第12話 弟子と活動方針

 「よろしくお願いね天さん。年も近そうだしため口で構わないよね?」 

 そんなことを言ったのは俺の新たな弟子であり、クラウディアの娘であるミラだ。クラウディアには関心を持ったが、さすがにミラには異性としての関心はない。ロリコンではないからな。彼女の容姿は成長したらクラウディアとはまた異なった美人さんになるだろう、といった顔立ちだ。まあ今はそんなことよりも…

 「ため口で構わないが、俺のことは今後師父と呼んでくれ。君の母から聞いていると思うが、今後はミラのことを指導していくからな。」

 「し…ふ?わっかっ…た!師父ね!よろしくね師父!」

 「ああ、よろしくミラ。ところで今後の活動についてだが、君の指導をするとは言っても俺はまだFランク冒険者だ。だからまずはランクの低い依頼をこなして、それと同時に依頼を通して実戦経験を積んでいく、という形にしよう。もし危険なことがあれば俺が介入するということにしよう。どうだ?」

 「わかったよ師父!それにFランクって言っても、天の実力は昨日見た限りだと、Bランクを余裕で超えてる感じがしたし。あ、あと気になってたんだけど昨日使ってた力はオーラ?それとも魔力?」

 ふむ…?功力のことを教えるべきか…?だがこの世ではおそらく使い手は俺だけだし、むやみに教えるかどうかは慎重に決めないと。

「それはまだ内緒だ。ミラが実力をつけて、あとは信頼関係を築いいたらおしえてやろう」

 「えー、私のこと指導してくれるのに教えてくれないの?」

 「実力が付けばわかるようになるさ」

 嘘です。クラウディアも俺の母様達も見抜けなかったからな。オーラマスターでも大賢者でもどうやったか見当がついていなかった。いや、正確にはオーラと魔力がこの世の常識だから、この二つ意義の可能性がある、とそもそも考え付かないのだ。

 「もしミラが今後俺を気に入ったなら、実力がある程度ついた後も指導し続けてもあげるしな」

 「ふーん、じゃあ…私が気に入るようなところを見せてくれること、期待してるね?」

 こいつ、あざといな!まあミラも俺のことを女だと思っているからノリでこんな感じで話しているんだろうけどな。でも…よく考えるとこんな世の中で男とばれたら、ミラもクラウディアも嫌悪感を示すのではないだろうか?早めにいうべきか?それとも隠し通す?いや、まだ信頼関係も何も気づけていないのにどこまで考えているんだ。だが二人が信頼関係を築いた後も、男とわかっても嫌いにならない人だといいな。

 「まあ期待しているといい。俺が指導するからには確実に強くしてやるから。」

 「うん!おっけー!」

 昨日初めて話しかけられたときとは違って、軽いな。そのほうがありがたいけどね。

 「じゃあまずどの依頼を受けるか決めよう。最初は…小さいモンスターを狩るところから始めよう。薬草採取とかは実力が付くわけではないから後回しだ。どれがいい?」

 「うーん、これにしよう!キラーラビットの雄を狩る依頼!これ結構ギルドでも長く続いてる依頼なんだよね。高位の冒険者が出るほどではないけど、駆け出しの冒険者だとぼろぼろになりながら一匹狩れるかどうか、ってレベルなんだよね。あと繁殖力がすごいから数も多くて定期的に狩らないといけないし。」

 「なんでオス指定なんだ?」

 「メスは繁殖のせいで気が荒いし、オスよりも大きいからね。危険度が段違いなんだ。キラーラビットのメスになると…これかな!Cランクの依頼!四つもランクが違うんだ。まあ師父ならキラーラビットのメスも倒せそうだけどね?それも結構簡単に」

 「そうか?ずいぶん俺のことを高く評価してくれているな。」

 「まあね。昨日ママとも話したけどママも同じくらい師父のこと評価してくれてるよ?」

 「これは責任重大だ。これでミラのことを強くできないと失望されてしまうからな。」

 「大丈夫だと思うけど…とりあえずこの依頼にしよう!エミリ~!この依頼受理して~!」

 「はーい!ってお嬢様?!ついにマスターに認められたんですか?!」

 「うん!師父とパーティ組んで、指導してもらいながらっていう条件で認められたんだ~!」

 「師父…?」

 「俺だ」

 「ひゅっ!あ、ああ!天老君ですか!それなら安心ですね!天さん、お嬢様をよろしくお願いしますね?」

 「ああ、大丈夫だ。君たちのお嬢様は必ず毎回無事に返すから。」

 「もうエミリー心配しないで!師父の実力は確かだから!」

 「それは私もわかってますよ…はい!受理できました!気を付けて行ってきてくださいね!」

 「わかってるよ!行ってきます!」

 「無事に帰ってきてくださいね~!」

 ほほえましいな、良いものも見れたし、初依頼、気を引き締めていくか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る