夏の注文

@lovevaation

第1話


避妊具の注文履歴 Amazonはありあまるほど君色の夏


君宛に書いた便箋 書いたのは私のこころの平穏のため


ベランダに灰を積もらせ情熱を笑うあなたはちょっとさみしい


真っ白な枕に顔を埋めてる シティホテルは壁が薄くて


ドトールでテイクアウトをする男(ルビ:ひと)をけちな私は軽蔑している


口の中君いっぱいに満たされてこの男根が私に生える


愛してる そのひとことが言えなくて仕事の後のビールは美味しい


コーヒーを豆から挽いて飲む 空のペットボトルが床に落ちている


自殺など救いではない 今死ねば喪主は実家の母になるから


この街に次に来るのはこの街に残るあなたが死ぬときだろう


犬が死ぬときに家族の雰囲気は往々にして最悪になる


生きにくさ 早起きをしてコーヒーをカフェで飲んでも目が覚めなくて


スピノザは星座の名前だったっけ? 満天の夜にまた生まれゆく


行動で示せよ陳腐な台詞なら吐く前に全て飲み込んでしまえ


金もねえ携帯代も払えねえ若さと愛は有り余るのに


喧嘩してシュークリームを分け合って君の右頬についたクリーム


将来の夢はアナウンサーという処女(ルビ:おとめ)よ君はかつての私


推薦で早稲田に行った君が作るカルボナーラは塩気が足りない


この人と決めて生活を共にする 他人の家族と比べながらも


「別れたい」「他に好きな人ができた?」「冗談だよ」という帰り道

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