12 「順番は大事」
次の日。
出社すると、エレベーターホールで聖也に会う。
起きた時にラインを見たが、聖也の返信は無かった。
既読はついていたので、読んだとは思う。
「おはよ」
俺から挨拶をした。
「お前昨日のラインなんだよ? 初デートでイキナリはナシだろ」
不機嫌そうな聖也。
...まあ、ナシだよな。
聖也がそう言うなら、やっぱり初回はダメか。
「でも俺ゴムの付け方わかんない。どうしよう?」
「お前、俺の話聞いてた?」
聞いてるって。
初デートはナシだけど、2回目以降はアリってことだろ?
「聖也、つけるとこ見せてよ。プロだろ?」
「誰が見せるか!」
何を恥ずかしがってるんだ。
兄弟のように育てられた俺達は、子供の頃よく一緒にお風呂に入っていた。
今でも時々サウナや銭湯に行く仲だし。
お前のモノなんて見飽きてる。
「俺の父さんも、兄さんもデキ婚だぞ。うまく避妊出来なかったら俺もデキ婚しちゃうかも」
そんなに避妊って難しいものなのか?
何故俺の家系は、すぐ子供を作るんだ。
父さんなんて、あれだけ堅そうなのに。
母さんが昔言っていた...『金持ちと結婚したかったから、パパを誘惑して子供を作らせた』って。
...金目当ての女にまんまとやられるなんて、嘆かわしい。
「じゃあ父親に聞けよ」
「そんなこと父さんに聞いたら怒られるって。俺の父さんが怖いの、聖也が一番わかってるだろ」
聖也の仕事は従業員の管理と監督だが、ほぼ専務と四六時中一緒にいる。
会社で一番のパワハラ上司と呼ばれている父さんの下で働けるのは、聖也しかいないだろう。
「それに、失敗した人に聞いてもなあ。聖也は成功してるじゃん」
エレベーターが来たので二人で乗る。
「多分だけど、お前の父さんも兄さんも付けなかっただけだぜ」
「え、じゃあ付け方わからなかったのかな」
別にデキ婚でも俺はいいけど、子供を作る前に1、2年は2人の時間が欲しい。
理想は聖也の両親だ。
あの二人はいつまでもラブラブで羨ましい。
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