第10話 親の手伝い

さっきのショックがかなり大きい。

フラれた事もそうだが対戦会に対する自分の考え方、今迄の人格全てを否定された感覚がある。

今日も夜にバイトがあるので眠らなければならないが、全く寝付けない。


スマホには鉄さんからのメールが来ている。

恐らくどうなったのか顛末を知りたいのだろうけど、返信どころかメールの文面を見る気にすらならない。


どんなに考ても俺をフったみやの落ち度も見つからない。

何処をどう見ても自分の落ち度しか見つからない。

自分に対するどうしようもないイライラが募る。


そんな時、母親が俺を呼んでいるのが聞こえる。


「一馬!居ないのかい?」

母親は病気とは言え日常生活を送るには何とか問題ない状態だ。

数年まともに話もしていないのに呼ばれるのは珍しい。

行ってみると、通販で購入した大きな荷物が届いているので片付けを手伝って欲しいとの事。

いくつかの大きな荷物が纏めていくつか届いたらしく、1人ではどうしようもなかったらしい。

大きいと言っても俺1人で何とかなる大きさだ。


俺は言われるがまま、親に返事する事も無く無言で手伝う。

早く済ませたくて部屋の隅に大きな荷物を適当に置こうとした時、他の荷物が足に引っかかり俺は荷物ごと倒れる。

足元の引っかかった荷物は潰れてしまう。


その潰れた箱からは、今流行りのゲームの美少女フィギュアの手足が無惨に覗いている。


「!!」


俺は声にならない声を上げた。

元々生産数が少なく、オークションを使い高値で何とか落札したとてもレアなフィギュアだ。


俺の中で何かがぷつんとキレた。


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