懺悔室とアザフチ
アザフチ邸の中にある懺悔室。小粋はその中で頭を抱えながら原稿作業をしていた。
明日にでも鯖缶になっちゃうんじゃないかしら。ア、鯖缶の味噌煮作って食べたい。明日の夕飯はこれにしちゃお🎶と余裕ぶっこいて考えていてはいるものの、終わらなくては永遠にこの部屋から出しては貰えない。
なんせ、一週間前の締切を過ぎていたのを伸ばしてもらう代わりに、進んで窓一つないこの部屋に入ることを決意したのだ。
流石に今日で終わらせなくては餓死して死ぬ。後一時間したら水すら与えられなくなってしまう。この部屋のオーナーはアザフチさんなのだ。
部屋の中には机が一台に椅子が二脚。高い本棚が二台と天井からは裸電球一個。あと、水の入った2Lペットボトルが5本と、かろうじて握りしめてきたモバイルバッテリーと大好きなアイドル♡ヒメル♡のブロマイド。
ヒメルがいるなら何とかやっていけそうな気がする。服従心と愛は偉大なので。
さてどうするかとウンウン考えている時、部屋の外で女の嬌声が聞こえてきた。
この声は、確か最近アザフチの彼女になった爆乳騎士(デカパイナイト)のナユちゃんだ。
今スグ「ソイツ手練な顔してガキと並んでチャオ読んじゃうタイプ‼️」とか「何か物事を決意した時にほくそ笑みながらチェックメイト……とか言っちゃうタイプ‼️」とか「スッピンになったらソバカスやばい‼️」とかある事ない事言ってやりたいと思ったが、人の情事に手を出す程クズではないので黙っておいた。
ナユちゃんはクソしょぼ言葉責めを受けながらもあんあん喘いでいた。
「ココ濡らしちゃって恥ずかしいね」って何だよ。正式名称で言えよ。マンコって言え。
お前の方が恥ずかしいだろ。隠語辞典貸そうか?どた?(汗)……と心の中でアザフチに説教をして心に余裕を得たのか、水入りペットボトルに手をつけてがぶ飲みした。その後にそいえばここトイレなかったなと薄ら思ったが別に漏らしてもいいか!と開き直った。
どうせアザフチの家なので。
ぶっちゃけ正直な所、横で見て感覚的に寝取られを味わってみたかった。ナユちゃんは私の何にでもないけれど。
いくら経とうと嬌声は止まないし部屋は開かない。ので、小粋は原稿をほっといてアットコスメとゾゾタウンを巡回した。
しかし金が無いので見るだけにする。
が、女は好きなもんを見たらタガが外れる人格(当社比)なのでア!この新作可愛い!ア!これ値下げしてる!と沢山のアイテムをお気に入りに登録するがまま丸ごとカートに突っ込んでクレカ支払いをしていた。
そして自分に愚かめ……と思いながら明日を待つのだった。明日来るかわかんないけど。
後ついでにウーバーした。マックだった。
懺悔室にいると何故か欲が溢れだしてしまう。次から適当に物を買いちゃいたい時に来ようかなと思った。
そういう作用でも働いているんだろうか。
それにしても。と、小粋は頬杖をつきながら未だに開かない扉を見た。
ナユちゃんを抱いている人は誰だろう?
アザフチの頭なら、今此処に抱えているのに。
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