第15話 女神さん改め、めかりん♪
私は触手を使い背後に広がる森から、距離を取っていった。
そうです! 私、加藤和世改め、おしゃぶりはちゃーんと切り替えました。
このおしゃぶり生を謳歌する為に!
んで、何をしているかって? 実験ですよ、実験!
今のところ、唯一の攻撃手段になりそうなスキル【寄生】のその能力を確認する為の。
もしかしたら、隠された何かの能力が発揮されるかも知れないからね!
けど、安パイを踏みました。
私の初めての生きる物と書いて生物と呼ぶ、対戦相手は普通の草です。
というか、たぶん普通の草(日本の公園で見た気がする細長い草)。
※もっと奥行って魔物と戦えとか、そういったクレームは受け付けていませんので、ご了承下さい。
なんせこっちとらおしゃぶり生が掛かっているんですから、四の五の言うていられんわけですたい。
この方言ってどこの方言だっけ?
うーん、ま、いっか。
さ、どんどん、試していこうー!
更に距離を取る為、私は触手を使い歩く。
草から170cm程度の距離になったのを確認すると触手を伸ばした。
――ニュル。
黄金色の2本の触手はゆっくりと伸びていく。
――ニュルニュルルル。
そして、草に触れた。
――その瞬間。
草が死んだ。
死んだというか、完全に枯れた。
青々としていた草は、冬が訪れたように茶色に変色し葉はその場に落ちていく。
《いや、えっ?! いやマジでこっわ!》
その光景に思わず、声にならない(実際に)声を上げてしまう。
お、落ち着け私!
こういう時は深呼吸だ。
ふぅーふぅー……。
って、落ち着いてられるかぁぁぁーい!
何この現象?
スキル【寄生】
ヨクワカラナイ、ワカルコト、コワイッテコト。
ワカルコト、グロイッテコト。
《はっ! 危ない正気を失いかけてたわー》
想像してたのとは、ちょっとっていうか、かなり違うけど、攻撃手段は得た。
この【寄生】ってスキル、まだまだ隠された能力があるのかも……。
『《【スキル 寄生】がレベルアップしました。レベル2になったことにより、効果範囲と速度が上昇します》』
《はひぃ!?》
突然、頭の中に、響いた声に驚く。
しまった、変な声が出ちゃった。
けど、この声……女神さんだ。
周囲を見渡す。
えっ?! どっかから見ているの?
どこにいているんですかー?
おーい、女神さーん!
あれ? 反応がない。
ってことは、あれかな?
神様は異世界に鑑賞できません的なやつ。
じゃあ、この声はスキルレベルとか上がるとオートで聞こえてくるシステム的なやつだ。
なら、仕方ないかー。
女神さんと話せないのが残念(何も教えて貰えなかった不満よりも、可愛いが不足しているので補給したかった)だけど、これでわかったことがある。
スキルレベルを上げていけば、何か変化が起こるということだ。
では、私の取る行動は1つ。
そのレベリング作業に勤しむだけだ。
どうやったら、私自身(おしゃぶり)のレベルが上がるのかは、わからないけど、寄生スキルの上げ方はほぼ理解した。
養分を吸って、吸って、吸って、吸いまくることなのだ。
オタクのやり込み舐めんなよぉぉー!
けど、ふと思った。
こうなると、もうおしゃぶりって個体名すら名乗っていいのかわからない。
パラサイトおしゃぶり?
おしゃぶりパラサイト?
吸血おしゃぶり?
ドラキュラおしゃぶり?
いや、そもそも意思を持ったおしゃぶりって時点で名乗れないような気もする。
もう一度、確認するかー。
スキルレベルも上がったし、なんか変化とか起きているかも知れないからね。
【個体名】おしゃぶり【種族】物
【レベル】 1
【体力】200/200【魔力】1000/1000【攻撃】0
【防御】200【敏捷性】0【魔法攻撃】0
【魔法防御】200
【健康状態】ー
【空腹状態】ー
【スキル】寄生レベル2 継承レベル1
って、おしゃぶりなんかい!
コホン! これは絶対ツッコミ待ちやつだろうと思ったから、取り敢えずツッコんでみた。
私は耳を澄ます。
うん、何も返ってこない。
やっぱり、女神さんじゃないんだねー。
きっと女神さんだったら、笑ってくれるもん!
《あっ!》
私は大事なことを忘れていた。
そう、このアナウンスさん(取り敢えずそう呼ぶけど)の名前だ。
大体、こういうアナウンスさんって、おいおい意思を持ったり、何か形を得て顕現したりするよね。
もし、その時嫌味や反感を買うのは避けたいし。
うん、いるよね名前。
ということで、早速、名前を付けた。
その名も、めかりん!
ふふっ、可愛いでしょー!
なぜこうなったかというと、女神さん(仮)→女神仮→めかり→めかりんという流れでこうなりました。
大事なことを決め終えた私は、ただ何となくもう一度ステータス画面を見てみることにした。
決して女神さんの声とか、スキルレベルが上がったりとか、ツッコんだりとかに、夢中になって肝心のステータスを確認していなかったというわけではない。
うん、ではないのだ。
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