アマチュア

勝利だギューちゃん

第1話

「旨い。サンマは目黒に限る」

拍手を受ける。


僕はお辞儀をして、舞台の袖へと引っ込む。


「部長、おつかれです」

「お疲れ」


僕は、大学の落研に所属している。

落研とは、落語研究会の事だ。

落語は奥が深い。


でも、プロにはなる気はない。


「部長、うちあがどうですか?」

「いや、遠慮しておくよ」


部員との挨拶もそこそこに、僕は家路に着く。


「ただいま」

「あっ、お帰り。電話だよ」

「どうせ、朝毎テレビでしょ。もう出る気はない」


素人名人会という番組がある。

素人が歌や落語や漫才を披露する。


この番組は、歌は多いので予選から始めるが、落語や漫才は少ない。

でも、出さないわけにはいかない。

なので、かつで出た方に、「また出てください」と、直々に依頼が舞い込む。


「違うよ、電話は笑天からだよ」

笑天、あこがれの番組だ。


全員ではないが、演芸をしているものなら、たいていの人は出てみたいと思う・

僕も、その一人だ。


だが、プロにはなりたくない。

このまま趣味として楽しみたい。


だが、その数日後、僕は笑天の予選に来ていた。


「お後はよろしくないので、もう少し続けます」

お後がよろしいようでというのは、次の方の準備が決まったという事。

落ちがうまくいったという意味ではない。


そして。笑天の舞台になった。

緊張して、上手くはなせなかった。


「テレビみたよ」

「私も、私も」


とりかこまれるが、最初だけ。

それが嬉しももあり、悲しくもある。


おっと、そろそろ口座に上がる時間だ。


今日は何をしうおうかな

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アマチュア 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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