第16話 万能触手ー!


 ということで、気を取り直して再び。


《ステータスオープン》


【個体名】おしゃぶり【種族】物

【レベル】 1

【体力】200/200【魔力】1000/1000【攻撃】0

【防御】200【敏捷性】0【知力】0

【健康状態】ー

【空腹状態】ー

【スキル】寄生レベル2 継承レベル1


 おお、あれだけ触手を出したり消したりしてたのに、なんか【魔力】が全回復してるー!


 あれかなー?

 草の養分を吸ったからかな?


 って、それ以外ないよね?!


 無駄出したり消したりして遊んで……いや、実験してたもんね、私。


 草の養分を吸って【魔力】回復していなかったから、あの絶望感をくらうところだったんだ。


 はぇー! 我ながら命知らずなことしたわー。

 って、0になっても死なないんですけどね!


 というか、吸われる方のおしゃぶりが吸って強くなるってどうなの?!


 それって色々とおかしくない?


 だって、おしゃぶりだよ?


 まだ、吸われてレベルが上がるならわかるけどさー。


 私は自分が発した言葉に、ある仮説が浮かぶ。


 ん? あれ……ってことはさ。


 私のおしゃぶりとしてのレベルを上げるには、やっぱり、咥えて吸って貰わないとだめだとか?


《って、こんな奇々怪々なおしゃぶりを誰が吸うねん》


 やば、ついつい大阪弁でツッコんでしまった。


 でも、やっぱりツッコミは大阪弁でしたいよね!


 って、一体全体何回おしゃぶりって言うんだろう私は……。


《はっ!?》


 しまったー! 大阪弁でツッコむの忘れてた!


 ちなみに色々とあり過ぎてというか、自然に使えてたので、気にも留めずいたんだけど。


 ステータス画面って、私が興味を失うと消える仕様だったりする。


 逆にいうと、意識さえしていれば画面を見たままの行動も可能だ。


 この辺の順応性って、オタクならではだよねー!





 ☆☆☆




 そんなこんな日々を過ごして三日後の朝。



 変化の無い日々に、暇を持て余した私はアナウンスさんこと、めかりんに続き触手も名付けてみた。


 その名も【万能触手パーフェクトパラサイト


 我ながら、ナイスセンスだ。


 何故パーフェクトって付けたかって?


 それは可愛いし、いい匂いするし【敏捷性】0でも歩けるし【攻撃】・【知力】0でも、触れるだけで倒せちゃうしね。


 まぁ、倒せたって言っても草だけど。


 いや、でも養分を吸って【魔力】回復とかできちゃうし、そう! できることだらけだからだ。


 なので、万能を冠するに相応しい。


 って、やっぱり触手って言えないような……。


 ま、いっか。


 一通り、スキルの確認も終わったし、意外な攻撃手段も得たし、ちょっくら森にでも入ってみるかなー。


 あ! ちなみにだけど、【万能触手】ちょっと舐めちゃいました。


 テヘッ! そして、予想通り懐かしの黄○糖の味でした!



 ☆☆☆



 ということで、正体不明の鳴き声が響く森の中。



 おしゃぶりが外敵に狙われるなんて聞いたことはないけど、私は万能触手を使用し、ちょうどいい感じの茂みに身を隠していた。


《うーん、どこか人のいる所に向かうとしようにも、この姿だしな》


 万能触手を出してみる。


 やっぱり、可愛い。


 懐かしい甘い匂いと味に、透き通った黄金色もさながら、イソギンチャクモドキみたいで、個人的には好きだ。


 けど、一般人から見れば卒倒レベルだよね。


 おしゃぶりから、触手が伸びて歩いてたり、草枯らしたりしているんだから。


 とはいえ、まだ一般人ならいい。

 

 卒倒している間に逃げればいいからね。


 問題はこういう異世界でハッピーセットになっているであろう冒険者とか、どっかの王国の騎士団とかだよ。


 万が一出くわして、万能触手を使用している所を見られたその時は、良くて冒険者ギルドに報告されて、「新種の魔物現る! 至急討伐されたし!」みたいな文言でクエストを発行。


 最悪のケースは、物珍しさに凄い懸賞金を掛けられる→懸賞金目当ての冒険者わんさか湧く→国でも討伐隊が編成される→強い騎士団も捜索に加わる。


 そして、知名度全国区のお尋ねおしゃぶり爆誕って流れになったりして。


 いや、待てよ……もしくは、出会い頭になんかこう戦士とか、魔法職のパーティーに討伐されたりなんかもあり得るよね。


 それか、魔物なんかに襲われちゃったりして。


 その時はある意味、本当にお尋ねおしゃぶりだよね。人間とは違い、魔物は命のやり取りに躊躇いとかなさそうだし。


 んで、結果的に私が討伐されて、【このおしゃぶり探してます】みたいな文言が書かれたイラスト付きの捜索願いが、世界各地に張り出されたりなんかして……。


《って、なんだ! お尋ねおしゃぶりって……こんなのに懸賞金も掛けないでしょうよ、普通はさ! いやそもそも、どこの世界におしゃぶりに対して捜索願いを出す人がいるんだ!》


 ふぅ……このセルフツッコミにも飽きてきたわけじゃないけど、ちょいとさみしい気持ちになるかも。


 魔力の消費とか関係なく……。


 よし! やっぱり森の中の探索をしよう!

 冒険者とか魔物に出くわしたら、その時に考えればいいだけだし。


 その方が楽しいだろうしね。


 異世界おしゃぶり探検家爆誕ー!


 ウィィィィ!


 ちなみに、この周辺の草をスキル【寄生】でちょいちょい枯らしてしまったことで、後にとある問題を引き起こしてしまいます。


 おかげさまで、スキル【寄生】のレベル4まで上がったんですけどねー。


 しかも、そのおかげで、なんか色々とあったりなんかして。


 それが明らかになるもっと先のお話。


 ま、大したことはないので、期待はしないでね!


 では、ノシ!

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