第11話

「「お嬢様、お綺麗です!」」


 私の侍女と執事である、シェイとアレンに元の姿を見せたら速攻で褒められた。まだ私はこの姿、どうかしら? と聞く前に答えられてしまったわ。


「ありがとう。ふたりにそう言ってもらえて嬉しいわ」


 本心である。やっぱりこのふたりに褒められるのは、素直に嬉しいと思う。


 今の私は濃い赤毛からストロベリーブロンドに髪の色が変わっている。変わったというよりも、今のストロベリーブロンドの髪が私の元々の髪色だったけれど。


 ドレスの色も、赤毛にしていた時には濃いめで派手な感じのものを着ていたけれど、今着ているドレスはマーメイドラインで、膝から広がる布地部分が濃い青から段々と薄い青に変わっていくのが美しい、全体的には薄い水色のドレスである。


 前とは違って清楚な感じに見えるんじゃないかしら? 自分でも、前の自分とは別人だと思ってしまうわ。色やドレスの型を変えるだけで、こんなにも変わるとは……。


 ドレスは着替えたので、今度は髪を整えてもらう。前の髪型はクルクルの素晴らしい巻き髪でしたけれど何か?


「やっとお嬢様の髪型を変えられます……っ!」


 シェイを含めた、髪を整えてくれる子達に力強く言われてしまったわ。そうよね、前は髪型を固定していて弄れなかったものね。これからは色々なヘアアレンジをしてもらいたいわね。


 最後にアクセサリーなどを身に付けて、支度を終える。


「お嬢様、フルールお嬢様が来られました。中にお通ししてもよろしいでしょうか?」


 軽く元の姿を見てもらった後、部屋の外での待機に戻ったアレンから可愛い妹の来訪を告げられる。


「直ぐに通して頂戴」


 さて、可愛い私の妹であるフルールはどんな反応を見せてくれるかしら? ちょっとドキドキしながらルルが来るのを待つ。


「お姉様!!」


「「フルールお嬢様っ!?」」


 ……あらら、お付きの侍女たちを置いて駆け込んできたわ。


「フルール、家の中でそんなに走ると危ないわよ?誰かにぶつかってしまうかもしれないもの」


 これでも私はルルの姉ですもの。注意するべきことはちゃんとします。それにしても、妹からの反応がないわ。いつもは直ぐに私のことを褒めてくれるのに……。


「フルール、どうしたの? 元の姿に戻ったこの私は嫌い?」


「きらいじゃありませんっ!お姉様のあまりのうつくしさに、みとれていました!!」


 もしかして妹はこの姿が嫌いなのかと不安になって聞くと、即座に否定して私に見惚れていたと嬉しいことを言ってくれた。


「ありがとうルル。この姿の私も、好きでいてくれる?」


「あたりまえですっ! みためがかわってもわたしのだいすきなお姉様ですもの!」


 そう言ってルルが抱きついてきてくれたのは良いけれど、ドレスがシワになると直ぐに侍女たちに引き離されてしまったわ。不満気に頬を膨らませる妹が可愛い。


「むぅ……」


「ルル、お茶会が終わった後なら抱きついても大丈夫よ」


 私がそう言うと、直ぐにいつもの姿に戻る。さっきの頬を膨らませている姿も可愛かったけれど。


「そろそろ時間ね。フルール、行きましょうか?」


「はい。お姉様」




 ルルと手を繋いで、お茶会の場所へと向かう。さあ、皆んなは私のこの姿を見てどんな反応をするのかしら?

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