第12話 代償

日が落ちるまで車で走り、帰ってくる。

あのまま家に居ても喧嘩がエスカレートするだけで良い事が無いのは判る。

車で出かけ、クールダウンして帰って来る。

そして、ばつが悪いが家にそのまま入る。


どうやら今隣の家のおじさんが遊びに来ているらしい。

昔から仲良く、家族ぐるみで付き合いのある信頼のおけるおじさんだ。

……が、様子がおかしい。


「一馬くん、大変だ……お母さんの意識が無い……」


俺は驚いて母の元に駆け寄る。

母はぐったりしている。

俺の中でさっきまでの出来事がぐるぐると回っている。


「一馬君、救急車を呼んでくれ!」


「あ、は、はい。そうだ、救急車だ」

おじさんの一言で我に帰り、救急車を呼ぶ。


俺は部屋の戸締りをして救急車に乗り込もうとした時おじさんに声をかけられる。


「一馬くん、後で連絡をくれ。助けが必要なら後で病院向かう!」


俺は「わかりました」と返事をして救急車へ乗り込む。


そして母と病院へ。

救急車の中では既に救急隊員が脈の測定や色々な処置を行っている。


目の前で起こっている事に対して何も出来ない俺は、家を出る前の母との揉め事をずっと思い出していた。

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