26話 久しぶりの錬丹術
「すまない2人とも。ここに向かってきていたグリフィンの群れがいてな…2人に危害が加わる前に始末しに行ってたんだ。いや…これはいいわけだな。2人のピンチの時にそばにいてやれなくてすまなかった。」
「ほんとに死ぬかと思ったんだからね?!グスッ!もう!」
「そうよ天老君、私も死んで…家族も助けられない…、あなたに裏切られたかっと思ったわ。グスグスッ」
「う…、本当にすまない。お詫びになんでもしよう、俺にできることなら。」
「「じゃあ顔見せて」」
2人は泣きが収まってきていて、少し落ち着いてきたからなのか、まったく同じ願いを言ってきた。
「わかった、顔は見せよう。でもその前に傷の手当てをしないとな。ちょっと待っててくれ。」
確か俺の識海(精神の中心のようなもの)にしまってあった空間法器があったはず…。あったあった。二人の傷から見て…致命傷はぎりぎり避けられたようだが、かなりボロボロだ。あとは精神面もかなりすり減っているようだ。これなら…回春丹あたりか。
「錬丹術のために…一応丹陣も描くか。補助丹陣は…これでよしっと。」
「師父何してるの?」
「2人の…そうだな、回復薬のようなものを今から作るんだ。」
「それは…ポーションってこと?」
「飲み物じゃない、個体のちっちゃい薬のようなものさ。」
「あなた…薬学にも精通しているの?」
「ああ、まあ精通しているといえる、かな。だが多分ポーション作成とかはできないな。(俺が知っているのは仙界の素材の話だしな。)」
「精通しているのにポーションは作れないの?」
「フム…使う素材の作用を調べればうまい具合に組み合わせられると思うが…やはり完璧には仕上げられんだろうな。そもそも俺の使う薬の作り方と全く違うしな。」
「「全く違う??」」
「ああ、いまからそれを見せよう。三味真火!」
陣の中心に火が現れ、
「薬剤投下」
アドリウスがどこからか取り出した素材を一気に投下した。
「回龍昇、千魂餐!」
その錬丹術に呼応するように、地面から霊体のようなものが出てきて、その火の中に吸い込まれていった。
「仕上げだ!」
そうアドリウスは言うと、血を吐き火の中に入れた。そのあとすぐさま火の中に手を突っ込み、中の薬剤だったであろうモノの集合体をつかみ取った。
「ハア…ハア…、血丹術も使った7級天品の回春丹、10粒完成だ!」
「な、なに今の…火の中に薬剤を入れて薬を作った…?ミ、ミラはあれが何だか知ってる…?」
「し、知らないかな…師父がやってることはほとんど初めて見るものばっかりだから。ていうかそんなことより血吐いてたけどだいじょうぶなの?!」
「ああ、今のは血丹術という技で、自身の精血を加えることで丹薬の質を上げるというものだ。連続で使いすぎると問題だが、一回や二回なら使ったところでなんの害もないよ。」
「それならいいんだけど…」
「とりあえず2人ともこれを飲んでくれ。傷に効くのと精神を回復させてくれる作用、それとうまく吸収出来れば体と精神の強さが上がったりもする。(本当は功力をためることもできるが、いまは回復と肉体の強化に重きを置いた方がいい。それにまだ功法を教えていないからな、どちらにしろ功力に変えることは無理か。)」
「「わかった(わ)…」」
「2人とも胡坐の体勢で飲んでくれ、俺が後ろから君たちの丹薬の吸収をサポートするから」
2人は素直に言うこと聞き、胡坐をかいた状態で丹薬を飲んだ。
「今から体の中を何かがうごく感覚がすると思うが、その流れに逆らわず流れに身を任せてくれ。そしてそれが終われば…俺の顔を見せるとしよう。」
2人はまだ回復していないのに、余程俺の顔が気になるのか、とてもワクワクしているであろう感覚が伝わってきていた。
「全く…、じゃあ始めよう。」
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