雨心
人の心も天気のよう。
私は雨のようです。
雨の日の侘しさと言ったらなんともいいがたい。
財布の中を見るとなお豪雨となる。
親元から離れ月三万五千円のアパートを借りた。
一人暮らしというのはよく金がかかる。
安月給の仕事には中々きついものがあった。
こんなとき愛しい人がいればと無い物ねだりの空想ばかりしてしまう。
家族とはうまくいっていなかった。
そんな中、叔母だけが私の心の支えである。
叔母はなにせ立派な方。いつも太陽のように朗らかに明るく、曇ることない晴天のような人だった。
私はいつか恩返しをしたいと思っておりますが、中々うまく行かないもので。
早く嵐が過ぎ去ってくれれば晴れてそれができるのですが。
そういえば、もう少しで梅雨の時期になりますね。紫陽花や蛙。その者たちにとっては待ち遠しい季節だろうが、私にとっては少々好かないのです。
あぁ、雨。かの文豪はアメニモマケズ。とも言いますよ?
しかし傘を持っていない身でして、雨を防ぐ術はないのでございます。落ちる雫は私の体にまとわりついて、全て濡らしてしまうのです。その不快感といったら。私はアメニモマケルです。
本当に人の心は天気です。
曇っては雨になり、轟々と嵐がやってきてその後晴天になり。その繰り返しが人生。
その中で傘を貸してくれる人はほんの一握りです。中には無理やり傘を奪い取ったりする輩もいる世の中であります。実に世知辛い。
自ら雨を払いたいので、はてるてる坊主でも作ってみようかしら。
弱っちい私の心は、すぐ雨が降るので。
「そんなに傘にこだわらずとも、カッパもあるよ。」
友人に言われた。
雨を乗り切る為に確かに別の選択肢も必要であるなと感心したものです。
まぁ、今の所まだ心の中は土砂降りです。いや土砂降りなんてものじゃありません。土砂降りの大嵐です。
明日をどう生きるかどうなるか分かりませんが、嵐が過ぎ去ったそのとき。雨宿りさせてくれた人達に恩返しできればなと思います。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます