第4話
我がチェルニ家自慢の庭園。そこでお茶を飲んでいる。美しく咲き誇る花と、美味しいお茶。疲れた体が癒やされていく。
「やっぱり、だいぶお疲れのようだね」
「兄様。アレに会うのに疲れないと思いますの?」
「すまない。それは疲れて当然だ」
なかなか酷い会話をしている私達である。しかし、使用人たちもアレが酷すぎるのを知っている為、注意する者はいない。私のことを大事に思ってくれているので、我が家の使用人含めてアレへの当たりは強い。
「リラックス効果のあるお茶といっていたな。庭園で飲んでいるのもあるが、とても良いな。書類仕事で疲れた身体が休まる」
フルード兄様は時期当主として、お父様の書類仕事を手伝っている。我が家は伯爵家とはいえ上位の方で、結構な敷地の広さがある。その上治める領地も多くて、書類仕事も多い。お父様は真面目で書類仕事が得意なフルード兄様がいてくれて大助かりだろう。
「やはり、書類が多くて大変ですの?」
「それは当然。しかし、治める民のためにも疎かにはできない。裕福な生活をさせてもらっている分、やる事はやらないとな」
流石フルード兄様。私も何不自由の無い生活をさせてもらっているので、何かお返しができれば良いなと思う。まずは、片付けなければならない問題があるけれど……。
「ご歓談中、失礼します。お嬢様」
所用を頼んでいたアレンが戻って来た。
「当主様が本日の夕食の後、時間を取られるようです」
「ええ、分かったわ」
お忙しいのに、無駄な時間を取らせてしまって申し訳ないわ。
「それと、話し合いには家族揃ってお聞きになるそうです。ですので、フルードリヒ様も時間を作るようにと」
「ああ、勿論だ。今日のデートでアレが何をやらかしたのか、しっかりと知りたいからね」
フルード兄様、笑顔が黒いです。爽やかな見た目が台無しだわ。デートをしないで婚約破棄を言われたと言ったら、もっと怖くなりそう……。
「家族揃ってということは、お母様たちやお兄様たちもかしら?」
我が家には私とお兄様以外にも、私の義理のお兄様たちとお義母様がいる。所謂側室の方で、お父様ではなく、お母様のほうがどうしてもとお願いしたそう。
お母様たちの関係は良好で、見ているとまるで姉妹のように感じる仲の良さである。その息子たちも私たちとの関係は良好で、次期当主になる兄様を支える為に騎士の仕事をしている。体を動かす方が得意であるのもあるけど……
「ところで、流石にルルは参加させないわよね?」
「いえ、参加されるようです」
「え?」
ルルというのはフルールといって、私の可愛い義妹で賢いがまだ幼い。楽しい話し合いではないから参加はしないと思ったのに。どうしてかしら?
「当主様は参加させる予定ではありませんでしたが、フルール様がどうしてもと……。大事なお姉様に何をしたのか、知らなければと凄い剣幕で当主様に駄々をこねられていました」
そういえば、あの子は私にとても懐いてくれていたわね。そして私の婚約者(仮)が大っ嫌いで会うとなると、とても機嫌が悪くなってしまう。まあ、私もなんだけれど。
「うんうん、ルルはリアにとても懐いているからね。一緒に聞くのは当然だね」
どうやら一家揃って、私の話を聞くことになるようね。今日あったことをお話ししたら、アレはどうなるのかしらね?
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