第11話ラナの切り札

私の体質、呪い関連の自分にとって良い影響があるもの以外全て無効、その体質がなければ使えば死ぬような、生まれるつきある呪いのようなもの、それが今から使う、無詠唱での呪いの発動、その代償、それは呪いにのまれて数日間仮死状態に陥る、私の体質があっても今のところ最大1か月、最低でも3日仮死状態に陥る、それが私の二つ目の呪いのようなもの


これを使えば龍との勝負は一瞬で終わる、理由は簡単、私がただどの呪いを使うか決めて、その対象を選択するだけでいい


例えば命を奪うを選択して、対象を思い浮かべる、これは個体名でも、姿でも、視界内のものでもなんでもいいから選択すると、こんな感じで呪いが発動して、龍が死ぬ


「ねえクレ、これどうする?」


「一旦魔法で圧縮して保存魔法をかけて、収納魔法で収納しようと思う、この死体のせいでばれたりしたら嫌だからね」


「オッケー、じゃあそれ終わるまでは見張っておくね」


「うん、お願い」


そう言っていつもより素早く圧縮、保存、収納を終わらせていく


「終わったからもう休んでいいよ、ラナ」


「起きるまでお願いねクレ、顔に傷付けたら許さないよ」


「私を誰だと思ってるの?48000歳越えのエルフだよ」


「って、言ってる間に仮死状態になっちゃった、今回はどれくらい仮死状態になるのか」


「さっき使った呪いは自分の半身のどこかが機能停止になるのと唱えるのに数十分かかる代わりに、かけた相手がラナみたいな体質でもない限り即死させられる呪いだからなあ、一週間は確実に仮死状態だろうなあ、もうすぐ魔術の森も抜けるし危険は少なくなるだろうけど、ああ大変そうだなあ」


そう思いながらラナの装備を一度外して、自分の杖以外の装備も外して、ふかふかで、人の体温をその人にちょうどいい温度にある程度調整してくれる便利な毛布でラナの顔以外を巻いて、膝の下と腰近くを左腕と手で支えて、右腕で頭や首を支えて持ち上げ、杖をその上に置いて森を進んでいく


10日後の深夜


臓器が動いて、体に空気が入り、血が全身をめぐり、だんだんと脳が動いてきて、ゆっくりと瞼が上がり、瞳にほんの少しだけ、久しぶりの光が入ってくる、この感覚、そして何より、体のあちこちが固まっていたいこの感覚は、仮死からぬけだせた


やったー何日たったんだろう、クレに聞こうかな、そう思いふかふかの毛布から抜け出して、体を少し伸ばしてから周りを見る


あっ焚火、さっき入ってきたのはこの光かあ、まさか夜に起きてしまうとは、まあいいけど、とりあえず


「クレ、見張り交代」


そういうと近くのきの裏からものすごいスピードでクレが出てきて抱きしめてきた


「おはよう、ラナ」


そう涙を流しながらも、いつものような落ち着いた声で、私のことを強く抱きしめながら言うラナに、こちらは抱きしめ、頭をなでながら、いつもと同じような声で返す


「おはよう、クレ」

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