暖簾は物語が好き。

 物語が好きだ。


 物語が好きだという人は結構多いと思う。好きな理由として、多くあげられる理由は「自分の知らない世界に行ける」「知見が広がったように感じる」「わくわくする」「共感ができるところ」と言ったものだ。僕の周りにそういう人が多いだけの可能性もあるが。

 僕はなぜ物語が好きなのだろうか。

 自分は何事にも理屈をつけなければ落ち着かない性質を持っているので、その理由も考えることにした。そこで、より多くの意見に触れることが大事だと考えたので、とりあえずネットでいろいろ調べた。便利な世の中だ。

 そして「新しい価値観に出会う」ことが、物語を読む理由だという意見を見つけた。思うに、僕は物語の考えが好きなのではないだろうか。なんだそれ。物語に出てくる人々の思想、好み、ちょっとした考え方や行動。そういう、自分とは違う人を知るのが好きだ。そういう意味では先ほど例として述べた「知見が広がったように感じる」にも近いのかもしれない。

 また、物語を読む理由として「ストレスがない」「自分から積極的に相手に働きかけることがない」といった理由があるらしい。別にここに書いていることも、他人のあげた理由も、「※個人の感想です」なのだから、自由にしておけばいいと言う自分もいる。が、あえてこれに反論したい。

 ストレスはある。あります。鬱展開になったとき、理由はわからないが読むのが妙に遅く感じるとき、すごくいらつくキャラが出てきたとき、僕は心に負荷を感じる。脳のリソースが削られるような感覚になる。


 それでも僕は物語が好きだ。僕は人が好きなのかもしれない。

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