異世界おしゃぶり転生 〜あれ? 聞いていた転生とは違うよね?! なーんて思ったけど、案外楽しめんじゃない?! ということで、私はおしゃぶり生を楽しむことにしました!
第11話 スキル寄生ってこういうこと?!
第11話 スキル寄生ってこういうこと?!
たぶん、夜。
たぶんっていうのは、昼間にもあった2つの月らしき星が夜空で輝いているからだ。
昼もあるのに、夜もある。
しかも、2つ。
これって、どういうことなんだろうか?
いやでも、日本でも昼間に月は空にあるって何かで目にしたような……何だっけ? 確か太陽が明るくて、月が見えないとかだっけ?
これを言ってたのって学校の先生だったけ? いや、ルーミーかも……。
あ、そうだそうだ!
2人で下校中に私が昼間に薄っすらと見えた月を指さして「ねぇ、見て! ルーミー! 月が間違えてこんな真っ昼間にさ、空にいるよー!」とか、その場のノリでテキトーなことを口にしたら「あはは! やばっ! なにその質問。子供みたい質問じゃん! けど、教えてしんぜよう――」って、腰に手を当てながら教えてくれたんだった。
今思うと、ほーんとなんて質問をしたんだろうね。
我ながら、幼稚というか子供っぽいというか……。
それがいいっていうルーミーもルーミーだけどもさ。
けど、大体、根拠のあることってルーミー経由で知ることが多いかも。
私とか何かあれば、Don’tThink,Feel! とかいってたし、お父さんも、お母さんも「和世が元気なら何でもおっけー」とか言ってたしなー。
ルーミー、元気にしてるかな? 悲しんでいないかな?
お父さん、お母さん、寂しがっていないかな……?
私……突然、居なくなったわけだもんね……。
この世界では月は2つあるし、昼、夜も関係なく煌々と輝いて見えているよ。
日本の空はどうかな? 今は夜なのかな? それとも朝? いや、お昼かな……?
やっぱり、日本での常識が通じない異世界で、もう皆には会えないんだよね……一瞬一瞬、後悔のないように、生き抜いてきたつもりだった。
けど、ここにきて少し後悔しているかもね。
もっと親孝行しとけば良かったとか、もっとルーミーと過ごす日々を大切にしとけば良かったとか思っちゃうし。
って、こらこら! 魔力が少なくなっている影響とはいっても、こんなところでネガティブになっても何の意味もないぞ! 和世よ!
ここは異世界! 私はおしゃぶり! Don’t Think, Feel! おしゃぶり生を楽しむことが私の生き方だよ?
おけ?
私はスキルの使い過ぎで、賢者タイム(女子でもあるんです)になってしまったことで、こんなふうに日本での想い出に浸りながら、夜空に浮かぶ2つの月を見上げて気を紛らわしていた。
しかし、そのおかげで私は思い出したのだ。
減っていた【魔力】のことを。
《あっ! そういえば……減った魔力どうなっているのかな?》
体感的には、回復している感じだ。
さっきまでのネガネガ思考状態もないし、独特の絶望感や倦怠感もないし、
って、おしゃぶりの調子がいいって何かわからないんだけど。
まーた、セルフツッコミしちゃったよー。
それも、これもこの体のせいだ!
けど、なんかわからんけど、いい感じだ。
あ、そうそう! 取り敢えず、確認してみないとだよね。
というわけで、精神安定剤代わりの《ステータスオープン》
【個体名】おしゃぶり【種族】物
【レベル】 1
【体力】200/200【魔力】1000/1000【攻撃】0
【防御】200【敏捷性】0【知力】0
【健康状態】ー
【空腹状態】ー
【スキル】寄生レベル1 継承レベル1
うん、やっぱり回復している。
どういう仕組みで回復しているのかはわからないけど、半日もあれば【魔力】は自然回復するらしい。
もしかすると、空気中に魔力の元になるものが漂っていたりして……。
そういう可能性もさ、無きにしもあらずだよね。
なんせ異世界だし。
じゃあ、もういいよね!
なんだかんだ言っても楽しみだなー!
どんな能力なんだろう? スキル【寄生】。
私は【魔力】が回復したのを確認できたので、早速もう1つのスキル【寄生】の発動を試みる。
《スキル発動! 寄生》
すると、自分の体から何かが出てくる感触があった。
――ニュル。
《お、なんかでた? てか一発で成功した?!》
けど、なんだこれ……手や足とは違う感覚だ。
自分の体に目を向ける。
そこにはニョロニョロとした黄金色の触手が、まるで手のように左右から2本生えていた。
《えっ!? キッ、キッ気持ち悪いぃぃぃー!》
その場で騒いでみる。
けど、声帯が無いので当然のことながら声になって響くこともない。
ただ、私の感情の高ぶりにつれられてか、2本の黄金色の触手はウニョウニョニョロニョロと元気よく動いている。
うん、ますます、気持ちが悪い。
どうやら、私が考えていた寄生という意味ではなかったようだ。
ビバ不労所得! &楽してほのぼの異世界LIFEー!
ではなく、誰かの養分吸って生きていくほのぼのLIFEー! だった。
って、ほのぼの要素なんかありはしないような……。
私の知っている触手なら、グロテスク系の転生になるのかな? ヒルみたいにビタンビタンくっついて血を吸うみたいことが起きたり、その……色々と蹂躙したりしちゃう系だよね……。
あは、はははー。
いやー、後者はまじで勘弁です。
いやいや、そもそも私っておしゃぶりだよね? なのに!?
なんで?
なんで触手が出るの?!
これ、絶対おかしなスキルだよね?!
だよね?!
そんなことを考えながらも、せっかくスキルを発動したので、色々と試してみることにした。
そう、全てはDon't Think.Feelさ!
もちろん【魔力】の使い過ぎには注意してね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます