第11話 親子のいざこざ
「何でこんな所に俺の荷物が置いてあるんだよ!ふざけんなよ!!」
怒りのあまり、考えるより先に暴言が母親に向けて堰を切ったように次々と出て行く。
「大体何だよ、都合の良い時だけ手伝ってくれとか、生活費稼いでるの誰だと思ってんだよ!お礼の一つもないし、自分は寝てTV見てるだけ。やりたい事も出来ない、アンタの所為で俺の人生滅茶苦茶だよ!」
母親は驚いているだろうか、神妙な顔で大人しく話を聞いている。
「父さん居なくなってからずっとこれだよ、俺の生活いつまでこんな事続けなきゃならないんだよ!」
漸く母親が口を開く。
「ごめんね一馬、アンタには迷惑かけて申し訳ないと思ってるよ。でも……」
「もういいかげんにしてくれ、言い訳も聞きたく無い」
俺は母親の声に耳を傾ける事なく、一方的に文句を言って車のキーをとり家を出て行こうとする。
「待ちなさい!一馬」
母親に腕を掴まれるが、振り解く。
その拍子に母親が後ろに派手に倒れる。
横目で母親を見ると倒れたまま涙を浮かべながらこちらを見ている。
俺は構わず車庫へ向かう。
車に乗り込み、エンジンをかけそのまま出発する。
俺は宛ても無く車を走らせる。
その日、外はとても陽射しが強く感じた。
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