第14話観光

「ねえクレ、何かおすすめの場所とかある?」


「おすすめの場所って言っても、雰囲気は変わってないけど、国の規模も、建物も、城壁の内側に書かれている絵も、私が昔来た時からかなり変わってるし・・・あっ、あそこは変わってないかも」


「あそこ?」


数百年も変わってない場所、しかもクレが思い出しすほどの場所、どんなところなんだろう


「そこに行く一番いいタイミングは?」


そう聞くと笑顔で


「いろんなところに行った後、夜になってから」


と返してきた


「それじゃあ夜になるまで2人で色んな気になるところを回ろうー」


「おー」


そう言ってまずはイラストを描いてくれるらしいクレープ屋さんに


「私はチョコクレープと、クレはどうする?」


「私はバナナクレープで」


とクレが耳打ちしてきた


「オッケー」


「後バナナクレープで」


「お望みのイラストなどありますか」


「クレ、何かある?」


クレが再び私に耳打ちしてきた


「私たち二人のイラストをお互いのやつに」


確かに結構いいかも


「それじゃあ、チョコクレープにこっちのエルフのイラスト、バナナクレープに私のイラストをお願いします」


そういうと、店員さんが素早く、それであって丁寧に、そして何より綺麗に、華麗に、おそらく20代前半くらいのお姉さんがクレープを作っていく


「お待たせしました、イラスト入りクレープです」


店員さんから渡されたのは、違和感なく、数名のクレが描かれたクリームと、クレが大きく描かれた生地のチョコクレープと、同じく数名の私が描かれたクリームと、私が大きく描かれた生地のバナナクレープ


どんな技術があったらこんなもの作れるんだろー、うますぎでしょ、流石は芸術の国、技術も美しさもレベルが違う


「「いただきまーす」」


おおー、美味しい、イラストのために味を落としたり、値段のために材料を犠牲にしていない、しかもイラストで楽しみながら食べれる、580円でこれは安い


「クレ、食べる?」


「うん、食べる」


クレにチョコクレープを食べさせる


うーん、美味しそうにスイーツ食べるクレの顔いいねー


「どうしたの?そんなにやにやして、クリームついてる?」


クレープを飲み込みそう聞いてきた


「それもあるけど、クレープ食べてるクレの顔が、幸せそうだから」


そう言いながら口に着いたクリームを取り、食べる


「ありがとう、じゃあお返しに、バナナクレープ食べる?」


「食べる」


そう返すとクレがバナナクレープを食べさせてくれた


うん、とっても美味しい


「やっぱりラナもクレープ食べる顔が幸せそうだね」


そう言いながら私のほっぺについていたらしいクリームを取って食べてくれた


そんなことをしながら、その後壁の近くを歩き描かれている絵を観たり、謎解きをやってみたり、オペラを観に行っていたら、いつの間にか月が見える時間になっていた


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