第2話 ネットの対戦会

時間になり、いつものメンツが続々とログインしてくる。


「おはよう」

「おはようございます」

「おはよ」


色々な人達がネット上に作成した部屋に入室してくる。

同時に音声チャットが繋がり、挨拶を交わす。

対戦ゲームと言う事で殆ど男ばかりの対戦会だが、数人だけ女子も居る。

女子の出席は毎回では無いが、たまに入って来る程度だ。


「あー、おはよ」


この人は「みや」さん。

女子の中では1番出席率の高い、しかもかなりの強さを誇っている。昔は弱かったが、今では対戦会の中で1番強いとさえ思う事がある。実際俺もよく負ける。


他にもかなり高齢の男の人や、勿論俺より若い人、様々な人が居る。


人数が集まって来たので、主催の俺がチーム分けをして対戦が始まる。人数多いので各々別れたパーティでの総当たり戦をいつも行う。


色々な人が勝ち抜き対戦をする。

一人みやさんは圧倒的な強さで勝ち進んで行く。


俺はいつものように実況を入れ場を盛り上げる。

参加者とゲームキャラの設定や思い出など他愛のない会話も交わしながら。

その間もみやさんは殆ど喋らず並居る参加者に勝ち続けていく。


「あー。今日もみやさんの勝ち数越せないな」

皆が口々にそう呟く。


「でもいつもギリで勝ってるだけだよ。運が良かっただけ。次は分からないよ」

口では謙遜しながらも鬼神の如き強さで皆に勝っていく。


そして、みやさんの大勝利で今日の対戦会は終わる。


皆が部屋でてログアウトしていき、俺と最後の一人になっだ時、とあるフレンドが話しかけてくる。


「おい、まだ言ってないのか?」

話しかけてきたのは俺よりも随分年上のいつも面倒見の良い鉄(鉄)さんだ。


「えっ?な、何の話?」


「とぼけるなよ、みやさんの事。好きなんだろ?皆にもバレバレだよ」


突然図星をつかれたので驚きを隠せなかった。

「ばっ……ばかな事言いわないでよ。

そりゃ少しはゲーム強くて、あまり喋らなくて飾らない所がカッコいいかなとも思うけど、そんなんじゃないから!!」

思わずムキになってしまう。


「そう?なら別にいいんだけど、なんかあったら助けるから言ってくれよな」

鉄はそう言うとログアウトして行った。


みやさんか……確かに他の女子より好みではあるけど、謎が多いんだよな。


今度それとなくお誘いしてみようかな……?


なんて思いながら今日の対戦会は幕を閉じた。

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