第6話 ネット配信での対戦
バイトが休みの日の夜。仕事が休みなのでゲームの予定を入れてある。
ネット上での友達と1対1の対戦だ。
有名動画サイトで配信しながらの対戦。
そのサイトは動画を見ながら色々コメントを書き込む事が出来るサイトだ。
俺と対戦相手、そしてゲームを実況してくれる実況者もついている。
対戦相手はよく対戦会でも仲良く遊んでいて実力は俺と同等、同じゲーム界隈でもかなり有名な人だ。
この企画は俺達では無く普段実況動画を流している実況者からの提案で、俺達は快く受けた。
簡単な実況者の挨拶と俺達対戦者の紹介後、試合が始まる。
「よろしくお願いします」
「よろしくお願いします!」
俺達もボイスチャットを繋げてはいるが試合中は殆ど喋らない。
相手の邪魔にもなるし、自分も集中したいからだ。
実況者の声は一応どちらにも小さく聞こえるようにはしてある。
ルールは10本先取。
互いの力は五分五分、なのだがたまたま俺が先に6戦を一方的に勝ってしまう。
俺を惜しい所まで追い詰める事もできていない。実況者側でも困惑している様だ。
俺は勿論普段の相手の実力も理解しているのでまだ温まっていないのか、緊張しているのかそんな所だろう。
そんな時、配信動画サイトにとあるメッセージが書き込まれる。
『これ、誰がマッチングさせたの?一方的だよね、初心者狩りして"俺強いー"って誇示したい人が配信してるの?』
この一言を皮切りに次々と俺への批判メッセージが書き込まれる。
『性格悪っ!こんな所でいい気になってもプロの足元にもおよばないのに』
『相手の気持ちも考えろよ』
対戦横目でモニタを見ていた自分の目を疑った。相手も自分も全力で戦っているのに。
『相手が可哀想だよ、やめてあげて』
『そうまでして勝ちたいかね』
書き込みが見るに耐えない。
俺は書き込みの内容からの焦りで一本落としてしまう。
『図星突かれてわざと負けたんだよ』
『見え見えだねぇ、やだやだ』
……そんなこんなでかなり集中力を削られたが7-3で勝利を収めた。
実況の人達が必死に弁解に走るも虚しく俺への批難コメントばかりの対戦になってしまった。
試合が終了した今も俺への罵倒が鳴り止まない。
対戦相手とは試合後も仲が悪化した訳でも無く軽く挨拶し「こういう事もあるよね」
と笑いながら「またいつか仕切り直そう」と約束し、実況配信動画は幕を閉じた。
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