第2話 理由と産声

 「男の少なさ…ですか?」

 『はい、その世界では最初は男の希少性により男が優遇されるといった世界でした。しかし、その優遇から男たちは優れているのだと勘違いをし、傍若無人にふるまいました。先ほど魔法がある世界だといいましたね?一部の男に対してあきれ果てた魔法使いの女性たちが、魔法によって女同士で子供を授かる魔法を編み出しました。そこから男の必要性のなくなった世の女性たちは、暴君な男性の優遇をやめ、男性女性関係なく平等にしました。しかし今まで優遇されてきた男性たちは自立できず、そしてそれまでの環境の気分が抜けなったことで、完璧に女性から見限られました。中には自身で頑張り魔法を練習したりした男性もいましたが…その男性はそこまで強く離れず、男はこんなものなのかという印象が世の女性に根付いてしまいました。これらが男性が迫害されている理由です。』

 「なるほど…」

 『あ!でも安心してください!あなたにはある貴族の家に生まれてもらう予定なのですが、両親となる女性はどちらも子供が男性でも女性でもとても大切にしてくれる人たちですので!』

 「ハハ、ありがとうございます。いろいろと教えてくださりありがとうございます。」

 『いえ、私の気にかけている子を助けていただいたお礼と申したのにこんなことしかできず、本当に申し訳ありません!』

 「いえ、魔法という未知のものがあるだけでうれしいですよ。それにいざ自身の身に危険が迫ればやりようはありますから。」

 『う~、ありがとうございます。あ!もう時間になってしまいました!そろそろお別れの時間です!あの!最後になぜあなたの魂がそんなに強いのか教えていただけますか?!』

 「ああ、それは私の前世がてん…」

 シュパアアアア!!

 『え…、てん、てんってなんですかああああ!!大事なところだけ聞けなかったあああ!!!』

 


 

 「おお!無事に生まれましたよ!お、男の子です!」

 まぶしい…、それによくわからない言葉で何かを言ってるな。おそらくだが生まれ変わった世界の言語なのか…?あ、なきそう。

 「おぎゃあ、おぎゃあ!」

 「泣きました!元気そうな赤ちゃんですよ!」 

 「セシリア、名前はどうする!?」

 「ふふ、アリア、もう名前なら決めていたでしょ。」

 「そ、そうだったな!男ならーええと、アドリウスだったな!」

 今わかることは多くないな…。反応的に前に身を乗り出している金髪と白髪の女性が両親…なのだろうか。さっぱりわからんな。まあ今世ではとりあえず前世、いや前前世の力を取り戻すことが先だな。とりあえずは今からできる修行法を使うとしよう…。


 さて修行を始めるにあたってまずは呼吸法から変えねばな。ただ時折片方の母親が見に来るからその時はただただボーとしていたほうがいいか。それと母親2人の名前が判明したよ。この短期間で新たな言葉を覚えるのはそれなりに大変だったが、とりあえず金髪のほうがアリア、白髪のほうがセシリア、だな。母親二人なのはおそらく女神から聞いていた魔法による女性同士での子供を作る、ということだろうな。ふむ…心の声の口調が安定しないな、これはおそらく肉体の年齢に引っ張られているのだろう。単純に肉体が赤子のものだから精神面が若くなっているんだろう。それとおそらくだが…これが魔力なのではないか?というものを発見した。体の中や大気中を漂っているなにか…、触れることはできず、体内のも意識してほんの少し動いたかな?程度のものだ。これも修行によって動かせる量が増えたりするのだろうか。それに私の修行方法を使ってためる功力と併用できるかも確かめてみなくてはな。ん、セシリアが入ってきたな。

 「アドリウス~、元気にしてるかしら?」

 「だう!」

 「あら~、まるで言葉を理解しているみたいねえ!フフフッ♪…この子はどんなふうに育っていくのかしら…、男の生きづらい世の中に産んでしまったことを申し訳なく思うわ…。いえ、嘆いていても仕方ないわね、私が魔法を、アリアが剣術を教えて少なくとも自分の身を守ることができるようにしないと!頑張るのよ、アドリウス…、私たちが全力で支えるからね…。」

 そんなことを言い残して部屋から出て行ってしまった。そんなに生きづらいのかな??まあ母親2人が支えてくれるというし、全力でそれにこたえるだけだ。ととと、こんなことを考えている暇があるなら修行を始めなくてはな。果たして赤子の体で耐えられるかは疑問だが…。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る