第17話 ストーカー?
「今日でもうミラを指導して2か月たったな。ミラも順調に強くなっているし、俺も無事Dランクになれたしな。」
クラウディアからミラを指導し始めてから1ヶ月ほどたった時、そろそろ昇格させることができるといわれ、無事昇格した。ギルド内でいくらか反発が出るかと予測していたらしいが、俺がAランクの依頼を達成していたことが俺の昇格を後押ししてくれた、とクラウディアは言っていた。まさか俺の個人的な実験が役に立つとは、やったね!うむ…オレにこういうノリはあんまり合わないか?天帝がやったね!いえい!とか言ってたらキャラ崩壊もいいとこだ。
「師父?聞いてる?」
「ん?あ、ああ。もちろん聞いている。どうした?」
「聞き直してくるってことはやっぱり聞いてないんじゃん…。私の!言いたいことは!師父に!本気で!弟子入りしたいってこと!」
「本気か?」
「もちろん!師父の空を飛ばす剣とか、周りの生物を圧倒する気迫だとか威圧感だとか、そういったことを学びたいと本気で思ってるから!それに弟子入りすれば…師父の使ってる魔法でもオーラでもない謎の力のこと、教えてくれるんでしょ?」
ミラはクラウディアから少し魔法を教わっていたこともあってか、この2ヶ月でかなり伸びた。基礎がしっかりしていたからな。それに加えてまだ操るには程遠いが、オーラそのものを感じ取るところまではできるようになった。そのせいか俺が功法を使う際に、魔力もオーラもどちらも使っていないことに気づいたようだった。もちろん、すぐに気づかれたわけじゃない。この2ヶ月ずっっとそばにいたからな、何度も何度も近くで見ていればさすがに気づかれるのは…まあ当然といえるだろう。
「それに…師父の顔も見れるしね?」
…あきらかに功力のことよりもこちらに関心があることがわかる。以前見せるといってしまった手前、見せないとはいえない。ミラもそのことをずっと楽しみにしていたようだしな…。だが男ということを言うことはリスクがある。ミラはまだ子供だ、といっても俺より年上だが。だから…男とあったことがあってさらには嫌な思いもした、という可能性は低いだろう。だがクラウディアは…実力もあるなによりギルドマスターだからな、もしかしたら貴族の男とあったことがあるかもしれない。となると男だとばれるともう関わってくれない、ということになるかも…。せっかく新たな道を歩むと決めたのに、そこで初めて関心を寄せた人から俺が原因じゃないことでかかわってもらえないとなると…少し、いやかなりへこむぞ。まあ十数離れているし、もとからどうにかなるなんてことはないのかもしれないけど…でもこの世界でも若い姿は保っていられるし、見た目を若く保っている人が本当に若い人とくっつくことも全然珍しいことじゃないみたいだし?少しでもチャンスがあるなら…それを不意にはしたくない。まあクラウディアにはなぜか関心が行くというだけで、性的な意味で好きかどうかはまだ不明だが…。
「本気なのはわかった、だが顔を見せるのはまだ待ってくれ。なにがあっても今後必ず見せるから、今すぐにはまだ無理だ。」
「えー話と違うじゃん!顔を見せてくれるっていうことを、師父の厳しい指導を乗り切るモチベーションにしてたのに~」
そうだな…それとなく男が関係する依頼を受けて、ミラが男に対してどういう反応をするかを見よう。この反応次第で決めよう、もし嫌悪が見て取れたら…奇骨縮功を使って顔を女にしてから見せるとしよう。そうしたとしてもどのみちいつかは、見せなくてはならないだろうが…。
「ねえ師父、最近ずっとこっちを見てる子がいるけど…このままほっといていいの?」
「そういえばそれもそうだな。もう見られ始めて3週間ほどたっているしな…」
「え?!ウソ?!一週間半ぐらい前からかと思ってた!」
そう、ここのところミラのことを指導していると、50Mほど離れた場所からずっとこちらを見ている娘がいる。悪意はなさそうだったから放っておいているが、さすがにこれだけ見られているのだから、接触してみるべきかもしれないな。
「ミラ、今から移形幻位というものを見せる。」
「移形幻位?」
「そうだ、俺は身体を一定の型に沿って動かすことを身法と呼んでいるといったろう?そしてその中でも足に関することを歩法、というところまではおしえたな?」
「うん、難しすぎてまだ私がいっっっこもできてないやつね!」
すこし不満げに言ったのは気のせいか?
「そうして歩法を極めると、そこにもともといなかったように、まるで幻のように消えるように見えるほど早く動くことができる。それが移形幻位だ。今からそれを使ってこちらを見ているこの背後に回るから、ミラの身法のとりあえずの今の目標がこれくらいだ、ということを念頭に見ておいてくれ。」
「え…?まだ一回もできてないのに、そんな聞くだけでも絶対難しそうなやつが目標なの?!」
「ああ、俺の弟子ならそれくらいはできないとな。よしじゃあ行くぞ。」
そういった瞬間、アドリウスの体はまるで幻だったかのように消えた。
「え?!ほ、ほんとに幻みたい!!!」
そんな声がさっきまでアドリウスのいた方向から聞こえた。
「さて、君はここ3週間ほど俺たちを見ているようだが…いったい何の用かな?」
「!いつのまに?!」
声をかけた瞬間すぐさまその場から離れたところを見ると、反射神経がいいようだ。
その反射神経のいい娘は、きれいな銀髪をした顔立ちの整っている子だった。
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