異世界おしゃぶり転生 〜あれ? 聞いていた転生とは違うよね?! なーんて思ったけど、案外楽しめんじゃない?! ということで、私はおしゃぶり生を楽しむことにしました!
第12話 スキル寄生≒触手ってことだよね。
第12話 スキル寄生≒触手ってことだよね。
気が付いたら、夜が明けていた。
わかってはいたけど、やっぱりこの
オールナイトニッポンならぬ、オールナイト異世界決め込んだというのに、全く眠気や疲労感もない。
便利だけど、やっぱり改めて実感しちゃうよねー。
人間じゃないんだって。
まぁ、ここに来て人間ですっていうのもおかしな話だけどさー。
けど、そのおかげで最初は気持ち悪いと思っていたこの2本の触手に何だか愛着が芽生えていた。
何でも外見で判断したら良くないよね。
そう、大事なのは中身なのだ。
困った時に寄り添ってくれる。
それが全てだ。
いや、中身も何もさー触手なので、コミュニケーションが取れないのでそこはなんともだけども。
でもでも、一晩共にしたことで面白いことを発見した。
実はこの触手、触手なのに嫌悪するようなヌルヌル感もないし、綺麗な黄金色をしていて、匂いも素朴な甘い香りを漂わせているのだ。
あの懐かしい四角形の飴を思い出させる香りを。
って、舐めたと思ったでしょ?
舐めてないからね!
どれだけ好奇心が掻き立てられようとも、さすがに自分を舐めたりしないから!
しかも、触手だし……ねぇ?
コホン! 気を取り直して。
それだけではなくて、ゆっくりだけど触手を使って歩いたりもできた。
そして、私は重大なことに気付いた。
いや、二日目にして気付いてしまったのだ。
スキル【寄生】を発動する為に、念じることが必要ないことを。
1回、出す感覚を掴んじゃえば、手を出すと同じような感覚で動かせてしまうことを。
《ぐわぁぁぁぁー! さっき精神をすり減らしながら、スキル発動を念じてた時間を返してぇぇぇぇー! 何回言ったんだよぉぉぉー! この時間なんなんだぉぉぉー!》
とか、いくら叫びたくっているつもりでも、この世界に私の声は全く響かない。
なぜなら私はおしゃぶり。
五感は備わってはいても、触手を生やそうともやはり【物】なのだ。
くそっ、ムカついてきた。
私は誰にかまってもらえないことに、無性に腹が立ったので、触手を使いまくってみることにした。
まずは、この触手の発動中に【魔力】が減っていくのか、どうかだ。
もし、減っていくならステータス画面を開いたまま使うか、もしくは具体的にどれくらいもつのか考えないといけない。
不意に、あんな全てを捨ててしまいたくなるような絶望感を味わいたくないしなー。
個人的は減っていかず、発動して触手が消えるまでで1回とカウントしてくれる方が嬉しいんだけど。
ん? 今思えばなんで、夜にしなかったんだろう……途中まで、ステータス画面を確認しないとって考えてたのに。
結論、夢中になり過ぎたっぽい。
オタクの悪いところだよねー、夢中になることを見つけると、時間の経過なんて気にならなくなっちゃうし、さっきのスキル発動千本ノック事件もだし……。
あはは……我ながら凹む。
とか、思っても仕方ないので、私は早速ステータス画面を開いたままでスキル【寄生】発動してみた。
振り返るな前を見るのだ、私よ!
希望はそこにある!
イエス! イメージしてっと。
まずは歩こうする。
右足? 右触手を出す感じで。
――ニュル。
お、出た!
んじゃ、次は左足……じゃなくて!
左触手。
――ニュル。
おお! 大成功&大正解じゃん!
って、やっぱりこの【寄生】ってスキル《スキル発動》って、念じる必要ないよねー。
うーん、他のスキルもそうだったりするのかな?
気になる……けど、確かめようがないよね。
私が保有しているのは、発動できないスキル【継承】とこのスキル【寄生】のみだし。
じゃなくて、ステータスステータス。
ステータス画面に目を向ける。
すると、【魔力】が1ポイント減っていた。
うんうん、これは想定内だよね。
ここからは、どうかな?
私はこの後、小石を掴んだり、歩いてみたり、ゆらゆらと揺らしてみたり、片触手立ちとかもしてみた。
――その結果。
【魔力】が減るのは、後者だったことがわかった。
触手が体から出てから消えるまで。
しかも、消したり出したりするのは自由っぽい。
つまりは、出しっぱなしっていうのも可能だ。
まぁ、それはさすがにしないかなー。
個人的に
それに使用する時に1ポイントしか消費しないなら、出しっぱなしにしようとも、しなくても、あんまり意味無さそうだし。
とはいっても、今のところだよ?
貴重な移動手段だし、出す位置は上下と変えないといけないけど、手の代わりにもなっているしね。
えーっと、掴むこと、歩けること、魔力消費についてはわかった。
あとは伸縮性の確認かな……触手だから、ある程度伸び縮みすることは予想できるけど。
やっぱり試してみた方がいいかな?
どうしようかなー?
この異世界の生活がどうなるのかわからないけど、今の自分に何ができてできないのか、把握しておくことは大切だしなー。
些細なことでも、自分で見聞きしたものはいずれ何かの足しになるって、ルーミーも言ってたし。
なんで、そういう話になったのか全く覚えてはいないんだけど。
けど、ルーミーがいいって褒めてくれた私らしさは、くよくよ悩み続けるより試してから悩むっていう感じだよね!
よし! 難しいことは置いておいて試そう!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます