第30話 フットサル始めました
「フットサル?」
翌日、教室で三人に小塚先輩の話をすると、三人は揃って不思議そうな顔になった。
「なんか押し切られちゃって」
「昨日の三年生?」
「そう、B組の小塚先輩」
「フットサルの勧誘に来たんだあれ」
菊池がへー、と面白がる顔になった。
「無理していくのか?」
田中が心配そうにして、慌てて首を振った。
「押しには負けたけど、嫌ではないよ」
実際は先生に励ましてもらったけど、と心の中で言い訳をしながら、初めて自分から話題を振ったことも含めて、少し動悸が始まってしまった。
「ふーん、高瀬は押しに弱いのかあ」
熊田が何かを考えるように肘をつく。
「いや、内容にもよるよ!」
本能的な警戒心が働いて言い添える。
「じゃあ俺ももっと押そ! 今日放課後どっかいこうぜ!」
菊池の提案に熊田が軽くいいよ乗って、いつも放課後は自習室に行く田中も、チラッと俺を見て、「もちろんいいよ」と頷いた。
「高瀬は? 行くよねえ?」
菊池がニコニコ笑って、熊田がうんうんと頷き方を見せてくる。俺は笑ってしまった。
「いいよ」
俺は再び押しに負けて、それから毎日、四人で寄り道をすることになった。
『高瀬は押しに弱かったのか』
『そうみたい。気を付けないと』
木曜の夜に先生にも俺の特性がばれてしまった。
『今日はどこへ行ったの?』
『近くの飲食店は制覇したからボーリング』
『スコアは?』
今日のことを思い出してぷっと噴き出した。
『みんな下手くそでうけた』
『あらら』
『知らないおじいさんが教えてくれて良くなった』
実際、二ゲーム目で俺と熊田は130まで伸びた。その前は60台だったのに。
『楽しかった?』
『うん、また来週リベンジしに行く』
『いいね、もっと色んなことを楽しむんだよ』
『うん』
楽しかった。
球が左右の溝に落ちるたび、ピンの間をすり抜けるたびに大笑いしながら、何も気が付いていなかった頃をちょっとだけ思い出した。
どこかで林さんにも見られていたらしく、今度いつものメンバーで可愛いパフェのお店に行くと決められてしまった。俺は、それもきっと楽しいんだろうと思った。
やっと心を締め付けていた何かが緩んできた気がして、フットサルのこともずっと楽しみになった。
金曜日、帰宅して課題を終わらせると、早い時間に食事を取った。それからジャージに着替えて必要な物をリュックに詰め、六時過ぎに家を出た。
定期でバスに乗って二駅先で降り、角のコンビニの前で車が来るのを待つ。
ゆっくり深呼吸を繰り返す。大丈夫。先生が言うように、もっと色んなことをしよう。普通の高校生みたいに。
ほどなくして目の前に車が止まった。真っ黒のランクル。車に興味のない俺でも知ってるやつ。
小塚先輩が手を振っている。その横で大学生らしい短髪の男の人が俺のことを見ていた。瞬間緊張して、小塚先輩の方に回った。
窓が開いて、「後ろ乗って」と言われ、ドアを開けると、レザーの香りが全身に降り注いだ。
「お待たせ高瀬」
「こんばんは!」
「よろしくー。高瀬何君だっけ?」
運転席から振り向かれ、緊張しながらシートベルトを締め、「祐希です」と返す。
見た目から想像したより、気さくで声も柔らかい。
「この人は大学二年の鈴木さん」
「よろしくお願いします!」
「高瀬は大学行くんだっけ? ってこのあいだ聞いたような気がするけど」
車が動き出して、いつもの癖で左右を確認したけど、車幅が大きくて無意味だった。
「ええと、まだ決めてません。就職も考えてます」
「そうなんだ」
先輩が驚いた声を上げた。
ハンドルを切られた車がゆっくりと車道に出て直ぐに左折して、いつものバスの路線を外れた。
「高瀬は頭いいって聞いたよ、学年一桁でしょ?」
「えっと、はい」
「ええ? 頭いいのになんで働くの、勉強飽きちゃった? 家庭の事情?」
驚く鈴木さんにバックミラーで視線を送られて、つい目を逸らす。
「うぉい! いきなりぐいぐいいくなよ!」
小塚先輩が鈴木さんの腕をパンチした。
「だって東で就職は珍しいじゃん、成績もそんなにいいのに」
「色々考えがあるかもしれないだろ! 高瀬、無視していいから」
「あ、いえ」
返事をしつつ、気まずい気持ちでシートに沈んだ。
話題もそうだけど、親しい二人のやり取りにドキドキしてしまった。
前に自分よりも体格のいい人が好みだと自覚したけど、どうやら俺は年上も好きらしい。
大きな車を運転をしてる姿とか、余裕のある雰囲気だとか、漠然と自分よりも広い世界を知っている感じが、なんというか、そわそわする。
初対面の人との車中で自分の好みを認識してしまってただただ気まずい。そしてこれから向かう場所には年上の男性しかいないんだと思うと、不安な気持ちがみぞおちにもったりと溜まり始めた。
「ごめん高瀬、居心地悪かった?」
「いえ全然! えっと、親は大学に行くと思ってるんです」
しまった、せっかく先輩が終わらせてくれたのに話を繋げてしまった。
「相談してないんだ」
「はい、まだ」
「行かせてくれるならいっときゃいいのに」
「そうも思うんですけど、考え中です!」
「そっかあ」と鈴木さんの後頭部が揺れて、なんとなく話題が着地した手ごたえがあった。
「そういや高瀬君、野頭校の特待蹴ったって聞いたけど、怪我じゃなかったんだ」
う、なんでこの人が知っているんだ!
なんとか話題が終わったとホッとした途端、また別の話題が俺をぎくっとさせた。
「ごめん。その噂、俺が聞いたんだ、ほんと?」
先輩が肩口で振り返った。
「あ、はい。サッカーを続けるつもりはなかったので」
「野津から来たならユースも来たろ」
「……はい」
「勿体ねー!」
鈴木さんが大げさに揺れながら叫んだ。
「うるさいなー、行く行かないは高瀬の自由だろ!」
先輩がまたパンチして、鈴木さんが「いてっ」と声を上げた。
気が重い。そうだった。噂は自分ではあずかり知らぬところで拡散されるものだ。そして初対面の相手と仲良くなるには、ある程度自分の過去も開示しなくてはならない。先輩があまり詮索に乗り気でないのだけが救いだ。
「サッカー辞めて、頭もいいのに働きたいって、やりたい仕事が決まってるとか?」
「いえ、特には」
「ええ?」
上がった感嘆詞にびっくりして身を竦める。車が赤信号で止まった。
「面白い子だな、春道」
言葉に皮肉を感じた。
とりとめない俺を見下ろす大人の気配。いや、ぼやっとしたことしか言えない俺が変なんだ。人は納得したい生き物だ。
理由はあるけど言えない。サッカーを辞める時と同じ。不審に見られるのは嘘をつく以上しょうがない副産物だ。でも少し、頬がぴりついた。
無意識に馴染みのツボに指先を伸ばすと、小塚先輩が、「そうなんだよー」とちょっと強引なテンションで声を上げた。
「面白くて好きなんだよね高瀬、まだちょっとしか絡んでないけどさ!」
カラッとした言い方は、恐らく俺のためだったと思う。小さな皮肉を感じ取れる人だと、俺もちょっとしか絡んでいないけど分かっている。
新しいことを始めるのはやっぱり少し怖い。でも、小塚先輩のことは好きになれそうな気がした。
「ナイス高瀬!」
「はい!」
結果的に言うと、先生にハグ要員として来てもらわなくても大丈夫だった。
軽い説明だけで実戦に放り込まれた俺は、テクニック的には直ぐに勘を取り戻せたが、とにかく走れなかった。ダッシュしては膝に手をつく俺を、敵も味方も優しく扱ってくれた。
「良いよ、交代!」
小塚先輩が笑いながら俺を引っ張ってコートから出した。
「あ、あざます……」
息も絶え絶えに壁に寄りかかる。給水することもままならず、染み込ませるように何度もペットボトルを傾けて唇を濡らす。
隣にいた社会人の森さんという人が、「上手いよやっぱ」と俺の肩をぽんと叩いた。もはやそれくらいの接触ではビクリともできないくらい体力がなかった。
「全然……走れなくて……すみません」
「若いんだし、直ぐに戻るよ。入ってくれたらウチ強くなっちゃうなあ」
笑う声を聞きながら、曖昧に頷いて体育館を見渡した。
こっちのチームに高校生は俺と小塚先輩の二人。相手チームにも一人いるらしいが、部活をやっていてあまり来ないらしい。
こっちは大学生も二人、迎えにきてくれた鈴木さんと、派手なライムグリーンのTシャツの、ひょろっとした長身の萩原さん。社会人が多くて六人ほどいるそうで、でも仕事の都合で全員が揃うことはほとんど稀らしかった。
相手チームの方が所属は多く、大学生が四人いて、体格が良く、上手かった。
身体の厚みが違う。当たられてもう少し動揺するかと思ったけど、あんなにやりこんだサッカーがものの二年でここまでできなくなっていることに真剣に驚いた。体力が戻っても、あの体には当たり負けてしまうだろう。
ようやく心拍が穏やかになって、ドリンクを喉に流し込んだ。
シューズにボールの当たる音、笑い声、ゴールで起こる、沸き、嘆き。
特待を受けて野頭高校に行っていたら、俺もあんな風にぶ厚い身体になっていたんだろうか。
集められた才能のあるチームメイトに圧倒されて、必死になって、ぶつかるのなんか気にならなくなっていただろうか。
ぼんやりと、広いサッカーコートを思い描く。
それは、今よりももっと充実した高校生活だっただろうか。
でも、先生には会えなかった。
その世界線の俺には、良い友人ができているだろうか。全てを話せる、先生みたいな友人が。
「高瀬、行ける?」
「はい!」
体力が無いなりに最低限の働きはできたと思う。もちろん俺に対して周りがもろもろ甘かったんだけど。
「フットサル初めてなんだよね?」
森さんが床でシューズの紐を引きながら俺を見上げる。
「冬に室内で蹴ることはありましたけど、サッカーボールでしたし、試合は初めてです」
「難しかった?」
小塚先輩に聞かれて、足元のボールに視線を落とす。
「タッチの感覚が少し、でも重くて跳ねないので、受けるのは少し楽かなと思いました」
「サッカーボールより吸い付く感じあるよね」
「ゴールが小さいので、浮かせるのは結構勇気が必要ですね」
ぎこちなく笑って当たり障りのない感想を述べた。
「そうだね、基本足元狙う感じ」
「どう? 走れたら行けそう?」
鈴木さんに聞かれて、首を傾げた。
「体力だけではちょっと。本気でやられたら吹っ飛ばされると思います」
向こうの大学生を見て弱音を吐くと、みんなが笑って大丈夫と励ました。
「無理しなくていいから、俺も仕事で来れない時期とかあるし」
森さんが俺の足先をぺんぺんと叩く。
みんなが俺を見ている。俺の言葉を待っている。
どうしよう、まだ気持ちが上がっているわけじゃないけど、来たくないと思うほどじゃない。一回で判断するつもりはなかったけど、もう一度来れば、それはもう所属するという意思表示になる。
「久しぶりにボール蹴って、楽しかった?」
迷ってる俺に、小塚先輩が問う。
ああ、この人はやっぱりずるい。ちょっと先生みたいだ。
ボールを蹴って楽しかったかだって? そんなの答えは決まってる。
「そうですね、はい」
「よかったー!」
「じゃあ今週末は試合ないから、また来週の火曜日、来れたらおいでよ」
一番身体の大きいキーパーの川崎さんが、日に焼けた笑顔で誘ってくれる。この人が代表らしい。
俺が頷くと、鈴木さんが、「よっしゃ」と叫んだ。
「じゃ、お先でまーす!」
相手チームがぞろぞろと移動してきて、こちらに挨拶をして帰って行く。
川崎さんが向こうの代表に肩を組みにいって、話しながら歩いていった。
自分も周りに合わせて、「お疲れ様です」と頭を下げていると、向こうの大学生の一人と明らかに視線が合って、少し居心地が悪い。
「島田ぁ! うちの新人君ジロジロ見んなよ!」
後ろにいた萩原さんが、俺の両肩を掴んでデカい声で叫んだ。
俺は飛び上がりそうなほど驚いて、それを見ていた小塚先輩が噴き出した。
「俺さあ、試合したことあんだよ、三旗と」
突然中学の名を出されて、島田と呼ばれた人に目を向けた。
「中三の時さ、ちっちゃい一年生が後半途中から出てきて、二点取られて負けたんだよ。あれ君?」
「なーんだよ、根に持ってんのかぁ?」
萩原さんが絡むように言って、間に立つ俺が緊張する。肩を離して欲しい。
「持ってねえよ、大きくなったなあと思ってさ」
島田さんはふふっと笑った。
「親戚のおっさんかよ!」
萩原さんも笑って、俺はやっと二人のそういうノリなのだと分かってホッとした。
「だってさ、高瀬覚えてる?」
小塚先輩に聞かれて、記憶を掘り起こした。
「えっと……」
一年生の時はいつもその起用のされ方だった。後半途中まで耐えて、ジョーカー的に出されて、得点かアシストを期待された。そういう風に使われていたのは自分だけだったから、多分そうなんだろう。
「確かに、そういう使われ方でした」
「おお、やってやったな高瀬君。よくやった!」
萩原さんが俺の頭をよしよしと撫でて、島田さんを「ざまーみろ」とからかう。
「よく覚えてんなお前も、大会だったの?」
鈴木さんが聞くと、島田さんは持っていたシューズを持ち直し、「大会ってのもあったけど、センスってこういうことかって思ったのは、あの時が初めてだったからさ」と、笑った。
「へえ、本当に上手かったんだな君」
萩原さんがジロジロと顔を覗いてくる。掴まれた肩が揉まれて、亀のように首を縮めた。小塚先輩が笑っている。
正直、あの頃はサッカーがつまらなかった。今より我が強くて、体力も無かったくせに、どうして後半からしか出してもらえないんだよって思ってた。孝一を見習い始めていたから態度には出さなかったけど。
島田さんがいつの間にか目の前にいた。
「サッカー辞めたの」
「はい」
続く質問は分かっている。
「なんで?」
胸の奥が押されるように重たくなった。
辞めたかったわけじゃない、やりたかった。もっと上手くなりたかったし、その自信はあった。
さっさとゲイなんだって認めて、迷わず孝一で抜いとけば良かったのかな。ゲイのサッカー選手だって、きっとどこかにはいるはずだ。
せめて先生に話せていたら、何か違っていたのかな。
おそらく先生は後悔しているんだと思う。あの時に、もっとできることがあったんじゃないかって。だからきっと今あんなに俺に構ってくれるんだ。
「ごめん、言いたくないんだ?」
島田さんは、黙る俺に気を遣って謝ってくれた。
「すみません」
「いや、俺がごめん。でもまた試合できて楽しかったよ、めちゃくちゃ身長も伸びてて、おじさんは感動した」
「やっぱ親戚のおじさんだった」
萩原さんが笑って、俺もつられた。
あー、やっぱり先生が必要だったかも。
ハグされたい気分だった。
何も知らなかった頃の自分が眩しい。余計な事を考えないで済んでいたあの頃の自分は、今の自分とは違うのに、でも確かに俺だった。
この未来は不本意かな、ごめんね、あの頃の俺。
「すみません、送ってもらって!」
「遅いからね、帰りはこれからも送るよ」
「俺たちはまだ高校生だからねー」
「でも、結構方向が違うから」
恐縮すると、「気にすんな! じゃあまた火曜日に!」「俺は月曜日」二人が明るく手を振ってくれる。
「お疲れ様です!」
「おつかれー」
テールライトが曲がっていくのを見て、はーっと息を吐いた。吐いたものの、気持ちの強張りはまだ少し残っている。
見上げた空に星は見当たらなかったけど、上弦の月がくっきりと光を放っていた。
あちこちで虫が鳴いていて、ぬるい風が湿った頭皮から熱を奪っていった。
心地いい、夏の始まりらしい夜だ。
握っていたスマホを見ると、先生から、『無事に終わった?』とメッセージが来ていた。
九時四十分の表示を見て、少し迷ってから電話を掛けた。
「珍しい、高瀬からの電話」
「ごめんなさい、良かった?」
「大丈夫だよ、どうだった?」
耳慣れた声に、ようやく残りのよそいきの気持ちを吐き捨てた。
「全然走れなかった!」
先生の笑い声で俺も笑った。
「楽しかった?」
「うん、また来週の火曜日に行く」
「そうか、良かった」
良かったと言われて、つい良くなかったことを思い出す。
「でも」
「でも?」
「昔の自分が、人の記憶に残ってた」
「そうか、上手かったもんね」
「そう、だったんだね。それで、なんか申し訳ない気持ちになった」
「誰に?」
「昔の自分に」
先生の沈黙と一緒に、一瞬辺りも静かになった気がしたけど、虫はすぐに鳴き始めた。少し遠ざかったようだ。
「後悔してる?」
「ううん、だって無理だったから」
あの時の俺には無理だった、先生にも言えなかった。
ただパニックにならないように、もしかしたらずっとパニックだったのかもしれないけど、勝手に変わっていく自分に必死に抗って、沈黙して、逃げ出した。
田所先生や、健人たちや、孝一からも。
あったかもしれない未来と、今あるものとを比べることはできないけど、俺はサッカーと仲間を失った。それくらいには、やっぱりパニックだったんだろう。
今は先生のおかげでずっと前向きでいられている。そんな手厚い後ろ盾がある今で、やっと迷える程度だ。
でもきっと、狭い寮の相部屋生活は無理だっただろうな。孝一のところは大風呂だと言っていた。
「先生?」
「うん?」
「先生も後悔しないでね、俺がどうしても言えなかったんだから」
後悔はしていない、でも、まだ少し涙は出る。
「高瀬……」
鼻をすする音で、泣いているのがばれてしまった。
「後悔はしてないよ、まだ、良かったとも言えないけど」
涙を拭って、街頭に夏の虫が集っている。
「外にいるの?」
「家の前、送ってもらって」
「そうか……」
元気のいい虫の声に、自分も気を奮った。
「よし! もう切るね、シャワー浴びなきゃ!」
「うん、お疲れ様」
弱音も涙も許される場所が今の俺にはある。だから大丈夫。
「いつもありがとう先生」
「いいんだ、電話くれて嬉しいよ」
「だって先生しか話す人がいないからさ!」
泣いたのを誤魔化そうと、少しおどける。
「それが嬉しい」
優しい声に、後ろに隠した寂しさを見つけられたような気持ちになった。
「俺も、嬉しい」
「おやすみ」
「おやすみなさい」
ああ、このまま眠りたい。先生のおやすみで眠りたい。
鼻をすすって玄関の鍵を開けた。
「ただいまー」
「おかえりー! どーだったあ?」
それから少し、俺の一週間は忙しくなった。
週に一、二度の練習と、土日のどちらかに試合が入って、その他の日には友達との寄り道があった。
先生に話したいことがたくさんできて、でも時々疲れて眠ってしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます