おしゃぶり視点
第10話 スキルと魔力
怪しい雰囲気が漂う薄暗い森の前。
私がまず、初めにしたことはスキルの試し打ちだ。
声は出ないので、ステータスを確認する時と同様に心の中で念じてみる。
《スキル発動! 継承》
ふむふむ、想定していた通り何も起きない。
当然といえば当然かな。
継承って言葉の通り捉えるなら、何かを何かに引き継ぐってことだからね。
でも、念の為に。
《スキル発動! 継承》《スキル発動! 継承》
《スキル発動! 継承》《スキル発動! 継承》
《スキル発動! 継承》《スキル発動! 継承》
いや、まだいける!
《スキル発動! 継承》《スキル発動! 継承》
《スキル発動! 継承》《スキル発動! 継承》
《スキル発動! 継承》《スキル発動! 継承》
《スキル発動! 継承》《スキル発動! 継承》
《スキル発動! 継承》《スキル発動! 継承》
《スキル発動! 継承》《スキル発動! 継承》
《スキル発動! 継承》《スキル発動! 継承》
《スキル発動! 継承》《スキル発動! 継承》
《スキル発動! 継承》《スキル発動! 継承》
喉も、声帯もないのに、声が枯れたような気もする……でも、まだいける――。
この後も、一縷の望みを抱いてスキル詠唱をしまくったけど、全く何も起こらなかった。
けど、何だか疲労感がやばい。
なんていうか、そう。
電車に間に合うと思って全力で階段を駆け上がったのに、間に合わなかった時のようだ。
……えっ?!
例えるセンスがないって?!
そうです、そんな余裕がないくらいに疲労感MAXなんです。
けど、待って……これってさ、もしかしてスキル使い過ぎて魔力なるものが減っていたりして。
よくあるよね。魔力を使い過ぎて疲労感が襲ってくるって。
んじゃ、念の為に。
《ステータスオープン》
【個体名】おしゃぶり【種族】物
【レベル】 1
【体力】200/200【魔力】5/1000【攻撃】0
【防御】200【敏捷性】0【魔法攻撃】0
【魔法防御】200
【健康状態】ー
【空腹状態】ー
【スキル】寄生レベル1 継承レベル1
うん、やっぱり減っているね。ちゃんと魔力が。
しかも、1000あったのが5にまで減っているし……。
というか、私1000回近くスキル発動って念じたということなのかな?
うん?
もしそうなら、スキルを1回使うと、魔力が1減るってことなのかな?
ステータス画面を表示しながら、試してみないとわからないよね。
でも、残り5ポイントからのスキル発動かー。
うーん……これ以上気分が悪くなるのは、嫌だけどなー。
うーん……。
――私は考えた結果、スキルを使うことにした。
使わないと、どうなるかわからないからだ。
ただ、今回は数値の増減を確認する為に、しっかりとステータス画面は開いたままだ。
《スキル発動 継承》
ステータス画面に目を向ける。
【個体名】おしゃぶり【種族】物
【レベル】 1
【体力】200/200【魔力】4/1000【攻撃】0
【防御】200【敏捷性】0【魔法攻撃】0
【魔法防御】200
【健康状態】ー
【空腹状態】ー
【スキル】寄生レベル1 継承レベル1
うん、思った通り減っている。
ということは、スキルを1回使うごとに魔力が1減るという説であっているってことだよね。
でも、これ0になったら、どうなるんだろ?
気になる……。
試しても、死ぬことはないよね?
私、おしゃぶりだし、無機物だし?
もちろん、心臓とかもないわけで……。
っていうか、0になったらどうかよりも、【個体名】おしゃぶり・【種族】物が魔力を使い切ったら、どうなるのかを純粋に知りたいよね……。
オタクの端くれとしてはさ!
うっし、やってみよう。
☆☆☆
太陽が傾きかけた頃。
私は後悔していた。
好奇心過多のウカレポンチおしゃぶりとなっていたことを。
ノリと勢い&知識欲で【魔力】を0まで使ったのは、いいけど。
そっからが最悪だった。
頭痛、吐き気、倦怠感、絶望感、
これが人間なら、意識を失うなどが起きて目覚めたら夜!? なんてなっていただろう。
しかし、私は無機物おしゃぶり。
どんな苦痛が押し寄せようとも意識を失うことはなかったのだ。
あははー! と笑える状態ではなく、今もなお悶え苦しんでいます。
※第三者目線から見れば、森の入口におしゃぶりが落ちているだけです。
やばい……この症状はちょっとまずいかも、これ人間だったら持たないやつだ。
手足もないからどうも出来ないけど、もし……あったら……自分の首を……。
って、危ない、危ない!
取り敢えず、今は回復につとめないと……。
って、ガンギマっているくらいに意識がはっきりしているんだけどねー。
これ回復するのかな?
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