第28話 おしゃぶりVSオーク②

 ――ペシッ。



《ふふっ! これでおしまいだぁぁぁー!》


 そう、スキル【威圧】の対象は、あくまでもおしゃぶりなのである。


 つまり、スキル【寄生】により生成された万能触手ちゃんは、その対象外なのだ。


「ナニガシタインダ?」


《なっ!?》


 触れたはずなのに、干からびない?!


 んな馬鹿な!



 ――ペシ、ペシ!



 くそっ! もう一度!



 ――ペシ、ペシ、ペシ!



 えっ……できないの!?


 どうやら、スキル【寄生】は触れることで倒せるという無敵スキルではないようだ。


 まだまだ隠された条件があるっぽい。


 いやー、魔力が多くて良かったぁー。


 このいけ好かないオークより、少なかったらどうしようもなかったよね。


 ということは、草などの養分を魔力に変換できても、魔物など生物には効かないってことかー。


 いやー、カッコつけちゃったけど。


 私もまだまだだよねー!


 んじゃ、気を取り直してっと。


 そう、私にはさらなる奥の手があるのだ。


 フハハハー!


 私は万能触手ちゃんを上に向けて、スキル【酸攻撃】を発動、万能触手ちゃんの間にバスケットボールほどの球体を作っていく。


 そして、それは完全な球体となる。


《できたー!》


 ふふっ、その名も酸ボール!

 ○○ポールじゃないからね!

 酸ボールだから! ※ここ重要!


 石に付着させて投げるっていうのも、不意打ちとかなら、有効な攻撃手段になる。


 けど、動きの速い相手との真正面からの戦いとなると、間違いなく避けられるちゃうからね。


 ということで、考えたのが私の上で球体となっている○○ポールならぬ、酸ボールなのです。


「プギィ! オ、オイ! マサカソレヲナゲルキカ?!」


 ふーふん! 焦ってる焦ってるぅぅー!


 さっきまでドヤってたのにねー!


 追い詰められてから、急に態度を変えるとか、ダサいぞ!


 私はなんの躊躇いもなく、目の前で血相を変えているオークへと酸ボールをぶん投げた。


《いっけぇぇぇーっ! 酸ボールゥゥゥゥー!》


 酸ボールは、球体を保ったまま真っ直ぐ飛んでいき、オークの右脇腹命中した。



 ――ジュウゥゥゥゥウ。



 煙が舞い、肉の焼け焦げた臭いが周囲に漂う。


「プギャァァァ、グギャァァァァ!」


 刺さるような叫び声を挙げるオークの脇腹は、皮膚がただれて、肉や骨が見えている状態となっていた。


 うわぁ……引くぐらいにグロいや。


 なんかごめん。


 これならひと思いに倒してあげるべきだった。


 って、おしゃぶりである私にそんな攻撃方法ないんだけど。


『《【スキル 寄生】がレベルアップしました。レベル6になったことにより、効果範囲と速度が上昇します。それに伴い、対生物用発動条件が変更されました。残存魔力40%以上を確認、第一発動条件達成しました。発動範囲に瀕死の魔物がいる為、第二発動条件達成しました。よって【対生物用スキル、寄生レベル6】発動します》』


 ま、またですか?


 慌てる私など、全無視して万能触手ちゃんが、ニョロニョロとグロテスクになっているオークへと伸びていく。


 オークの体に触れた瞬間、例のごとく太陽のように光り輝くおしゃぶり


 あー、次はオークですかー。


 へぇー……そうですか、そうですか。


 って、納得できないから!

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