に体験したんだよね」

「羽川さん、俺らの話、信じてくれるか?」

「普通の人だったら信じないかもね。私は信じるけどね!」

「ありがとう。そう思ってくれて何よりだよ」

黎慈はそう言うと、再びドリームキーパが言っていたことが脳裏によぎった。

 その瞬間、黎慈の脳に激痛が走り、その場に座り込んだ。

「黎慈!」

「黎慈くん!」

2人が黎慈の元に駆け寄ってきた。

「ああ、少し目眩がしただけだ。気にしないでくれ」

「本当?無理はしないでね」

 黎慈は、その目眩に既視感があった。

その既視感の正体を疑問に思い、一日の学校生活を終えた。

 放課後は、衣百合が活動している陸上部を見に行った。

 陸上部はグラウンドの隅で練習をしており、部員数は少なかったが、皆熱心に練習をしていた。

 その中に、衣百合もいた。

 黎慈が陸上部が練習しているところまで近づいていくと、部員であろう1人が近づいてきた。

「うちの部活、サッカー部とか野球部とかに比べて部員数少ないっしょ?顧問の先生もやる気なくてさ、あんまり来ないんだよね」

「そう、、ですか」

「ああ、ごめんごめん。1人で喋りすぎだよね。二年の枝先黎慈くんだっけ?衣百合から話は聞いてるよ。陸上部部長、三年の桜乃泰芽(さくらのたいが)だ。よろしくな」

そう言うと、泰芽は黎慈の握手を求めるように手を差し出した。

 黎慈はそれに応じ、泰芽と握手を交わした。

「じゃあ、俺は練習に戻るから。気が向いたらでいいからさ、ぜひ陸上部に来てよ。歓迎するよ」

 泰芽は練習に戻っていった。

黎慈は、陸上部の練習をしばらく見て、寮に帰った。

 寮の鍵は閉まっており、裏口から入ると、中には誰もいなかった。

 特にすることがなかった黎慈は、少し仮眠をとる事にした。

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