第2話 大変な一日

結局オールしてしまった…そのため凄く眠い。

授業の内容が1ミリも頭に入らず、俺の頭はすでにあの堕天使のことで精一杯だった。

「おい、優弥…さっきから大丈夫か?まぁ、お前のことだしどうせ長い時間ゲームでもしてたんだろうけどさ」

「まるで自業自得だな」と言わんばかりの顔で話してくるこいつは上坂圭人、1年の頃からの付き合いで唯一の話し相手でもある。

「まぁ、そんな感じ。それより休み時間くらい寝かせてくれ」

俺は若干キレ気味でそう圭人に伝える

「おぉ、これはマジで寝てないな。」

いつもの夜更かしは長くても2時までだったためここまでには至らなかった。しかし今回はオールしかもオマケに堕天使の家突撃事件付きだ。

ピリついた優弥を見て圭人は何かいつもとは違うのを感じた。

(こいつは、ゲームではここまでにはならないはず…ならば…!)

「女か!」

なんでコイツこんな勘が鋭いんだよ!

うつ伏せで寝ていた俺の頭がピクッと動く

「ビンゴ!!!」

圭人が嬉しそうにデカい声でそう言う。

「うっせえ、あんまりでけぇ声で話すな。」

コイツのせいで地味に眠気が吹き飛んだじゃねぇか。

おまけに圭人が無駄に騒がしくしたことによって謎の女子たちが俺達の近くに来て「え!優弥くんって彼女でもできたの?!」「どこのクラス?」「その人ってどんな人?」と、鬼のような質問責めが始まりだした。

「おい、圭人…」

俺は圭人に強い視線を向ける。

「え、俺のせい?」

そう疑問視する圭人

そうだ、お前が100悪い。誰かが否定してでも俺は認めたくない。

そう言いたいところだが、この質問責めからどうにか抜け出さなければ…と思っていたところに…

「はいはい、一旦ストップ。優弥が困ってるでしょ。」

そこに救いの手を差し伸べたのがこのクラスの宮澤穂波。このクラスの陽キャ軍団のトップにいる人だ。明るくて、優しくフレンドリーな人柄だからか学年全体でも人気があり容姿も良いからか男子からの人気も高いんだとか。

「救世主…」

そう俺は口を開く。

「んで、さっきの会話の内容ってなんだったの?」

そう穂波は聞くと一人の女子が

「優弥くんに彼女ができたって言う話が…」

「え!何その話、私も聞きたい!」

恋愛トークの話題が出た瞬間に凄く興味を持った眼差しでこちらを見つめる。

(救世主様はどちらへ行ってしまったのだろうか…)そう思いながら圭人へと助けを求めるも、

圭人のいた方向を向いてもヤツは既にその場から脱出していた。

ストレスが限界値に達しそうな中、この女子たちに理解してもらうために放課後まで説明が必要だった。

やっと開放された俺は、昇降口にたどり着いた。

そこには圭人が待っていた。

「おつかれ~」

そう言いながらジュースを一本渡してきた。

「あと、20回ぐらい奢ってもらうからな」

「ちょっと多すぎない?」

「恋愛絡みの誤解は解くのも一苦労なんだぞ」

なんとか、うまく誤解は解けたがいずれまた似たようなことが起こりそうな気がする。

そんな未来に嫌気が差す自分に圭人はスマホの画面にある一つの画像を見せてくる。

「そういえば、見てよコレ。サッキの時間にコレ見せたかったんだけどさ〜」

ジュースを飲みながらその画像を凝視する。

そこには、黒い隕石のような画像だった。しかし、岩とは少し違う見た目をしていた。

「遠くから撮った写真らしくて、あまり画質がよくないんだよね~」

確かに遠くから撮っているからか、画素が足りず粗くなっているからか正直分かりにくい。

しかし、自分には心当たりがある。

おそらく、シャロだというのは間違いない。

撮影者がおそらくスマホだったのが良かったと思ったのはこれが初めてだとおもう。

「多分、これちっさな隕石でしょ」

「だよな、けどこれみてよ」

圭人から見せられたのは次は動画だった。それを見ると、さっきの写真と同じ隕石が住宅街へと落ちていく動画だった。

しかも、その住宅街は俺の家の周りと酷似していた。しかも大変なことにこの動画が短時間でものすごくバズって再生数が100万回を超えていた。

それを見た俺は口に含んだジュースを思わず吹きこぼしてしまった。

「おい、なにしてんだよ」

「ごめん、変なとこに入った」

ジュースでむせた俺を変な目で見る圭人

「お前の口に含んだジュースかかったから、俺にもジュース奢れよな」

「しかたねぇ、奢るのはやっぱ3日で許してやるよ。」

「よっしゃ!」

そんな会話をしながら無事、家帰ることができた。


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