第15話最高の夜景

「ラナ、始めに言っていた場所に行こう」


「そういえばどんな場所なの?」


「それは秘密」


そう言われて、人通りのあまりない道を、手を引かれてクレに導かれる、その手は力強く、優しく、背中は頼り強い、そんな長寿エルフの手を握り返し、その美しい横顔をみつめるために隣に立ち、いつものようにくだらないことを話しながら、クレの言うおすすめの場所に向かう


「ここの一番上」


そういって、立ち止まり見上げるのは身長の何十倍もある、高くそびえ立つ、時計塔であった


確かに、これ程大きい建物から見下ろすこの国は、きっと綺麗なんだろうな


「じゃあ、早く登ろう」


そう言って今度はこちらが長寿エルフの手を引き時計塔の階段を一緒に、途中から並んで走って登って行った


はあ、はあ、そう息を切らしながら階段をのぼる私と、普通に登ろ、長年引きこもってたくせに体力があるクレ、なんで


まあいいや、きれいな景色を期待しながらゆっくり登ろ


そう思いながらクレと一緒に長い階段をゆっくり、息を整えながらゆっくり上がっていく


「早く、ラナ」


そう言ってぎりぎり周りが見えない場所で私を待つクレ、やっぱり一緒に、同時に見たいっていう気持ちは同じらしいね


「今行く」


そう言って回復した体力を使って少しだけ早く上がっていき、クレの傍まで行って階段を一段づつ上がり


登り切ったこの場所で、てっぺんでクレと一緒にみた景色は、夜空の星よりも綺麗に輝き、なのに夜空の星と違い見えなくならない、とても綺麗で、それであって目の前から消えてしまうことがない、どれだけのお金を払ってもここでしか見れない、芸術的な面も持つ、まさに最高の夜景だった


(昔より綺麗、少し建物の配置が変わったり、技術が上がったから?・・・それもあるんだろうけどきっと一番の理由は、クレと観るからかな)


この景色は、 (この景色は、)


クレといたから (ラナといたから)


観ることができた (また観れた)


そう思いながら2人が互いを見て、少し見つめあい恥ずかしくなり目をそらした後、少しだけ夜景を見ながら喋り、景色を思い出しながら、一緒に長い階段を喋りながら急いで降りていく


「あんな綺麗なのに誰もいないんだね」


「まあ中央から結構離れてるし、ここら辺は人通りも少ないからね」


そう喋りながら宿に向かい歩いていると、何か紙のようなものが風に乗って私に向かって飛んできた


なにこれ?手紙?


「大丈夫?」


「多分大丈夫」


「手紙見たいだけどなんだろうこれ」


「まあとりあえず早く宿に帰って調べよ、開けるのはその後」


急いで宿に向かい、手紙について調べると、わかったのは普通の手紙だということのみ、おそらく危険性もない、なので開けてみる


「開けるよ、クレ」


「うん、心の準備は出来た、なんでも来い」

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