第4話 軍議

「これより軍議を始める」


その言葉に両側に連なる家臣たちは頭を下げた。


「では氏家」


俺がそういうと前もって用意していた絵図面とともに氏家が一歩前に出た。


「ハッ。皆もご存知の通り、小田原城が秀吉の手に落ちた。里見、佐竹も豊臣に従属。次に狙われるのは我が城であろう。動くとすれば、春日山だな。おそらくは春日山の名将、上杉弾正少弼が来るであろうな」


谷粕がそれを聞き質問を返す

「それを知ったとして手立ては?このままでは勝ち目がないはず……」


「敵は防備の薄い南西。そこに全兵力を投入するはず。今春日山の動かせる兵は15000。

山形を包囲できる人数はおりませぬ」


それに谷粕が納得したように答える


「兵糧攻めはないということか。ならば金は武具を中心に回せそうだな」


「ええ。その通り。おそらく敵は強攻で来るでしょう。そこで我らは城の強化を中心に行いましょう。それも南西を。北東から来るには遠回りをしなければならないので兵糧を削ることができ、そもそも向こうは硬いので」


「なるほど。ではそれで異論はないな」


「ハッ」


その言葉と共に軍議は終わった。しかし、やはり谷粕は自分の想いを吐露する。


「それにしても軍議と言いつつ氏家と私しか呼ばないのはどうかと思いますがね」

「仕方なかろう。延沢とか六郷とか呼んでみよ。一刻ではすまぬわ」


そう苦笑した。

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