第8話
寮についたのは午後4時半過ぎだった。
ロビーにはすでに亮がおり、三人で寮について話し始めた。
亮はこのことをすでに聞いてたようだ。
「黎慈、正直に言うと俺もどうするかの案が出てこない」
「ただ、俺らのこの寮を救えるなら、救える手段が少しでも存在するなら、考えてみる価値はあるんじゃないか?」
「うん。私も亮とおんなじ意見」
「ああ、まだ時間はあるんだ。少しでもその可能性を探ってみよう」
「私たちの場所を守るためにも、色々考えてみよっか」
三人が顔を合わせ、寮を守るために立ち上がった。
その後、三人は夕食を食べ、各々自分のことをし始めた。
黎慈が風呂から上がると、ジェラピケ姿の衣百合が庭のベンチに座っていた。
何やら考え事をしているらしく、黎慈はさりげなく衣百合の隣に座った。
黎慈が座ると、衣百合が少し笑いながら話し始めた。
「黎慈くん、そうゆうことしてると女の子勘違いさせちゃうよ?」
「大丈夫ですよ。俺、元いたとこじゃちょっと芋っぽかった学生でしたから。雰囲気自体は変わってないと思いますよ」
「そうだったんだ。そういえば、黎慈くんが元いたところの話って聞いたことなかったよね。聞いてみたいな、昔の話」
「いいですよ。つまらないかもしれないですけどね」
そう言うと、黎慈は転校してくる前のことを話し始めた。
「俺、両親がいないんです」
黎慈がそう言うと、衣百合は気まずそうにしていた。
「両親は俺が生まれた直後に死んだらしくて、あまり気にしてません」
「その後、東京の児童養護施設に入れられたんです。中学生まではそこに住んでました」
「高校生からでした。俺の人生が色々とおかしくなり始めたのは」
「高校受験が終わり、無事に合格しました。東京の高校入学してから、一人暮らしをしながらバイトをしていました」
「両親がいないことを理由に、後ろ指を刺されることもありました」
「入学してから一ヶ月後、その事件は起こったんです。俺に対するいじめが加速したんです」
「自分のことで手一杯だった俺は、次第に心身ともに崩れていきました」
「その内、学校に行くことが億劫になったんです。それから不登校になりました」
「これからの人生、どうなるんだろうって考えていたら、この学校が見つかったんです」
「学費無料、寮がある、田舎の学校。当時の俺にとっては、神のような環境でした」
「自分を知っている人がいない、それだけで十分だったんです」
「それで、この学校にやってきたんです」
「大変だったんだね。これからは一緒に思い出を作っていこう。まだ間に合うよ」
「俺もそう思っています」
黎慈は今までの境遇を話したことで、スッキリしたらしく、少し笑いながらまた話し始めた。
「今は思い出を作るためにも、寮のことをなんとかしなくちゃいけないですね」
「そうだね」
黎慈の話を聞いていくうちに、衣百合は何かに気づいたらしく、そのことについて話し始めた。
「そういえば黎慈くん。敬語、使わなくていいいよ。こうして昔の話もしてくたんだし、これからは先輩じゃなくて友達。ね?」
「はい、わかりまし、、、。分かったよ」
「うん!それでいい!じゃあ、体冷えるから、私は戻るね。黎慈くんも、風邪引かないでね」
「うん。じゃあ、おやすみ」
「うん、おやすみ黎慈くん」
そう言うと、寮のロビーに戻っていった。
黎慈も連日の疲れが溜まっており、早めに寝ることにした。
黎慈は早々に寝床に入ろうとしたら、景佑から連絡が来た。
『今日はまた夢の世界に行くのか?俺はどっちでもいいぜ』
黎慈は夢の世界でのことが寮のことを解決させるかもしれないと思って、景佑に夢の世界に行ける旨を伝えた。
『今日もいこう。あの世界についてもっと知りたい』
『分かった。それじゃあ、また夢の中で』
景佑がメッセージを送信すると、黎慈もアイマスクをつけて寝た。
「今日も来てくださったんですね。あまり無理をしないでください、お二人方」
あの少女の声が聞こえ、黎慈は目を開けた。
横を見ると景佑がおり、夢の世界に行きたい旨を少女に伝えようとしたら、先に少女が話し始めた。
「今日は最初にあの世界について、私が調べましたのでその結果をお知らせします」
「お!何かわかったのか?」
「はい。あなた方が昨日あの世界に入ってくれたおかげで、私はあの世界の安全性を確証できました」
「結論から申し上げますと、あの世界はあなたたち人間が作った世界です」
「あの世界は、人間が抱いている理想郷が夢の世界にて具現化した姿です」
「普通の人間では作ることができず、人よりも数倍近い欲望がないと現れません」
「そしてあの世界は私が感じ取れた限りだと、全部で7つの世界があるはずです」
「現実世界で夢が原因で人がなくなっている原因はわからないのか?」
「そこまではわかりません。ですが、その夢の世界を作った大きな欲望の持ち主が夢の世界の中にいると推測できます」
「夢の核、中心地に大きな存在を感じ取ることができました」
「大きな欲望の持ち主は、一つの夢の世界で1人。とゆうことは、全部で七人いることになります」
「つまり、その7人を夢の世界で倒せばいいんだな?」
「左様です。ただし、夢の世界はまだまだわからないことだらけ。十分注意してください」
少女がそう言うと、黎慈は夢の中で使えた謎の力について少女に聞いてみることにした。
「キミがくれたあのヘッドフォンをかけたら、謎の強大な力が使えたんだけど、あれは?」
「あの力は、一時的に身体能力を底上げする力、夢での力。ブラム、とでも呼びましょうか」
「そのブラム、とやらは使うことで現実での支障はあるのか?」
「現実と夢の世界が融合でもしない限り問題ないかと。もっとも、そんな可能性は微々たるものですのでご安心を」
少女がそう言うと、黎慈と景佑は夢の世界に行った。
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