第13話 病院での出来事
病院に着いて、一通りの検査が終わり母は入院する事となった。
大きな異常は見られなかったらしいが、まだ母の意識も戻りはしたがすぐに眠ったらしい。
暫くすると、先程連絡した近所のおじさんも駆け付けてくる。
「一馬くん、お母さん目を覚ました?」
母の容体はある程度電話で伝えておいたが、
先程と状況は変わって無い事を説明をする。
「そうか、大事ではなさそうでよかったな。ふらっと遊びに来て話してたら急に倒れてしまってね……一馬くんの事、心配してたよ」
「え?」
「お母さんとはちょくちょく話をするけど、一馬くんに日頃家計の負担を押し付ける形になって申し訳ないって、何か負担かけない方法は無いかっていつも相談受けてたよ」
「……」
「お母さん、君もわかってると思うけど自分が重荷になってる事悩んでるんだよ」
「だけど!そんな事言われて、俺の失った生活戻って来るの?」
「一馬君の言ってる事もわかるよ。でももう少しお母さんの気持ちわかってあげられないかな。さっきも喧嘩したんだって?
お母さん泣いてたよ。でも、久しぶりに話が出来たって喜んでもいたんだよ」
「……卑怯だよ、こんな状況を利用してそんな話するなんて……家族でも無い他人のおっさんに何がわかるって言うの?」
「何も分からないのかもね。だからこそ理解しようとする事が必要なんじゃ無いのかな?一馬君はお母さんの気持ちを理解しようとした?」
「俺はいつでも他人の事を誰よりも考えてるよ!見てよ、このSNS。フォロワーも1500人位居る!これ皆俺を慕って来てる人達だよ」
「本気で言っているのか?そんな数値だけの友達、何の意味がある?目の前の現実を見たらどうだ?」
「目の前?歳とって古い考えしか出来ないおじさんにはこの凄さが判らないんだろうけど、これが今の友達であり、今の俺の生活なんだよ」
「……」
おじさんは黙ってしまった。
どうやら俺の言い分が正しいとわかったのか、俺に勝てないと悟ったか、少し悲しげな顔をしている。
相手を言いくるめるのは嫌いじゃ無い。
「……わかった。私はもう帰る。君と話が出来て良かったよ。お母さんを大切にな」
そう言うとおじさんは突然帰ってしまった。
俺の事何も分からないくせに、知った様な事ばかり言うから言い負かされるんだと、俺は思った。
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