堕天使が家に突撃してきたんだがどうすればいい?

炊飯器にいるこめつぶ

第1話 堕天使が家に来た。

俺は坂月優弥16歳高校2年生だ。

俺の高校生活は特に何も起こらず、彼女もいないため青春ラブコメのような楽しい高校生活とは無縁のつまらない平凡な毎日を送っている。

そんな変わらない日々を憂鬱に感じながら家に帰る。

「ただいま〜」そう言いながらドアを開ける。

しかし、賃貸のアパートに一人暮らしなため誰からも返事がない。

そして、荷物を置いたと同時にテレビゲームの電源を付ける。帰ってからゲームをして時間を潰し、腹が減ったら冷蔵庫にある材料でなにか作って食べる。家事は一人暮らしをすると言ったときに親からの猛特訓され今では十分にこなせている。そうしてまたゲームに没頭していたら時計の針が1時を超えようとしていた。明日も学校なので、そろそろと寝ようと思ったとき、ベランダの窓からなにか大きいものがものすごい速度で飛んできた。

窓のガラスが砕け飛び、破片が散乱する。

俺はその状況に唖然とし、飲み込むまでに時間がかかった。そして飛んできたものに目を向けて見たがそれは黒髪の女の子だった。おまけに翼が生えている、しかも黒いのが…

なにかの勘違いなのか何なのか余計に脳が混乱する。そうしていると、彼女が、目を覚ます。目の瞳孔が紅く、黒く染まった羽根が広がる。まさに厨二病の夢が詰まったような見た目だった。

そして、彼女が口を開く。

「誰だ、お前。」

そう聞かれたが、彼女の視線と言動からは俺を敵対視しているように感じた。

「え…あっ……」

そのせいで俺の口が思うように動かない。

そして、彼女は俺に歩み寄り首元に鋭く尖った爪を食い込ませながら

「お前は私の敵か?」

「い…いや、違う!」

咄嗟に声を出し否定した。

しかし、これはまさに危機的状況だった。

彼女の質問を間違えでもしたら、命が無くなってしまう。しかし、このままでも同じ結果な気がする。どうにか打開策を探るためにそばにあるスマホにてをかけようとした。しかし、それを見逃そうとはしてくれない。

「お前、コレで何をしようとした。」

スマホを取り上げながら彼女は言う。

選択肢を間違えてしまった。明らかにゲームオーバーのルートをたどってしまっている。このままじゃ俺は死んでしまう!

「いや…俺はただ…!」

そう放ったとき何か大きな音が鳴った。

それは彼女のお腹の音だった。

それと同時に首を掴んだ手の力が緩み羽根が溶けていくかのように消えていった。そして、彼女は膝から崩れ落ち、「はらがへった」と力のない声でそう言った。

これは命の危機から脱出するチャンスなのでは?

(たしか冷蔵庫に今日の残りのカレーがあった気が…)

その事を思い出した俺はすぐさまカレーを温め直すためにキッチンへ向かい、温め直したカレーを彼女の前のテーブルに置いた。

置いた瞬間、その匂いに彼女は目を輝かせながらカレーに貪るように食べ始めた。

「ナンダコレハ!スゴクウマイ!!」

たどたどしい言葉になるほど美味かったのかものすごい速さで食べ終えてしまった。

少し落ち着いたのを感じたので彼女に質問を問いかける。

「ところで、君はどこから来たの?」

「私は、天界からだな。知ってるだろ。」

テンカイ……知らない場所だな〜俺の知ってる県や市にはそんな場所はどこにもないぞ〜

…と言っても思い当たる場所は一つしかないか、あんな羽根を見せられて分からないと答えるのもおかしな話だ。

「まぁ、知って入るがそんなものはこっちの世界では空想の話なんだけど。ちなみになんだが、一体何者なんだ?」

「私は、堕天使”シャロ”元天使だ。」

「元天使……?」

「ああ、私は元々は上で天使としてやってたんだが、色々あって堕天使になってしまってな。」

そう話すシャロ、天使というのも人間のように上手くできないこともあるのだろう。

そう考えると、自分の思い出したくない思い出さえも蘇ってしまうような気がした。そのまま俺はだまったままだった。

「なぁ…」

何か言いたそうにするシャロ

「なんだ?」

「さっきからずっと舌がヒリヒリするんだがどうしてだ?」

自分の家は全員辛口派だったため今日のカレーも辛口だった。

「あ、ごめん、辛かった?」

「なんか、凄い口の中が熱いんだけど、まさか…毒か!」

シャロがそう考えついた瞬間、殺意が宿り始めた。

「違うって!今から…」

水を取ろうと考えたが、そういえばいいモノがあった気がする。

そうしてシャロの目の前にあるモノを置いた。

「これは?」

「これはアイスだ!」

そう!これは俺が辛口がまだ食べられなかったときに間違えて出してしまった時にアイスをくれたことを思い出した。

しかし、これは俺の少ない小遣いで買った1個300円以上するアイスだ。本当は出したくは無かったが、命を取られると考えたら安いものだ。

シャロはスプーンで掬ったアイスを口に入れた途端

また、目を輝かせた。

「ん!美味い!」

「お、そうだろ〜これは俺の月1の楽しみなんだからな、このバニラとこの牛乳のコクというのが特に〜ってもう食い終わってる!」そうアイスについて語り始めようとしたがシャロは食べ終わってしまっていた。

「大変美味しかったです!こんなものまでありがとうございます!」

お〜そうかそうか〜うまかったか〜……

なにかおかしい…今までの言動が丸くなっているし、女性にしては少し低かった声が若いアイドルのような声に変わっていた。

「え…?」

意味が分からず声を出してしまった。

「ん?どうしたんだ?」

既に声はもとに戻っていた。おそらく何かの聞き間違いだったのだろう。

「いや、なんでもな…」

そう言おうとしたのだが忘れていた。というかなぜ忘れていたのか、窓が割れたままということをそのままにしていたのか

「あぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

おそらく今までの膨大な情報量と多額の修理費用から目をそむけたかったのだろう。しかし、これを見て見ぬふりは無理がある。

おそらくこのままでは親にバイトを死ぬほど詰められる気がする。どうやって言い訳すればいいのか全く見当がつかない。

そう考えているとシャロは窓の方へ手を広げなにか小言を言い始めた。

「大地の恵みよ我々に生命の力をくれたまえ」

そう言い放つと同時に手から小さな光の粒が広がり散らばったガラスの破片が次々と窓の方へと向かい元通りの姿になった。

「すげぇ、 けどよかった~」

窓が治ったことに安堵し、一安心した自分がいた。

「こんなもの元天使の私にかかればこんなもn…」

と話途中ながらも疲れてしまって崩れ落ちるかのように寝てしまった。

こうして、この騒動は一旦収まったが、これからどうするべきなのだろうか。このまま考えてみたがわからないまま時間だけが過ぎていき、夜が明けてしまった。







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