第3話 新しい学校
次の週のはじめ、ヘンリーは新しい学校に登校することになった。
前の学校では
ヘンリーはマリーに連れられて
「すみません」
マリーが声を
「はい、なんでしょう」
「
その男性はヘンリーに
「ああ、君がヘンリーか。はじめまして」
ヘンリーは小さく「はじめまして」とだけ答えた。
「では、校長のところに
歩きながら、その人はアーロンと名乗った。
「ここが校長室です」
「ご
ヘンリーはマリーの
「いえいえ、どういたしまして。ヘンリー、またあとで」
そう言うと、アーロン先生は去っていった。
ドアをノックすると、中からしわがれた声が聞こえた。
「はい、どうぞ」
声からするとどうも女の人だと思われるが、ひょっとしたら男性かもしれない。いずれにしても
ドアを開けて中に入る。ヘンリーは、男の人かな、女の人かな、と心の中で
「お待ちしていました。私は校長のドロシー・ムーアです」
ヘンリーが黙りこくっていると、マリーが背中に手を当てて
「ヘンリー、ヘンリー・マイルズです」
「ようこそ、ヘンリー」
ドロシー校長は
ドロシーとマリーはいくつか学校の決まり事について話していたが、やがて、
「では教室に行きましょう」
といってドアを開けてくれた。
「ではお母さんは
「わかりました。じゃぁね、ハリー」
「あ、うん」
ヘンリーは急に不安になってきた。ここからは
教室は
校長先生はお
「さ、自己紹介して」
ほらきた。やっぱり
「ヘンリー・マイルズです。クリックスシティから来ました。好きな食べ物はサンドイッチです」
『サンドイッチ』は先日ベーカリーで買ったサンドイッチを思い浮かべて
「それじゃあ、ヘンリー。そこの一番後ろの席へ。
席につくと、リサと呼ばれた
「リサよ。ヘンリーって、
「パパとママからはハリーって呼ばれているよ」
「そう。ハリー、これからよろしくね。私のことはそのままリサでいいわ」
がっしりが顔を近づけてきた。
「よう、ハリー。
「うん、そうだよ」
「クリックスシティかあ。ここよりだいぶ
今度はのっぽが言った。
「えっと、えっと、俺、ペーター。よろしくな」
最後に太っちょが言った。がっしりがボブ、のっぽがロバート、太っちょがペーターだ。こんなにたくさん、
「うん、よろしく」
「クリックスシティってさ、どんなところなんだ?」
ボブは都会に
「うーん、そうだなぁ。…街は
急にそんな事を言われても、と
「ビルとか公園ならトーンタウンにだってあるし、池も町のはずれに行けばいくらでもあるぜ」
ロバートが
「
と言った。
「あったよ」
「マジかぁ、さすが都会。ここじゃ電車で
そうか、映画館があるかないかが都会と田舎の
そんなふうにしてわいわいとお
「今度の週末さ、一緒に
そう言うとボブは
家に帰ると、マリーが
「お帰りなさい、ハリー。新しい学校はどうだった?」
「うん、楽しかったよ。クラスの男の子たちと今度一緒に遊ぶんだ」
まあ、と口の前に手をかざして、マリーは目を見開いた。
「もうお友達ができたのね。うちがこんなじゃなかったら遊びに来てもらうのに」
振り返って家の中を見回す。ソファはまだスプリングが飛び出したままだし、テーブルの脚もそのままだ。
「パパは?」
ヘンリーはさりげなく話題を変えることにした。そういえばダニエルの姿が見えない。
「お仕事を探しに行ってるわ。なかなか難しいみたいだけど」
トーンタウンに来る前はクリックスシティよりも仕事があると聞いていたけれど、
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