第18話自己紹介
時計塔の中に入ると、タイルを踏み始める
遺跡によくあるタイプの仕掛けを使っているのね、クレがこれに気付かなかったってことは魔法は使ってなさそう、このタイプの仕掛け自体最近の建物じゃ珍しいのに、遺跡ですらめったに見ない魔法不使用、ここまで気を付けてるとは、流石王女様って感じ
「誰かが来る前に早くこちらに来てください」
とレジサが音や揺れを感じさせずにいつの間にか開いていた階段からこちらに呼びかける
「ごめん少し考え事してた」
そういって階段を下りて三人のところに行くと、シルファが壁のレンガを一つ押して道を閉じる
短い螺旋階段を下りて短い廊下を抜けた先には最低限生活できるように整えられた、殺風景な4,5人で暮らせるくらいの広さの部屋と奥に続きそうな扉があった
まあ魔法使わずにって考えたらそりゃこうなるよね
「ここが私たちが暮らしている部屋で、あの扉の奥にあるのが寝室よ、風呂は右側にあるカーテンで魔力を探知されにくくした状態で魔法で済ませてね、お手洗いは廊下の途中にある隠し通路の先に下水が流れてるからそこでお願い、案内はあとでするね」
そういい終わった後こちらを向いて申し訳なさそうに
「ごめんね、今はこんな場所に招待することしかできなくて」
「その代わり、無事作戦が成功したときはお城にしばらく居座らせてもらうから覚悟しといてよ」
そう笑顔で返すと
「ええ、その時は我が王国最高のおもてなしをしましょう」
と笑顔で返してくれた
「その時は私も全力を尽くします」
と成功した後の話をした後ちょうど4つ、机を挟むように2つずつ置かれた木の椅子に座った
「まずは自己紹介でもしよ」
「それなら私から、私はムーサ王国第一王女、レジサ・アーティス、触手操作魔法が得意、年は17歳」
えっ、中学生くらいだと思ってた、高校生言ってたの
「その顔、私を中学生くらいだと思ってたわね」
ば、バレた
「うん」
「まあいいわ、よくあることだから」
やっぱりよくあるんだ、まあ少し幼く見えるもんな
「それでは次は私が自己紹介させていただきます、私はアーティス家に代々仕えるアーツ家次女、シルファ・アーツと申します、魔法はあまり得意ではなく、ナイフ使った超近接戦闘が得意です、たまに遺物の透明な糸を使用します、年はお嬢様と同じ17歳です」
糸、あの時使っていたやつね、あとでどんな遺物なの聞こうかな
「それじゃあ次は私が、私はハナサク王国の貴族、ルピナス家三女、ラナン・ルピナス、遺物の短剣と呪いを使った戦闘が得意、体質がかなり特殊で、呪体と呪飲のあわせもち、年は22歳」
そういうと2人が目を丸くして固まってしまった、まあそりゃそうだよね、そんなチートみたいな体質聞いたらそうなるよね、しかもルピナス家、前回の世界大戦ではムーサ王国の所属する反戦争派の死者の三割はルピナス家の兵が仕留めたらしいし
ちなみに私の母はこの時初めて戦場に行ったらしい、まあおばあちゃんのお腹の中だから記憶なんて無いらしいけど
「ああ、あと短剣は絶対に壊れない短剣、猛毒を付与する短剣、相手の勘違いをある程度本物にする短剣、今回使ってたのは三本目」
と話すと大きく息を吸いレジサが
「いろいろ気になることがあるからあとから聞いてもいい」
と聞いてきた
戦闘になる可能性もあるし
「もちろん」
そう応えてクレの方を向き
「次はクレの番だよ」
そういうと私に耳打ちで
「ラナが代わりに紹介して」
といってきた
「クレ、自分でやって」
「なんで、いつもはやってくれるじゃん」
と再び耳打ちで言ってきた
「いつもは連携の必要がなかったり、連携は必要だけど今回みたいに大きな計画じゃないからだよ、それとそろそろ私以外の人ともまともに喋れるようになって」
「昔は喋れたし」
「今できてないじゃん、あとそういうこと言うときくらい耳打ちやめな」
「わ、わかった」
と耳打ちしてきた・・・まあ今は文句言わないでおこう
「じゃあ頑張ってね」
「わ、わ、わ、私は」
ととても小さい声で喋りはじめた
「いつも私と喋ってるときくらいの声頑張って出して」
「わ、私はクレマチス・クロユリ、ま、魔法を使った戦闘が得意で、特に闇魔法が得意、年は48022歳」
と小さいけどしっかり相手に聞こえる声で自己紹介をしてくれた
この二年間でクレが私以外の人とまともに喋ってるのなんて非常事態とか、言いたいことが貯まりすぎて爆発したときくらいだったから、泣いちゃいそう、これからもしっかり喋れるよう支えてあげなきゃ
そう思いながら口を押えながらクレの頭を撫でる
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