自分紹介

緑暖簾

暖簾は伝記が苦手。

 本を読むのが好きだ。正確には物語。


 僕は、自分がノンフィクションが苦手な理由を考えていた。

 ノンフィクションの全てが苦手なわけではない。

 どうやら僕は、ノンフィクションと言うからには事実が書いてあるのだろう、そうあるべきで、そこにこうあるべきだというだれかの計算だとか、美化された思い出だとかは不要だと考えているらしい。

 ここで、僕は伝記や自伝――もっと言えば誰かの成功譚――が苦手なのだと気付く。

 例えば、とある企業の社長の一生についての本であれば、「社長を称える」というテーマが存在する。社長のパワハラがひどければ糾弾されるなのに、「愛の鞭」といったきれいな言葉で包まれてしまう。テーマに沿っていないからだ。

 僕はそういう業界の者でないから、プロの目から見たらこの意見は驚くほど的外れなものかもしれないし、逆に、打算的な考えなくしてこういった事業は成り立たないのだから美化があって当たり前だ、と言われるかもしれない。それでもこう言った成功譚を読んでいると「ここは噓っぽいな」だとか、「本心から思っているわけではないに違いない」とか考えてしまう。

 では、最初からそういった作品を読まなければいいのではないか。

 まったくもってその通りだ。しかし、たまにそういったノンフィクションが読みたくなって、読んだ後には、やはり、「現実がこんなにきれいなはずがない」と思う。


 僕はやっぱり伝記が苦手だ。たぶん、また読んでしまうのだけれども。

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