第2話 帰りたい夜
小学二年から続けていたサッカーを辞めた。
親友を好きになったからだ。
中学から一緒になった泉小の孝一は、三年生が抜けてすぐからうちの不動のキーパーだった。
ディフェンスも上手かったけど、とにかく背が高かった。
誰からも好かれる穏やかな性格で、頭も良かったし、この年の運動部の男子にしては珍しく清潔感もあった。
決定的に周りと違ったのは、責任ということについてよくわかっていた所だ。
中学生としてやらなきゃいけないことを理解して、面倒だと思う気持ちを自分で処理して行動できた。学業、クラブ、一年生、ポジション。
だからもちろん大人ウケも良かった。
俺はというと、小学生の時から人よりも幾分サッカーが上手くできた。いや多分かなり上手かった。
ユースから声をかけられた事もあったし、そもそも対峙した相手を上手いと思うことがあまりなかった。すごいすごいと知らない人にすら褒められるから、俺は小学生のうちはかなり自分に自信があったと思う。
周りを下手だなあと思っていたし、点差が付きすぎるとつまらないとも思った。でもあまり思ったことを言わない性格だったことで、そこまで嫌なやつだとは知られずに済んだ。
小学校高学年になる頃には試合全体をコントロールできていたと思う。
監督がしたい試合展開を理解して、そうなるように働くのは違った面白さがあったし、チームメイトが思惑とは違う行動をすると監督よりも先にさりげなく指摘した。
監督は怒りっぽかったし、監督に注意されたチームメイトが萎縮するのが嫌だった。
中学に入った時、俺はチームの先輩たちからすでに一目置かれていた。
うちの市は、いわゆる地域クラブ化が早いうちから進んでいて、いつも小学生と中学生は隣り合って活動していたし、先輩たちは殆どみんな馴染みのある元チームメイトだった。
「お前が中学生になるのを待ってた!」とか言われたりして照れくさく感じながらも、チャンスをくれる監督に応えて活躍はできていたと思う。
元々守備力の高いチームだったこともあって、俺のおかげで勝ちに繋がるようになったと、かなり甘やかされた。
そのうち俺目当てらしいファンみたいな子も試合を見に来るようになって、噂を聞いた同級生にも特別な眼差しを向けられたりした。
思春期にそんな扱いを受けても俺が調子に乗らずに済んだのは、そこに孝一が居たからだった。
孝一は、小学生の頃は別のクラブに所属していたが、中学からはうちの監督に教わりたいと決心して移動してきたそうだ。
新一年生の自己紹介でそう言った孝一に、俺はそんな理由でクラブを移動してくることがあるんだなあと感心した。
俺は隣で中学生を教えている田所先生がどんな指導をしているかなんて一度も気にしたことがなかった。赤色が好きな五十代くらいのおじさんとしか思っていなかった。
孝一のいたクラブは、市では一番規模が大きくて強い。中学に上がれば、大抵はそのまま同じ系列の中学のチームにスライドする。
弱いというならまだしも強いチームから抜けるのだから、レギュラーを取れなそうだから移動したのかな、と邪推されてもおかしくはないけど、孝一のまるで上級生のような体格を見れば、誰もそんな考えには至らなかった。
目を惹かれずにはいられなかった。
成長に必要な栄養をたっぷり摂取してきたんだろうという感じ。身体の全てのパーツが大きくしっかりとしていた。
その当時の俺はチビだったから、単純に羨ましかった。
孝一は点を取るという意味では俺よりもサッカーが上手いわけではなかったけど、役割が違った。明らかに守備的なポジションを得意としていた。体格に恵まれ、冷静で頭が良かった。
俺は直感的に、彼には自分の驕った心を見せたくないと思った。きっと凄く恥ずかしい思いをすると分かった。
得点やアシストを決めるたびに持て囃されて伸び上がりそうになる鼻を何度も叩いて落ち着けた。傍若無人になりそうな俺の『子ども』を落ち着ける為の、孝一は言わば指針だった。
穏やかに、邪な心は持たず、まるで人生二週目みたいな孝一のように振舞う。
全く同じになることはできなくても、できるだけ意識することで、今が痛々しい過去にならずに済む。
そうして中学時代の俺は、サッカーが上手い事を鼻にかけない、清潔で落ち着きのある男子としてみんなの記憶に残っていったと思う。
その態度は俺の想像通り、チームの先輩にも、後輩にも、監督にも好まれた。孝一とワンセットで。
堅守だった三年生が抜け、二年生が主力のチームになると守備力は落ちた。以前よりも攻められる展開が増え、失点も多少増えたけど、中盤から前の工夫で得点も増え、見ている分には面白い試合をしていたと思う。
結果、キーパーに入った孝一の存在感は強くなったし、俺の得点力もさらに持て囃された。
俺たちが二年にあがって、その頃にはうちは俺と孝一のチームだったと思う。
小学生の時の監督とは違い、いつも赤色のジャージを着た監督の田所先生は、選手の自発性を育てることを意識した人で、勝利よりも育成を念頭に置いていた。
前時代的な精神論も無く、トレーニングも個別に組んでくれたし、指示にも常に理由を語った。
俺にとって一番面白かったのは、監督が対戦チームの選手について詳細に情報収集していたことだ。そのくせ試合展開については相手がどう来るだろうという予想はしても、こちらがどういこうかという部分は俺たちに決めさせた。ハーフタイムにも状況分析をするだけという人で、「さあ、どうする?」と問われた殆どのチームメイトは戸惑っていたけれど、俺は試合を自分の思うようにできるとわくわくした。それは新しいサッカーの楽しさだった。
ますますサッカーにのめり込みながら、俺は孝一を真似て勉強にもきちんと取り組んでいた。孝一には追いつけなかったが、百六十人程の学年の二十番以内をうろうろしていた。
サッカー以外の流行りものにはあまり興味が持てなかった。
みんながスマートフォンを持ち始めて、ゲームやらSNSやらの話をしているのを聞きながら、何も知らないことをいじられたり教えてもらったりすることで、周りとの交流は上手くできた。
俺はサッカーで多少持ち上げられていたけれど、生来の性格から、あまり目立ちすぎるのを良しとしていなかった事もあって、流行りに疎い自分でバランスを取っている所があった。
それに、孝一も同じように流行り物には興味が無かった。最新のスマホを持っていたけど、それを連絡以外で使っているところを見たことが無かった。俺にとっての指針がそうだったから、そのことにも安心していた。
孝一はその長身と年頃らしくない穏やかな雰囲気で、どこにいても存在感があった。性格も良かったからみんなが慕っていたけれど、孝一を見習って素行を真似ていた俺は、孝一にとっても気の合う友人になっていったと思う。
全力でサッカーをして、下らないクラスの出来事を共有して、チームメイトの話で馬鹿笑いした。そして二人でよく勉強をした。
勉強を真面目にやるクラブのやつは他にはいなかったから、放課後の学校や、孝一の家や、図書館なんかに行って、いつも二人で並んで学んだ。
居心地が良かった。一番の親友は誰かと聞かれたら、迷わず孝一と答えていたと思う。
あの日までは。
中二の六月の第二週、珍しくクラブの土日が二連休になった。
俺は孝一に誘われて、孝一の家で夜中の代表戦を観ることにした。
夕食を済ませてから、Tシャツとハーフパンツの部屋着姿で孝一の家に向かった。
何度も来たことがあるのに、この家の立派な門を前にするとインターホンを押すのをためらってしまう。でもその日は庭に孝一がいて、中から門を開けてくれた。
俺と同じような服装で、こんな時間にリフティングでもしていたのかボールを抱えている。
俺を待っていてくれたのかなと思ったけど、庭には小五になった妹の真結ちゃんもいて、いつもなら笑顔で話しかけてくれるのに、今は何とも言えない表情で白いガーデンテーブルに肘をついて座っている。
「なんかあったの?」
真結ちゃんを見たまま訊ねると、「ちょっと親がもめてて」と孝一が声を小さくした。
「真結ちゃんの事で?」
「いいや、自分たちの事だよ」
俺は驚いた。
うちの親は軽口を言い合うことはあっても、言い争うのは見たことが無かった。夫婦喧嘩とはこんな風に子どもが外に避難しないといけないくらいのものなのだろうか。
「俺、帰った方がいい?」
「いいや、すぐ終わるよ」
孝一はなんでもないというように首を振って、距離を取ると俺に向かってボールを蹴った。
俺は不安な気持ちがしながらも、変な力が入った身体で孝一とボールを蹴りあった。
孝一の言った通り、ほどなくしておじさんが外に出てきた。
「お、祐希くんか」
「こんばんは!」
俺は直立で、場違いにでかい声で挨拶を返した。運動部の癖だ。
おじさんはチラっとそんな俺の全身を一瞥する。これはおじさんの癖だと思う。
いつも通りおじさんの髪はきちんとセットされて、無知な俺にもいい物だと感じられる服を違和感なく着こなしている。
こういう人に一瞥された時、こちらはダサくある方がいいのか、おしゃれな方がいいのか、正しい服装における謙遜について考えてしまう。いや多分きちんとしてた方がいい。
「今日は泊っていくんだって?」
「はい、サッカーを見ます!」
ついもじもじしそうになる手を後ろに隠す。
おじさんは社長という肩書のせいか、自然な威圧感がある。余計な口を挟む余地がない感じ。まあ挟みたいことも無いけど。
「メロンが冷えてるから食べていけよ!」
「ありがとうございます! いただきます!」
頭を下げてお礼を言うと、おじさんは笑顔のまま手を上げた。
「じゃ」
え、と思ったが、それは飲み込んだ。
おじさんは孝一たちには何も言わず、さっさとガレージに入っていって、黒い高そうな車に乗ってどこかへと走り去ってしまった。
ゆっくり閉まる電動シャッターの音を聞きながら、この時間からどこに行ったんだろうと思ったけど、後ろの兄妹には絶対に聞くまいと思った。
「はいろ」
孝一に言われて玄関に向かった。見ると真結ちゃんが芝生の上で大の字に寝転んで空を見上げていた。
胸がざわざわした。見上げた空は曇っていた。
リビングにもどこにも孝一のお母さんは見当たらなかった。
いつもきれいにお化粧をして、ひらっとした服を着て、「いらっしゃい祐くん」と笑顔で出迎えてくれる孝一のお母さん。
今はどこかの部屋で泣いているのか、怒っているのか、考えても俺にはわからないけど、少しだけ心配してしまう。
でもどちらが悪いのかは、双方の話を聞いてみないとわからないものだ。そう母さんが言っていた。
「ごめんな」
部屋に入ると孝一がため息交じりに謝ってきた。
「孝一が理由なの?」
「いいや」
「じゃあ謝んなくていいよ、まあ俺でも謝っちゃうと思うけどさ」
段々声が小さくなる俺に、孝一は少し無理をしたような笑顔を見せた。
「座って」
言われて立派なソファーに腰を下ろす。
部屋に大きなソファーがあることを羨ましいと思っていたけど、広い部屋の真ん中に座らされるのは、タイミングによってはこんなにも居心地が悪くなるんだと知った。
孝一は机に向かい、開いたままの教科書だのノートだのをパタパタと閉じた。勉強をしていたんだろう。部屋にいたのに外に出なきゃならないくらい大声で言い合いをしていたんだろうか。
つい色々と想像してしまう自分をいとわしく思って、素直に口を開くことにした。
「見られたくなかっただろ、ごめんなタイミングが悪くて」
あと少しもたもた歩いていたら、おじさんが行ってしまった後だったのに。
「お前まで自分のせいじゃないのに謝るなよ」
なんだろう、声がいつもより弱々しい気がする。そう感じてしまうと、それ以上何も続けられなくなった。
トン、と辞書を机に立てた孝一は、息を吸って思い切るようにこっちを振り返った。
「うちの親、いつもあんな感じで喧嘩するんだよ。お互いに何かにつけて突っかかってさ、そのうち聞いてるのも嫌になる。外へ逃げれば聞こえないから、こういう時の為に二階の非常口に俺と真結の靴を置いてあるんだ」
この家は二階に非常口があったのかと思いながら、「そんなに大きな喧嘩になっちゃうのか」と呟くように返した。
「もうお互いを信じてないんじゃないかな。でも外面はいいから、外では喧嘩しない」
孝一は呆れたようにハッと息を吐いた。
「息が詰まるよ」
はっきりとわかるほど、孝一の表情は大人びていた。
俺は孝一の大人な部分を見習って上手くやってきたつもりだけど、こういう事が理由なのだとは思いもしなかった。
「見られたのが祐でよかった」
「え、そう?」
俺はちょっと慌てた。
俺に人を慰めたり励ましたりする才能は無いと思う。そういうのは健人が上手い。
チームメイトの顔を思い浮かべていると、孝一が俺を見て笑った。
孝一は確かに笑顔を向けていたけど、俺には今にも泣くんじゃないかと思えた。そんな孝一を見たのは初めてだった。
真面目で穏やかで、誰にでも優しい孝一の心が、実はこんなにも弱っているんだと知って、俺の心はざわざわと揺れた。その揺らめきの向こうに見慣れない感情が見え隠れしている。
誰も知らない友人の弱味を見たことを喜んでいるとしたら、俺は自分を殴りたいと思ったろう。でも俺は別の意味で自分を殴りたかった。
孝一に触りたいと思ったからだ。
泣き出しそうな顔で笑う孝一の頬に触れて、抱きしめたいと思った。
思うというよりも、そうする映像が浮かんで、全身がぞわっとした。
心臓がドキドキと鳴っている。段々強く。
慰めたいから、なんて言葉が誤魔化しになるとはっきりわかった。じゃあ何なのかと言われるとよく分からない。
ただ、頭の中で自分が何かを叫んでいる。言葉にならない強い否定的な感情がキュッと側頭部を締め付ける。
黙って机を片づけている孝一を見ながら、だんだん俺もおじさんのように車でこの家から走り去りたくなってきた。
胸のざわつきが寒気のように全身を震わせて、髪が根本から逆立つような感じがする。
車なんかいらないから、走って逃げようか。
「今日が、祐が泊りに来る日でよかった」
そう言った孝一の顔を見て息が止まった。
安堵と疲弊が混ざりあって、裏側に何も無いのが分かった。その無防備な表情に、また胸が強く打たれた。
言葉を失った俺に気付かず、孝一は幾度目かの息を吐いてから辞書を机の上の棚に戻そうとした。
伸ばした辞書を持つ太い腕、そしてやや前のめりに机に押し付けられた腰骨の辺りを見ていたら、いきなり股間がうずいた。
「ひゅっ」と、息を無理やり吸い込んだ音がした。
明らかな違和感を股に感じて、顔面の毛穴が全部開いたかと思った。
頭が真っ白になって身体は動かない。視界の端で孝一が動くのを見て、大慌てで近くにあったクッションを抱えた。
心臓がバクバクと鳴っている。呼吸が震え始めて、吐くのを忘れそうになる。頭の中で言葉にならない声が喚いている。
ぎゅうっと目を瞑って、ちゃんとした言葉で自分を鼓舞する。
落ち着け、息を吐け、ゆっくり! 落ち着いて!
鼻から漏れる息が震えている。どうしよう、試合までには時間がありすぎる。でもこの静かな空間は耐えられない。
俺は勃ちかけた股間がなにか変な音でも立てるんじゃないかと意味の分からない恐怖に駆られながら、素早く視線を動かして、テレビのリモコンを手に取った。
「テレビつけていい?」
孝一はうんと頷いて、教科書を鞄にしまう。
テレビが付いて、暗い画面に番組名だけが先に表示された。音声が来て、映像がくる。うちのリビングにあるよりでかいテレビの初動が異常に遅く感じられた。
「この時間ってなにやってるっけ」
妙に明るい声が出た。と、ソファーが鳴って孝一が俺の横に座った。
「なんだろうな」
飛び上がりそうになって、握りしめたリモコンがテレビの音量を大きくした。
「あっ、あのさ、言ってなかったけど」
慌てて音量を下げつつ、俺は大急ぎで思考を巡らせる。
「なに?」
「俺、実はめちゃくちゃメロン好きなんだよね」
精一杯の笑顔を向けると、孝一は「その顔面白い」と噴き出して、「待ってて」と、部屋を出て行った。
ドアが閉まって足音が遠ざかる。
「はあああああああ」
胸の中にたまった色んな色の気持ちを全部吐き出して、抱えたクッションに突っ伏した。
待って、いやなにこれ、やばいだろ、俺やばいだろありえないだろ!!!
顔面にクッションを押し付けながら、まずは落ち着こうと何度か唱えてから体勢を整えた。
ぴっと座って背筋を伸ばしてみる。そっとクッションをどけて様子を伺うと、少しだけ膨らんだ股間が存在を主張して、ぞっとしてクッションを戻した。
帰りたい。どうしたら帰れるだろう。
違う違う! 考えるところが違うだろ! なんで俺は勃起してるんだよ! なんで今急に勃起するんだよ! 興奮するところなんて無かっただろ!!!
脳内で喚き散らしながらさっきの孝一の表情を思い返す。
日頃の穏やかな姿がギャップを生んで、胸が突かれるように切ない。
そうだ、どれかっていうとあれは同情だ。可哀想だし心配だし、あれ? もしかすると俺はサディストなのかもしれない。人が弱っている姿に興奮する生き物なのか? それはそれで大問題だぞ。
あーーーーっ!!!
思いもよらないことがいっぺんに起きて、現象と原因を上手く繋げられていない。けど今ここで解き明かしてはいけない気もする。なにせまだ夜はこれからだ。
永久にメロンが切れなければいいのに。孝一がキッチンでメロンに手こずり続けて、俺はここで一人サッカーを見て、朝を迎えて家に帰るんだ!
ガチャッとドアが開いて、メロンを乗せたお盆を持つ孝一が入ってきた。
「お待たせ」
「待ってない!」
いや早すぎるだろ!
「なんか切ってあったわ」
お母さんかな、お母さんだろうね、用意がいいね。
品のある甘い香りが漂って、一口サイズに切れ込みの入れられた青肉メロンが透明なガラス皿に乗せられて目の前のテーブルに置かれた。
「めちゃくちゃおいしそうだな!」
「うん、食べよ」
「いただきます!」
顔面が変な笑顔のままになっているのは分かっていたけど、これが限界だった。
帰りたかった。逃げ出したかった。
俺は抱えたクッションを汚さないように妙な姿勢でメロンを次々飲み込んだ。
それからバラエティ番組を見て、サッカーを見た。
眠そうな孝一にゲストルームのベッドを勧められたけど、立ち上がる勇気はもちろん無くて、このソファで寝ることを選んだ。
メロンは美味しかったし、バラエティのコントは面白かったし、サッカーは白熱したけれど、すべてが動揺に飲み込まれていた。
作為的な甘味で、笑いで、興奮だった。
その夜の孝一の家は静かだった。
すぐそこで孝一の寝息を聞きながら、一晩中、俺はただ自分を怖がった。
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