花水木と薔薇
「アッ、また壊された!」
そうデンジャラス樹麗穴(以下、樹麗穴)が叫んだのは、ギギくんがジャグジャグとスイカを頬張っていた時だった。
海外のキラーみたいに血で濡れたのかってぐらい口の周りを果汁でぬとぬとと光らせていた。
しかしギギくんはそれと樹麗の発言に全く動じず、二個目のスイカに手を伸ばそうとしていた。
「ヤダ!無視しないで!」
「何何なんですか?また俺を都合のいい男扱いするんですか?」
「それはベッドの上だけよ」
世界一要らない情報ではあるが、実はこの二人はセフレの関係にある。
樹麗穴はアザフチという男が好きなのだが、一方的にこっちを見る気配がないので、ギギくんと寝る事によって自尊心を賄っているのだ。
しかしギギくんは純童貞であった上に「いつかできる彼女にこの純潔を捧げるんだい」と意気込んでいた。純粋無垢である。
だが樹麗穴に適当に組み敷かれてなあなあに寝た所、ギギくんは処女も童貞もペロリと平らげられてしまったわけである。可哀想すぎる。
この一件からギギくんは樹麗穴を彼女(彼氏)
と思っている節がある。ネコ堕ちタチ堕ち同軸リバなんでも持ってこいな状態なのだ。
(だからといって激マブの女に出会ったらそっちに気が向くのだが)
ちなみに毎回毎回「一緒に寝よー」のノリで手を出されるので言葉責めをされる度に「殺す!!!!!!」と叫んで隣人に不本意壁ドンをされまくっている。
閑話休題。
何を壊されたって言うと、アザフチにこっそり仕掛けていた小型録音機だとか、小型カメラである。
アザフチのプライベートな一面を見て自慰行為に耽けるのが樹麗穴の最高の趣味であるのに、アザフチの最近の彼女である爆乳騎士(デカパイナイト)ことナユの胸圧でもうバッキバキに壊されてしまったのである。
「ナユたやのおっぱいでこれ壊せる?」
「えウケる。ストーカーでもされてるの?」
「まそんなもん……オ、割れてる」
「私のおっぱいは銃弾も弾けれるよ」
「スゲー、好きんなっちゃうな……」
というイチャラブボイスも添えて壊された。
樹麗穴は三日三晩キレた。店のボトルも開けて空にした。煮物を作ってアザフチの家の玄関前に置いた。
ギギくんはそれを見て諦めの悪い人だなと思うし、純愛なんだなと涙をほろりと流した。
恋の行先には興味無いけれど。
「ン……なんてゆうかさ」
ギギくんは樹麗穴の手を振り払ってようやく2個目のスイカを手にしたところで、樹麗穴に向き合った。
「うん、何?」
「君と君の好きな人が……100年続きますよに…………」
「なんで急にハナミズキ?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます